Web医療と介護

紹介状なしの大病院の定額負担の対象病院の拡大を議論(10月4日・社保審医療保険部会)

 社会保障審議会の医療保険部会(遠藤久夫部会長)は10月4日、次回の診療報酬改定に向けた検討を進めるとともに、骨太2017-経済・財政再生計画改革工程表の指摘事項(外来時の負担等、先発医薬品のうち後発医薬品に係る保険給付額を超える部分のあり方、高齢者医療確保法第14条、都道府県のガバナンス強化など)について議論した。

大病院受診時の定額負担は対象病院拡大をもとめる
「かかりつけ医」以外での定額負担導入には時期尚早の意見

外来時の負担については、昨年4月から開始した紹介状なしで大病院を患者が受診する場合の受診時定額負担について議論。対象病院は機能病院と500床以上の地域医療支援病院で、現行の選定療養の下で定額の徴収を責務とした。定額負担は、初診5000円(歯科3000円)、再診2500円(1500円)を最低金額に設定とされている。

健保連の白川修二委員は「500床以上の患者の受診行動をみると、紹介状なし患者の3%程度しか減っていない。健保連が実施した国民意識調査でも大病院の特別料金の値上げで受診をやめたのは5%ぐらいだった。これは大病院に行くのはお金の問題だけではないということだ」と指摘。
その上で、「しかしながら、病院と診療所の機能分化の考え方は支持する。500床よりも小さい規模での定額負担導入を前向きに検討すべきだ」と提案した。一方、「ただそれだけでは患者の受診行動は変えられない。国民の意識を変えるような施策との合せ技でやらないとうまくいかない」と述べた。

日本医師会の松原委員も同調し、「大病院の定額負担で紹介状なしの患者は少しでも減っているのは間違いないので、200床以上に対象を拡大すべきだ」と述べるとともに、再診の部分での負担の対応を求めた。

かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入については、「かかりつけ医の定義がされていない段階での、かかりつけ医以外の定額負担は国民が納得しない。まず、厚労省がかかり医の定義をはっきりさせるべきだ」(白川委員)、「この問題はこれ以上議論する意味がない。現時点では判断する余地がない」(松原委員)と時期尚早との見解が示された。

 先発品と後発品の差額負担「薬価制度全体で議論を」

先発医薬品のうち後発医薬品に係る保険給付額を超える部分のあり方については、5月の部会で、①先発品と後発品の差額を患者負担とする、②患者負担にはせず先発品の薬価を後発品まで引下げるとの考え方が提案され、反対意見が多くでた。

今回も「この件は何度も議論し、部会の結論は出ていると思う。患者負担とすることは違うし、選定療養の考え方にも合わない」(松原委員)、「中医協でも支払側、診療側、公益委員がこぞって反対もしくは疑問を投げかけている。後発品だけを切り離して議論するのではなく、薬価制度全体のなかで議論すべき」(白川委員)の意見があがった。

高齢者医療確保法の第14条である都道府県別の診療報酬の設定については、全国知事会や全国市長会の代表から慎重な対応を求める意見が出された。

都道府県のガバナンス強化について、国保中央会の原勝則委員は、「保険者協議会においても都道府県がリーダーシップを発揮することが極めて重要だ。国保連合会としても都道府県と連携協力を図りながら、引続き協議会の事務局を務めていきたい」と述べた。

「地域包括ケアの構築」が診療報酬改定の視点の重点課題に

次期診療報酬改定の基本方針の策定については、基本認識や基本的視点、具体的な方向性を議論した。
【→PDF:次期診療報酬改定に向けた基本認識、視点、方向性等について】

改定の基本的視点では、介護報酬との同時改定であることから、「①地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」を重点課題とすることで概ね合意。
このほかの視点は、②新しいニーズにも対応できる安心・安全で質の高い医療の実現・充実、③医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進、④効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上で4項目とする。

日本看護協会の菊池令子委員は、地域包括ケアシステムの構築について具体的な方向性として入退院支援が盛り込まれていることに触れ、「入院前からの退院支援が不可欠だ。これによって医療と介護の連携が進む」と述べた。

日医の松原委員は、在宅医療について「一つの医療機関ではなく、複数の診療科の医師がチームをつくって取り組むことで在宅医療を推進することができる」と提案した。

健保連の白川委員は、基本的視点に働き方改革が盛り込まれていることについて「働き方を診療報酬で手当するのは難しいのではないか。むしろ労働部門や医政局の視点での改革が必要ではないのか。アイデアはあるのか」と述べた。

迫井正深医療課長は、「今の段階で確たるものはない」とした上で、「いわゆるタスクシェアリング、タスクシフティングの形で質を担保した上で、いろいろな方が一定の成果を出せるのであれば、弾力的な運用によって勤務環境を改善したり、タイムマネジメントがうまくできるなどが考えられる。そうしたことの積み重ねと、本質的にどうしていくのかの両方の取り組みが必要かと思う」と述べた。

 

Web医療と介護