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〔地域区分・福祉用具他〕29年度介護事業経営実態調査結果などを介護給付費分科会で議論 介護サービスの平均収支差率は3.3%(10月27日・介護給付費分科会)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は10月27日、①平成29年度介護事業経営実態調査結果②平成30年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)③地域区分④福祉用具貸与の報酬・基準──について意見交換を行った。

このうち①29年度調査結果は26日の同分科会の介護事業経営調査委員会にも報告されていた。全介護サービス平均の収支差率は前回26年調査より4.5ポイント低下し、3.3%にまで落ち込んだことが示された。

今後、分科会は11月上旬以降、原則週1回ペースで議論。12月上旬に基準に関する基本的な考え方を、12月中旬までに介護報酬改定の基本的な考え方をそれぞれ取りまとめる予定だ。さらに来年1月中旬以降に①基準省令案に関する事項と②報酬改定案について、それぞれ諮問・答申される予定だ。

22サービスのうち19サービスで収支差率が低下

このうち①29年度調査結果では、収支差率は居宅介護支援を除く全介護サービスでプラスとなり、平均収支差率は3.3%となったが、26年調査と比べ全22サービスのうち19サービスで収支差率が低下した。

その要因について厚労省は、マイナス改定の影響と、人材確保等による収入に対する給与費割合(人件費)の上昇と分析。給与費割合は前回調査では平均で59.0%であったが、今回は64.3%に上昇した。

ちなみに3年前の26年実態調査における収支差率は全サービス平均で7・8%。それを受けた27年度改定では▲2.27%のマイナス改定になった。

今回、収支差率(税引き前)が最も高かったのは、通所リハビリと小規模多機能型居宅介護、認知症グループホームの3つであり、いずれも5.1%。施設は、特養1.6%、老健施設3.4%、介護療養型医療施設3.3%。一方、居宅介護支援は▲1.4%と唯一マイナスになった。

▲参考資料1 平成29年度介護事業経営実態調査結果の概要(案)1

▲参考資料2 平成29年介護事業経営実態調査結果の概要(案)2

▲参考資料3 平成29年介護事業経営実態調査結果の概要(案)3

こうした結果を受け、日本医師会常任理事の鈴木邦彦委員は、「大幅なマイナス改定を繰り返すことは避けるべき」と主張した。

全国老人福祉施設協議会理事・統括幹事の瀬戸雅嗣委員も「特に特養は1.6%とたいへん低い水準。介護保険制度の持続可能性は極めて大事だが、事業者の持続可能性も考えなくてはならない。介護職員の処遇改善等も継続できずに介護保険制度そのものがそちらの方から崩壊していく。本体報酬の増額を求めたい」と訴えた。

全国老人保健施設協会会長の東憲太郎委員も全老健の独自調査でも赤字施設が3割を超えていることや、給与費割合も毎年上昇していることなどを説明し、理解を求めた。

日本介護福祉士会会長の石本淳也委員も介護人材の不足や人材養成の必要性などを強調し、「これ以上の引き下げは決して好ましくない」とマイナス改定に反対した。

一方、健保連の本多伸行委員は、「(3.3%は)今後さらに高齢化が急速に進むことや中小企業の状況を勘案すると決して悪い状況ではない。介護費用は2025年には20兆円にまで増え、保険料負担も増える。支え手である就労者は減少していく。介護保険制度の持続確保の観点から見るとプラス改定にする環境には無い。次回以降の議論ではサービスの効果的・効率的な提供などしっかり検討していくべき」と主張。

さらに介護職員の処遇改善のため29年度にはプラス1.14%の報酬改定を行ったことにも触れ、「先行実施した改定の保険料負担分も十分に踏まえる必要がある」と述べた。

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