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〔居宅サービス・地域密着型サービス〕訪問介護で生活援助中心の新研修の導入を提案(11月1日・介護給付費分科会)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は11月1日、訪問介護や定期巡回・随時対応サービス、小規模多機能型居宅介護について検討した。

厚労省は訪問介護において生活援助を中心に担う人材の養成で新たな研修を導入することを提案した。新研修の導入そのものには異論は出なかった。厚労省は来年4月からの新研修の導入を目指す。

訪問介護

介護福祉士等は身体介護を中心に担う

訪問介護について厚労省は、▽生活援助を中心に担う人材の新研修の創設▽生活機能向上連携加算の見直し▽生活援助の内容規定の通知を見直し▽サービス提供で減算対象となる適用範囲等を見直し▽サービス提供責任者の業務の追加──など多岐に渡る論点を示した(図表1~3)。

▲図表1 身体介護と生活援助の在り方(論点1)

▲図表2 身体介護と生活援助の在り方(対応案1)

▲図表3 身体介護と生活援助の在り方(対応案2)

介護福祉士等は身体介護を中心に担い、新たに生活援助中心のサービスに必要な研修を導入し、新研修修了者が生活援助を担うことを提案した。ただ新研修者修了者も生活援助を提供する上で必要となるある程度の身体介護は担うことになる(図表3対応案④)。

新研修では、訪問介護では自宅での利用者の状態を把握し関係者と情報共有することが重要であることからサービス提供の際に観察すべき視点の習得に力点をおく。また認知症高齢者に関する知識の習得にも力を入れる考え(図表4)。

▲図表4 生活援助中心型の新研修について(案)

具体的な研修カリキュラムは初任者研修のカリキュラム等も踏まえ、現在検討中である。質を担保する上での検証作業も年度内に行い、来年4月からの導入を目指している。

▲参考資料1 介護職員初任者研修課程

また介護人材のすそ野の拡大を目指して別途検討が進んでいる入門的(基礎的)研修との共通化をはかり、入門的研修を受講している人が新研修を受講する場合は共通科目の受講を免除することや、初任者研修等へのステップアップを進めるため、該当する科目の免除もはかる予定だ。

▲参考資料2 介護人材確保の目指す姿

▲参考資料3 介護人材のすそ野の拡大に向けた入門的研修の導入について

介護保険法施行規則(厚労省令)の見直しが必要になる。介護員養成研修事業に新たな課程が導入される。

厚労省は、新研修修了者も常勤換算の人員配置基準2.5人に含めることや、既存の介護福祉士・初任者研修修了者と新研修修了者が生活援助を提供する場合の報酬を同様とすることも提案した。

他方で身体介護と生活援助の報酬については、訪問介護事業所の経営実態を踏まえた上でメリハリをつけることも提案した(図表2対応案③)。

意見交換では、新研修の導入には分科会で特段の異論は出なかった。

日本医師会常務理事の鈴木邦彦委員も「宜しいのではないか」と賛意を表明。ただ、介護福祉士等との機能分化を図るうえでも新研修の受講者数の増加等を見る必要性を指摘。「3年めどの経過措置が必要ではないか」と提案した。

民間介護事業推進委員会代表委員の稲葉雅之委員は「生活援助中心型をつくるとのことだが、人材確保や質の意味から報酬改定では現状維持をお願いしたい」と要望した。

日本介護福祉士会会長の石本淳也委員も「報酬については減算ありきでは無く、維持でなければ抜本的な人材確保ができない」と主張。また新研修による人材の養成について、「検証及び一定の時間と財源がなければちゃんとした養成にはつながらない」と求めた。新研修修了者のスキルが不明確な状況では人員配置基準2.5人に含むことに反対するとともに、介護福祉士と新研修修了者の生活援助の評価が同じになることにも異論を示した。

健保連理事の本多伸行委員は「自立支援・重症化予防に資する訪問介護を推進する観点のみならず、制度の持続可能性の観点を踏まえ、身体介護、生活援助それぞれの役割に応じた適正な報酬設定を行うべきではないか」と指摘した。

適正化にあたり、たとえば軽度者の生活援助の利用では月の利用回数に上限を設定して、保険者がやむを得ないと認めた場合のみ、算定を認めることなどを提案した。

生活機能向上連携加算を見直し

厚労省は訪問介護の「生活機能向上連携加算」の取得率が29年4月審査分で156件と低いことから見直しを提案した(図表2対応案①)。現行の訪問・通所リハビリ事業所の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハ専門職が利用者宅を訪問して行う場合に加えて、リハビリを実施している医療提供施設のリハ専門職、さらに医師が訪問して行う場合に評価するとともに、評価の充実を上げた。

またリハ専門職・医師が利用者宅を訪問することが難しい場合でも、

▽リハ専門職・医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築し、助言を受けた上でサービス提供責任者が生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成・変更する

▽リハ専門職・医師は通所リハビリ等のサービス提供の場において、又はICTを活用した動画等により、利用者の状態を把握した上で、助言する

を定期的に行うことを評価することも上げた。

▲参考資料4 生活機能向上連携加算の算定要件【現行】

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