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〔横断的事項その4〕 医療従事者の負担軽減、大病院定額負担の取扱いなどを議論(11月8日・中医協総会)

多様な働き方に対応した診療報酬の要件緩和、支払側と診療側で温度差

中医協総会(田辺国昭会長)は11月8日、1. 医療従事者の多様な働き方支援・負担軽減、2. 診療報酬における病床数の取扱い、3. 地域の実情を踏まえた対応をめぐり、協議を行った。

1.   医療従事者の多様な働き方支援・負担軽減
(1)医療機関における勤務環境改善の取組の推進
(2)医療従事者の常勤要件の見直し( ①医師/②医師以外)
(3)医師の勤務場所に係る算定要件の緩和
(4)看護職員の夜間等の負担軽減
2.診療報酬における病床数の取扱い
(1)病床数を要件とした診療報酬
(2)大病院受診時定額負担
3.地域の実情を踏まえた対応

政府が働き方改革を推進する中で、診療報酬での対応として、医療従事者の常勤配置の緩和が論点になった。多様な働き方に対応するという方向性では概ね一致しつつも、要件緩和では、診療側と支払側に温度差があった。

初診で5,000円以上の定額負担を求める500床以上という対象病院の基準を引き下げる方向性では一致したが、どこまで拡大するかでは意見が分かれた。医療資源を少ない地域の医療機関に配慮することに対しては、異論がなかった。

1 医療従事者の多様な働き方支援・負担軽減
(1)医療機関における勤務環境改善の取組の推進

勤務医をはじめ医療従事者に対する負担軽減措置は、これまでの数次の診療報酬改定で行われ、一定の効果を上げていると判断されている。特に、医師事務作業補助体制加算は、勤務医の負担軽減に「効果がある」、「どちらかといえば効果がある」との回答が9割を超えるなど、衆目が一致している。

このような取り組みを踏まえ、論点にあるように、「加算や特定入院料で評価されてきた勤務の負担軽減策について、医療機関の取り組みがさらに進むよう見直す」ことや、「病院勤務医および看護職員の負担軽減・処遇の改善に資する体制に係る手続きの合理化」などの検討を厚労省が促した。
診療側の委員から特に賛意が示された。

1-(1) 医療機関における勤務環境改善に関する課題と論点(案)

課題 【医療機関における勤務環境改善の取組み】
・病院での勤務環境改善の取組(責任者の配置、役割分担推進のための委員会設置等)は、医師及び看護職員を対象としたものであり、特定入院料や入院基本料等加算等の特定の評価の施設基準要件となっている。これらの取組については、毎年、地方厚生(支)局へ別々の様式で提出している。
・病院職員は、夜間・休日の対応が一定程度必要であるが、医師・看護職員以外の職種にも求められてきている。
・平成26年施行の改正医療法により、「病院又は診療所に勤務する医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に資する措置を講ずるよう努めなければならない。」とされており、各病院において、短時間勤務正職員制度の導入等の取組がされている。
・「地域医療介護総合確保基金」における医療従事者の確保に関する事業として病院内保育所の運営・施設整備の支援を行っており、院内保育、夜間保育、病児保育を実施している病院数は、近年増加傾向にある。【医師事務作業補助者、勤務医の負担軽減策】
・医師事務作業補助体制加算は、勤務医の負担軽減に「効果がある」、「どちらかといえば効果がある」と回答した施設は9割超であった。
・勤務医の負担軽減策として、医師が効果があるとして選択したものは、「連続当直を行わない勤務シフトの導入」「交替勤務制の実施」「医師事務作業補助者の配置・増員の配置・増員」であった。また、他職種との業務の分担に関する項目も、効果のある負担軽減策として選択されていた。
論点
(案)
○ 医師事務作業補助者の配置や他職種との業務の分担等が負担軽減策として効果があるとされたことを踏まえ、加算や特定入院料で評価されてきた勤務医の負担軽減策については、医療機関の取組がさらに進むよう見直してはどうか。 【→図表2
○ 病院勤務医及び看護職員の負担の軽減・処遇の改善に資する体制に係る手続きについて、合理化することとしてはどうか。 【→図表1

図表1 病院勤務医・看護職員の勤務環境改善に係る体制に関連する評価

図表2 勤務医の負担軽減策の効果

 

1  医療従事者の多様な働き方支援・負担軽減
(2)医療従事者の常勤要件の見直し   ①医師

女性医師や50代以上の医師の割合が増加傾向であることなどを背景に、多様な働き方に対応するため、医師の常勤要件の見直しが論点になった。
具体的には、「小児科・産婦人科・その他専門性の高い特定の領域や、夜間等の緊急対応の必要性が低い項目については、週一定時間の勤務を行っている複数の医師の組み合わせにより、常勤の医師が配置されているとみなす」ことを検討する。

全日本病院協会会長の猪口雄二委員は、「常勤が難しい医師がたくさん出てきている。人材の有効活用の観点から、働きやすい環境を構築することが必要だ」と歓迎した。

しかし健保連の幸野庄司委員は、「人材の有効活用という観点で、要件緩和を行うことには違和感がある。医師の働き方改革の議論は別途行われている。それらの議論の結果として、どうしても診療報酬で対応する必要があるという場合に対応すべきで、順序が違うと感じる」と難色を示した。

1-(2) ①医師の常勤要件の見直しに関する課題と論点(案)

課題 【医師の常勤要件の見直し】
・近年、女性医師の割合は増加傾向にある。また、医療施設に従事する医師のうち、50歳以上の医師の占める割合が高くなってきている。
・小児科・産婦人科のように、特に女性医師の割合が高い診療科がある。これらの診療科については、勤務時間が60時間以上の割合が全体の平均よりも高い。
・医師の年齢が上がるほど、勤務時間は短くなる傾向にある。
・育児中の女性医師の働き方は、25.6% が「日数減」、26.8% が「時間短縮勤務」を選択していた。
・小児入院医療管理料においては、週24時間程度の勤務を行っている複数の医師の組み合わせにより、常勤の医師が配置されているものとみなすことができる。
・常勤医師の配置を要件としている診療報酬については、大まかに、緊急対応の必要性の有無、主治医による継続的な診療の有無などの観点によって分類ができる。
【精神病棟入院基本料】
・精神療養病棟入院料の施設基準において、保険医療機関内に常勤の精神保健指定医が2名以上配置されていることが要件となっている。
・精神療養病棟入院料算定病棟において、措置入院の患者は1.5%であった。行動制限については、過去1年間に隔離室を使用した病棟は11%、身体拘束を行った病棟は5%であった。
・精神保健指定医の分布には地域差がある。
論点
(案)
○ 女性医師、50代以上の医師の割合が増加傾向であることや、常勤医師の配置を要件としている診療報酬項目の個々の性質の違いを踏まえ、小児科・産婦人科・その他専門性の高い特定の領域や、夜間等の緊急対応の必要性が低い項目については、週一定時間の勤務を行っている複数の医師の組み合わせにより、常勤の医師が配置されているものとみなしてはどうか。 【→図表3、4
○ 精神療養病棟における新規入院患者に占める措置入院患者の割合が低いこと等を踏まえ、精神療養病棟入院料における精神保健指定医の配置要件の見直しを検討してはどうか。 【→図表5

図表3 診療報酬における現行の医師の常勤の取扱いについて

図表4 常勤医師の配置を要件としている診療報酬の考え方

図表5 精神療養病棟入院料における医師の配置要件

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