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五島 朋幸(ごとう・ともゆき)

結果を出すために

地域の人たちの食支援を考えるとき、食や栄養に何らかの問題を抱える人を見つけることが入口になる。そのためには食や栄養に関心と知識をもつ住民を育てる必要がある。多くの高齢者が利用するデイサービスの場も活用することができる。問題はその次だ。見つけたらどうすればよいのか?
そのために、地域で「つなぐ」ことが重要となる。
支援する専門職につないで結果を出す。連載最終回では「見つける」「つなぐ」「結果を出す」について考える。

地域を支える専門職:食支援サポーター研修にて

「つなぐ」専門職

地域の中に「つなぐ」プロフェッショナルがいます。ケアマネジャーや地域包括支援センターの相談員です。彼らが、食の支援を必要とする人と支援する専門職との橋渡しをしてくれます。
しかし、ここには重要な問題が2つ潜んでいます。

1つは、彼ら自身が食や栄養に関して、知識や関心があるかということです。
介護をされている奥さんから「最近主人があまり食べないのよぉ」と訴えられても「そうなんですか」で終わってしまっては元も子もないからです。
「ご主人はどういった状況なんですか?」「体重は?」「外出の機会は?」と関心を持ってもらわなければ、専門職にはつながりません。

そしてもう1つは、そこに結果を出せる専門職がいるのかということです。
いくら問題が顕在化してもそれを解決する人がいなければ「つなぐ」ことはできません。

そして結果を出す人

地域で食支援を実践する中で、「結果を出す人」は必要不可欠です。
では、食支援に結果を出すとは、どういうことでしょうか?
大きく分けて、次の6つの側面が考えられます。
全身管理、摂食嚥下機能(食べる機能)、口腔環境、食事姿勢、食事形態、食事環境。

どんなに素晴らしい環境が整っていても全身状態が悪く、食欲もない状態であれば、食べることはできません。医師や看護師らが全身をコントールしていくことが食支援の基本になります。

実際に食べる機能が低下したときに、評価や機能向上訓練を実施するのが歯科医師、歯科衛生士、言語聴覚士などです。

食べるためには口の環境が整っていなければなりません。歯科医師の治療や歯科衛生士のケアなどで環境を整えます。

食べる機能が低下している方は、正しい食事姿勢でないと食べることが難しくなります。このような姿勢調整を理学療法士や作業療法士が行います。

同じく、食べる機能が低下している方は普通食を食べるのが難しくなります。その人の機能に合わせた食事形態を調整し栄養状態を確認するのが管理栄養士です。

さらに、食べるときの椅子やテーブル、お皿やスプーンなど食事環境を整えるだけで十分に機能を発揮できる方もいます。福祉用具専門相談員などが環境を整えます。

 
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五島朋幸
五島 朋幸(ごとう・ともゆき)
1965年広島生まれ。1991年日本歯科大学歯学部卒。1997年より訪問歯科診療に取り組み始める。2003年からふれあい歯科ごとう代表。現在に至る。

博士(歯学)。日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科臨床准教授、日本歯科大学東京短期大学歯科衛生士科講師、東京医科歯科大学非常勤講師ほか。新宿食支援研究会代表。

1997年よりラジオ番組「ドクターごとうの熱血訪問クリニック」(全国15局で放送)パーソナリティーを務める。著書に、「口腔ケア○と×」(中央法規)、「愛は自転車に乗って 歯医者とスルメと情熱と」「訪問歯科ドクターごとう① 歯医者が家にやって来る!」(大隅書店)、「食べること生きること ~介護予防と口腔ケア~」(北隆館)(監修・著)、「誤嚥性肺炎予防のための口腔ケアと腸管免疫の重要性」(オーラルケア)など。
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