Web医療と介護

中野 智紀(なかの・ともき)

地域レベルでの伴走型支援と社会資源を活用できるコーディネート機能の強化

社会資源をケアの「個別化」のために活用する

地域包括ケアの最も重要な視点とは、いかにして個別化を進めてケアの質を上げていくのかという議論であろう。しかし、地域包括ケアは「システム」として介護保険において政策化され、在宅医療提供体制の整備や医療介護連携ばかり議論されている。多くの現場の専門職は、目の前に居る患者の個別的問題(ミクロレベルの課題)と、マクロ(制度レベル)やメゾレベル(地域レベル)の課題とのギャップに自らの役割を見出せずに混乱している。どうしたらこのギャップを解消し、より効果的に地域でのケアを推進することができるだろうか。当地域の取り組みを紹介する。

第一に、多職種で事例検討を積み重ねていくことが肝要だ。さらに、蓄積された検討内容から、背景にある本質的な課題を抽出していくことも重要だろう。システムの全体像をわかりやすく可視化することも大切だ。当地域では、前述した「みんなのカンファ」や、「住民主体の地域ケア会議」、さらには「ケアカフェ幸手」では、多様な専門職や行政、そして住民が参加しての事例検討が開催されている。

第二には、個別化のために必要な新たな社会資源や潜在的な協働ニーズを抽出することだ。地域レベルでの均てん化も重要だろう。当地域では「地域包括ケア会議」(前回記述)で、行政や地域包括支援センターとともに、これらの具体的な課題を解決するための具体的な方策についても話し合っている。

第三として、住民や専門職へのソーシャルワーク技術の移転があげられる。当地域では、生活課題の高度な複雑性を理解し、これらをエコシステム的に状況把握することで、理解しやすくしたり、対処可能なものとしたりする「エコマップ」と呼ばれるアセスメント技術を、住民や専門職へ技術移転しようとしている。そのために、当院に所属する社会福祉士が講師となって、ワークショップを開催している。

ケアカフェ幸せ杉

(次回に続きます。10月6日掲載予定)

 

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中野智紀医師
中野 智紀(なかの・ともき)
日本糖尿病学会認定指導医・専門医
日本内科学会認定内科医
厚生労働省 在宅医療連携拠点事業 都道府県リーダー研修修了

平成13年 獨協医科大学越谷病院 内分泌代謝・血液・神経内科
平成20年 社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス東埼玉総合病院 代謝内分泌科医員
平成21年 同院 地域糖尿病センター センター長 
平成23年 同院 経営企画室室長
平成24年 同院 地域医療推進部副部長
平成25年 同院 在宅医療連携拠点事業推進室(菜のはな)室長
平成26年 名古屋市立大学看護学部 非常勤講師
平成27年 埼玉県立大学 非常勤講師 
平成29年 埼玉医科大学医学部 非常勤講師

北葛北部医師会 在宅医療・地域包括ケア担当理事
第5回日本プライマリケア連合学会“地域ケアネットワーク優秀賞”受賞
演題名「幸手団地における地域包括ケアシステム(幸手モデル)の構築に関するプロセス研究」
厚生労働省 平成24年度 在宅医療連携拠点事業(東埼玉総合病院にて受託)
厚生労働省 平成25年度 地域医療再生基金在宅医療推進事業(幸手市にて受託)
厚生労働省 平成26年度 科学研究費事業 「地域医療連携の連携診療情報項目の全国的な共通化確立に向けた研究」研究協力員
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