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〔施設サービス〕介護医療院や老健施設を議論(8月4日・介護給付費分科会)

平成30年度の介護報酬改定に向けて協議している社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は4日、(1)介護医療院と介護療養型医療施設、(2)介護老人保健施設、(3)特定施設入居者生活介護について議論した。介護医療院については当面、介護療養型医療施設等からの転換を優先するよう求める意見が相次いだ。

介護医療院と介護療養型医療施設については次の5つの論点が示された。

①廃止される介護療養型医療施設(介護療養病床・老人性認知症疾患療養病棟)の在り方。

②介護医療院に求められる機能、病院・診療所及び老健施設の規定や人員・設備、報酬体系を踏まえた介護医療院の在り方。

③転換を円滑・早期に行う上での考え。

④介護療養型老健施設と29年度末まで算定が認められている療養体制維持特別加算の在り方。

⑤転換先の一つである医療機関との併設型の特定施設入居者生活介護の要件。

介護医療院は、29年度末に廃止が決まっていた介護療養型の受け皿として、社保審・療養病床の在り方等に関する特別部会の議論を経て、6月に公布された改正介護保険法で新たな介護保険施設として創設された(図表1・2)。施行は平成30年度。なお、介護療養型の廃止期限については、6年間延長され、35年度末までとなっている。

▲図表1 介護医療院の概要

▲図表2 介護医療院に関するスケジュールのイメージ

介護医療院は、要介護者の長期療養・生活施設と位置付けられ、施設基準として(Ⅰ)介護療養病床相当と(Ⅱ)老健施設相当以上の2類型を導入する(図表3)。

(Ⅰ)の利用者像は、重篤な身体疾患がある人及び身体合併症がある認知症高齢者。現行の介護療養病床の療養機能強化型A・Bの利用者と同様とされる。

(Ⅱ)の利用者は(Ⅰ)よりも容体が比較的安定した者とされる。また低所得の利用者は補足給付の対象となる。面積は1床当たり8.0㎡(老健施設相当)とされる。

▲図表3 介護医療院の2類型

こうしたことは特別部会の議論を踏まえ、大筋まとまっていたが、具体的な施設基準等は介護給付費分科会で議論することになっていた。

介護療養型からの転換の優先求める

日本医師会の鈴木邦彦委員は、介護医療院への転換について「自主的な転換を進め、追い込むようなことがあってはならない」と釘を刺した。老人性認知症疾患療養病棟については、医療保険の認知症治療病棟への円滑な移行も可能とするよう求めた。

その上で介護医療院について「基本的に病棟単位でのサービス提供を維持すべき」と指摘。

既存の施設は廊下幅や構造など建て替えまではそのまま移行できるようにするとともに、「併設医療機関からの支援が円滑に行われるような人員配置基準の要件緩和が必要」と述べた。

また、「小病院や有床診療所は病室単位での転換も認めるべき」と訴えた。介護医療院の開設主体は「老健と並びにすべき」とした。

転換を優先し、新設について医療機能分化の観点から「急性期の大病院は認めるべきではない」とした。

介護療養型老健施設については介護医療院への「再転換」を認めることと、療養体制維持特別加算を6年間延長することも求めた。

▲参考 療養体制維持特別加算について

全国市長会の大西秀人委員は、介護療養型のみならず医療療養病床からの介護医療院への転換もあり得ることから介護保険財政の増大や保険料の上昇への影響を懸念。

その上で、「できるだけ増大しないように円滑な移行がはかられるようにしてほしい」と述べ、国としての見通しを示した上での転換支援策を求めた。

日本慢性期医療協会の武久洋三委員も25対1の医療療養病床からの介護医療院への転換が進むことによる財政の負担増を憂慮した。病床機能分化を行い運営が求められている流れにも理解を示しつつ、国としての方針の提示を求めた。

全国健康保険協会の小林剛委員は、介護医療院の施設・人員基準について、介護療養型など現行の基準を踏まえ、「現場に混乱が生じないように検討するとともに、必要があれば基準を緩和すべき」と述べた。一方、報酬については「現行をスライドするのではなく、果たす役割を踏まえてメリハリをつけるべき」と注文した。

全国老人保健施設協会の東憲太郎委員も医療療養病床からの転換により介護保険財政への影響を心配し、「介護療養病床からの転換を優先すべき」と述べた。

また、介護療養型老健施設の療養体制維持特別加算については、「29年度末に直ちに廃止されると現場が大変混乱する」と配慮を求めた。

さらに現場の希望を踏まえ、介護療養型老健施設から従来型の老健施設への移行もしやすいようにすることも要望した。

全国老人福祉施設協議会の瀬戸雅嗣委員も介護医療院については「経過措置期間の6年間は原則、転換をのみでいくべき」とした。

転換の促進策では、鈴木委員や健保連の松本義幸参考人、小林委員など複数の委員が、地域医療介護総合確保基金の活用を求めた。厚労省は基金の活用を検討する考えだ。

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