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吉村仁さんの時代 「医療費亡国論」と昭和59年の医療保険改革 Ⅳ

昭和59〈1984〉年の医療保険の大改革(健保改正)は、「医療費の増加の抑制」が正面から目的として掲げられ、被用者本人定率負担が導入されるなど、その後の医療保険改革の枠組みをつくったものともいわれています。
改革を厚生省保険局長として牽引した吉村仁氏(昭和5〈1930〉~61〈1986〉年)の、いわゆる「医療費亡国論」をはじめとした言説の今日的な意義を考えていくために、社会保険旬報のバックナンバーで当時をふりかえります。

 

Ⅳ 健保改正をめぐる国会審議(昭和58~59年)

健保改正をめぐる国会の審議を、厚生省原案がまとまる前の昭和58年3月~5月、厚生省原案をめぐる8月~10月、改正法案が提出され会期延長後に修正案が示される前の昭和59年2月~5月についてまとめました。

「付」とした「今後の医療政策の基本的方向(厚生省試案)」は、昭和59年4月27日に衆院社労委の理事会に提出されたものです。
渡部厚相は、「現在審議中の健保法改正案の背景となる21世紀に向けての保険医療政策展開について厚生省の基本的考え方をまとめたもの」であり、「(昭和)60年代後半に医療保険全制度を通じ給付と負担の公平化(一元化)を講じるという目標」を明確に掲げたものと説明しました。
なお、年齢に応じた給付率の一元化は平成15(2003)年4月に実現しています。

 

健保改正の動向と国会審議

昭和58(1983)年

1月1日:薬価基準改正(4.9%の引下げ)
2月1日:老人保健法施行、診療報酬改定(0.3%の引下げ)

1 対話と協調で医療行政進めると厚相答弁、医療費適正化・老人保健・地方事務官問題で質疑(3月3日・衆院社労委)
2 薬価見直しや病院の機能別点数表で医療費抑制策「検討中」の考え方を厚生省当局が示す(5月11日・衆院決算委、5月19日・衆院社労委)

8月31日:健保改正・厚生省原案

3 医療保険改革案で論戦-受診抑制か給付と負担の公平化か(9月19~20日・衆院予算委)
4 健保本人8割給付に論議集中-受診率変らず薬・検査に開き(10月6日・衆院行革特別委、9月28日・衆院大蔵委、9月26日衆院行革特別委)

昭和59(1984)年

1月25日:健保改正の政府案まとまる
2月25日:健保改正案を国会提出

5 健保改正案めぐり衆院予算委で質疑(2月20~24日・3月1日・衆院予算委)
6 医療保険の将来展望示せと野党追及、8割給付を目標に財政調整(3月12日・衆院予算委、3月14日・参院予算委)
7 保険診療のスタンダード期待、日医自身の自己規制が必要(3月29日・衆院社労委、3月15日・参院予算委)

4月3日:衆院本会議で改正案の提案理由説明
4月12日:衆院社会労働委員会で本格審議はじまる
4月27日:厚生省が「今後の医療政策の基本的方向」を衆院社労委理事会に提出

8 衆院社労委が健保等改正案で与党質問皮切りに本格審議入り(4月11日・衆院社労委、4月5日・参院予算委)
9 将来ビジョンの再提出を 健保改正質疑で民社党が要求(5月10日・衆院社労委)
10 「8割給付統一はフラットで」健保改正で質疑、実質給付率は高額療養費で変わる(5月10日・衆院社労委)

5月23日:自民党・新自由国民連合が8月8日までの大幅国会延長を強硬採決
6月21日:国会正常化、衆院社労委で審議再開
6月28日:自民党が第一次修正案5項目を示す
7月3日:自民党が第二次修正案6項目を示す
7月13日:衆院本会議で修正健保改正案を可決

7月16日:参院本会議で趣旨説明
7月17日:参院社労委で提案理由説明、本格審議はじまる
8月3日:自民党が参院野党に修正案7項目を示す
8月6日:参院本会議で再修正健保改正案を可決、衆院に回付
8月7日:衆院本会議で再修正健保改正案を可決・成立

 

Ⅳ 健保改正をめぐる国会審議(昭和58~59年)
旬報バックナンバー

オレンジ色・太字のタイトルをクリック(タップ)すると、その社会保険旬報バックナンバーのPDFファイルが表示されます(上記「年表」中に示したものと同じPDFファイルとなっています)

1 対話と協調で医療行政進めると厚相答弁、医療費適正化・老人保健・地方事務官問題で質疑 昭和58年3月3日・衆院社労委 №1426(58.4.1)
P28~P29
2 薬価見直しや病院の機能別点数表で医療費抑制策「検討中」の考え方を厚生省当局が示す 5月11日・衆院決算委
5月19日・衆院社労委
№1434(58.6.21)
P13~P15
3 医療保険改革案で論戦 -受診抑制か給付と負担の公平化か 9月19~20日・衆院予算委 №1446(58.10.21)
P20~P21
4 健保本人8割給付に論議集中 -受診率変らず薬・検査に開き 10月6日・衆院行革特別委
9月28日・衆院大蔵委
9月26日・衆院行革特別委
1447(58.11.1)
P20~P22
5 健保改正案めぐり衆院予算委で質疑 昭和59年2月20~24日・3月1日・衆院予算委 №1462(59.3.21)
P26~P28
6 医療保険の将来展望示せと野党追及、8割給付を目標に財政調整 3月12日・衆院予算委
3月14日・参院予算委
№1463(59.4.1)
P22~P25
7 保険診療のスタンダード期待、日医自身の自己規制が必要 3月29日・衆院社労委
3月15日・参院予算委
№1465(59.4.21)
P28~P29
8 衆院社労委が健保等改正案で与党質問皮切りに本格審議入り 4月11日・衆院社労委
4月5日・参院予算委
№1466(59.5.1)
P30~P33
9 将来ビジョンの再提出を 健保改正質疑で民社党が要求 5月10日・衆院社労委 №1470(59.6.11)
P17~P20
10 「8割給付統一はフラットで」健保改正で質疑、実質給付率は高額療養費で変わる 5月10日・衆院社労委 №1471(59.6.21)
P23~P25
付 厚生省が中長期の医療政策を提唱/今後の医療政策の基本的方向(厚生省試案) 昭和59年4月27日・衆院社労委理事会提出 No.1466(59.5.1) P8~P12

 

吉村仁さんの時代
「医療費亡国論」と昭和59年の医療保険改革    全体構成

解題 「医療費亡国論」を提唱し
医療保険の大改革をなしとげた
吉村仁さんの時代

「社会保険旬報」前編集長  笹川浩一
社会保険旬報No.2687(平成29年9月11日号)
掲載 【一部補正】

 1 「医療費亡国論」の発表まで
【10月25日掲載】
 2 昭和59年改革をめぐる「攻防」
【11月1日掲載】
 3 医療提供体制の改革に向けて
【平成29年11月8日掲載】
足跡・論文・インタビュー 【平成29年9月11日掲載】
 健保改正前夜の動向
(昭和58年)
【平成29年9月19日掲載】
健保改正はこう行われた
(昭和59年)
【平成29年9月27日掲載】
健保改正をめぐる国会審議
(昭和58~59年)
 【平成29年10月4日掲載】
健保改正後の課題
(昭和59年~63年)
【平成29年10月11日掲載】
医業問題研究会論文
(昭和52~55年)
【平成29年11月16日掲載】

アナザーストーリー

幸田次官と国民医療総合対策本部
平成29年11月22日掲載

※平成29年11月25日:一部補正

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