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〔審査〕障害福祉サービスの審査支払事務で報告書 30年度の審査機能追加に向け 国保中央会(12月28日)

国保中央会(岡﨑誠也会長)は平成28年12月28日、障害福祉サービスおよび障害児支援の給付費等にかかる審査支払事務のあり方について、平成30年度の審査機能追加に向けた報告書をまとめた。障害福祉サービス関係費は利用者数の増加やサービス整備の進展にともない、この10年間で2倍増となっており、国保連合会および市町村等における給付事務の大幅な増加に対応した。

国保連合会が「一次審査」

障害福祉サービス等の審査支払事務は、障害者総合支援法および児童福祉法により規定されている。平成28年6月に法改正が行われたことで、市町村は現在の「支払」に加えて、「審査」も国保連合会に委託できることとなる(平成30年4月実施)。

国保中央会は本改正をうけ、市町村等による給付費の審査について、より効果的・効率的な実施をめざし、審査機能の強化に向けた検討を行う障害者総合支援法等審査事務研究会(座長=生田正幸・関西学院大学教授)を平成28年5月に設置。論点を整理し、市町村等審査事務実態調査の結果等を参考に検討を行い、報告書をまとめた。

研究会で論点とされたのは主に、▽事業者の請求にかかる事項▽国保連合会の一次審査等にかかる事項▽市町村等の審査事務にかかる事項▽審査用資料にかかる事項▽台帳整備にかかる事項、の5点。
これらを検討した結果、新たな審査支払事務にあっては、(1)請求時の機能強化(2)一次審査等の実施(3)一次審査結果資料等の作成(4)台帳情報整備の改善(5)自治体職員等への研修、の対応を行うこととした(図表1)。

 

▲図表1 新たな審査支払事務の全体概要
(出典)国民健康保険中央会

マニュアルや研修の提供で市町村業務を支援

「(1)請求時の機能強化」については、一次審査で発生する警告やエラーを未然に防止するため、サービス提供事業所が利用するソフト(簡易入力システム、取込送信システム)の点検機能を強化する。また、警告やエラーの原因を特定しやすくするため、国保連合会に登録されている、自事業所の事業所台帳情報を参照できるようにする。

「(2)一次審査等の実施」については、現在の事務点検の「エラー」の区分を細分化して「査定」を導入する(時期は今後検討)。「査定」となった請求情報は返戻せず、決定支給量の範囲内では支払を可能とする処理を行う(図表2)。
一次審査の結果、機械的には判断がつかないもの(例えば、同一日、同一時間帯のサービス利用チェックや訪問系サービスの算定時間の妥当性チェック等)については警告とし、市町村等における審査(二次審査)において、支払とするか返戻とするかの判断を行う。一次審査で査定や正常と判断された場合も、二次審査で確認を行う。

▲図表2 国保連合会と市町村等の審査の範囲 
(出典)国民健康保険中央会

「(3)一次審査結果資料等の作成」については、国保連合会が一次審査の結果を市町村等へ提供するため、新たに一次審査結果資料を作成する。

「(4)台帳情報整備の改善」については、一次審査のエラー対応や審査期間中の作業負荷の低減を図るため、市町村・都道府県による台帳情報整備を前倒しして実施する。
また、国保連合会に登録する各種台帳情報の整備方法、台帳整備で発生するエラーの原因や対応方法等について市町村等の担当者が理解し、台帳整備の事務処理を円滑に実施することを目的に、台帳整備の事務処理マニュアルを作成する。

「(5)自治体職員等への研修」については、自治体・国保連合会の新規担当職員等に対し、制度概要や業務知識の習得を目的に実施する。また、サービス事業者に対し、一次審査での警告・エラー発生を防ぐための研修をeラーニング等で実施する。

30年度より段階的に施行

以上のような対応は、システム面、運用面への影響を配慮して、平成30年度を基点として段階的に行うことを想定している(図表3)。

▼図表3 新たな審査支払事務の実施に向けた対応スケジュール(予定) (出典)国民健康保険中央会

No. 対応項目 留意点 実施時期(予定)
第一段階 第二段階 第三段階
1 請求時の機能強化 請求時の点検機能強化については、国保連合会における審査開始に向け、審査開始前での実施を検討する必要がある。
また、一度に点検機能強化を実施すると、サービス提供事業所の請求事務への影響が大きくなるため、段階的に実施していく必要がある。
2 一次審査等の実施 「警告」から「エラー」への移行については、サービス提供事業所、市町村、国保連合会等への影響が大きいため、段階的な移行を検討する必要がある。
査定の導入にあたっては、諸課題について検討する必要があり、新たな仕組みとなることから、十分な準備期間を確保する必要がある。

〔エラーへの移行〕

〔エラーへの移行〕

〔査定の導入〕
3 一次審査結果資料等の作成 一次審査結果資料については、第一段階からの実施が必要である。
審査事務にかかる事務処理マニュアルについては、一次審査の実施における第一段階に初版、第二段階に改版する必要がある。

〔一次審査結果資料〕
〔マニュアル初版〕

〔マニュアル改版〕
4 台帳情報整備の改善 台帳情報整備期間の前倒しについては、第一段階からの実施を検討(第一段階における実施前に、制度、運用の見直し及び周知を行う必要がある)。
台帳情報等参照機能については、機器等の増設が必要と考えられるため第三段階での実施を検討する。
台帳整備にかかる事務処理マニュアルについては、第一段階に初版作成が必要であるが、台帳整備に万全を期するため、提供の前倒しを検討する必要がある。

〔台帳整備の前倒し〕
〔マニュアル初版〕

〔台帳情報等参照機能〕
〔マニュアル改版〕
5 自治体職員等への研修 自治体・国保連合会新規担当職員等への研修、事業者への研修ともに第一段階からの実施を検討(ただし、国保連合会の審査開始に向け、実施の前倒しが望まれる)。
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