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〔居宅サービス・地域密着型サービス〕通所介護の基本報酬の見直し規模に応じてメリハリ〔通所リハ・訪問リハ・訪問看護等を検討〕(11月8日・介護給付費分科会)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は8日、▽通所介護▽療養通所介護▽通所リハビリテーション▽訪問リハビリテーション▽訪問看護▽看護小規模多機能型居宅介護▽居宅療養管理指導──などについて検討した。

厚労省は平成29年度介護事業経営実態調査結果などを踏まえ、通所介護の基本報酬について規模に応じてメリハリをつけて適正化する方針を示した。大規模型事業所の介護報酬を引き下げる方向だ。

通所介護

生活機能向上連携加算を創設

通所介護は年々、事業所数が増加しており、平成27年度末時点で13年度末と比べて4.5倍の4万3,440ヵ所。通所介護の27年度の費用額は約1.7兆円であり、同年度の費用額累計約9.5兆円のうち2割弱を占める(図表1~3)。

▲図表1 通所介護の事業所数

▲図表2 通所介護の利用者数

▲図表3 通所介護の費用

財務省が10月25日に財政制度等審議会財政制度分科会に提出した資料では、通所介護について機能訓練など自立支援・重度化防止に向けたサービス提供が行われていない場合は、基本報酬の減算も含めた介護報酬の適正化を求めている。

厚労省は、通所介護について、①生活機能向上連携加算の創設②基本報酬のサービス提供時間区分の見直し③基本報酬の見直し④延長加算の単価の引き上げ⑤設備の共用の明確化──などの論点を示した(地域密着型通所介護も含めた見直し)。

このうち①生活機能向上連携加算の創設は、自立支援・重度化予防の一層の推進が狙い(図表4)。

▲図表4 生活機能向上連携加算の創設

現在の個別機能訓練加算は機能訓練指導員を専従で置く必要があり、特に小規模事業所では新たな職員の雇用が困難で「加算が取得できない」との声があることを踏まえ、外部の専門職を活用することを提案した(図表5)。

▲図表5 通所介護の個別機能訓練加算の届出状況

具体的に、訪問・通所リハビリ、リハビリを実施している医療機関(病院・診療所・老健施設等)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、医師が通所介護事業所を訪問し、その事業所の職員と共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成する。

さらにリハ専門職(医師も含む)と連携して個別機能訓練計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて計画・訓練内容を見直すことを評価する。進捗状況等の評価の期間は今後、検討する。算定は定期的な評価ごとに算定が可能だ。ちなみに現在の個別機能訓練加算で3ヵ月に1回、進捗状況等を評価している。

▲参考資料1 通所介護の個別機能訓練加算

▲参考資料2 介護保険におけるリハビリテーション・機能訓練の提供イメージ

サービス提供時間を1時間区切りに

②サービス提供時間区分については実態を踏まえて、3時間以上からの2時間ごとの区切りから1時間ごとに見直すことを提案した。現在は「3時間以上5時間未満」「5時間以上7時間未満」「7時間以上9時間未満」となっている。これを「3時間以上4時間未満」などと1時間ごととする考えだ(図表6)。

▲図表6 基本報酬のサービス提供時間区分の見直しについて

▲参考資料3 基本報酬のサービス提供時間区分の見直しについて

実態調査を踏まえて基本報酬を見直し

③基本報酬見直しについては、規模が大きくなるほど収支差率が高まる一方、サービス提供1人当たりのコストが下がっている実態を踏まえ、規模に応じてメリハリをつけて引き下げを図る方針を示した(図表7)。

▲図表7 基本報酬の見直しについて

29年度介護事業経営実態調査結果に基づき、通所介護の収支差率(税引き前)をみると、地域密着型通所介護(定員18人以下)は2.0%、通常規模型(定員19名以上で前年度の1月当たり延べ利用者数が750人以下)は3.4%。一方、大規模型(Ⅰ)(同751~900人)は7.9%、大規模型(Ⅱ)(同901人以上)は10.0%など。また大規模型と通常規模型を比較すると、大規模型の方が約11~12%コストが低い。

現行でも通常規模型に比べて大規模型は単価設定が低くなっており、同様に見直される方向だ。

▲参考資料4 通所介護の基本報酬

▲参考資料5 通所介護の経営状況とサービス提供1人当たりの管理的経費

④延長加算の単価の引き上げは、「慎重に検討すべき」と提案した。今年度実施している「通所介護に関する調査研究事業」で家族の意向を確認したところ「利用したいと思わない」が79.0%に上るなどニーズが低いことや、分科会での反対意見などを踏まえた(図表8・9)。

▲図表8 延長加算の単価の引き上げについて

▲図表9 通所介護の延長サービスの利用ニーズ等

⑤設備の共用については、通所介護と訪問介護が併設され、利用者へのサービス提供に支障がない場合に、事務室や玄関、廊下、階段などの共用が可能であることを基準上、明確化することを提案。また訪問介護に限らず他のサービスでも、共用を認められない場合を除き、可能な設備は共用できることの明確化も提案した(図表10)。

▲図表10 設備に係る共用の明確化

▲参考資料6 通所介護における設備に関する規定

また療養通所介護については、分科会のこれまでの意見で重症心身障害児・者を支援する児童発達支援事業を実施している場合での定員数の引上げが求められたこと等を踏まえ、定員数9名以下からの引上げが提案された(図表11)。

▲図表11 療養通所介護の定員数の見直しについて

▲参考資料7 主に重症心身障害児を通わせる児童発達支援の事業所等を療養通所介護事業所において実施する場合の取扱い

「スケールメリットが働く大規模化」への配慮の声も

通所介護等についての意見交換で健保連理事の本多伸行委員は、通所介護での「生活機能向上連携加算」の創設について、機能訓練の質の担保の重要性を強調。外部のリハ専門職との連携だけでなく、医師の関与の明確化を求め、詳細な指示を出すことを要件とするように提案した。

また評価の適正化について介護事業経営実態調査結果を踏まえた見直しを支持するとともに、効率的な利用の観点から「スケールメリットが働く大規模化を妨げないような報酬の設定」への配慮を要請。「通常規模型や小規模型で管理的経費がかかることを理由に手厚くするすることは理解が得られない」と指摘した。

全国老人クラブ連合会常務理事の齊藤秀樹委員は、「生活機能向上連携加算」の創設について、定期的な評価の実施について重視。その上で「必要以上に機能訓練を利用者に無理強いすることがないように配慮する必要がある」と指摘した。

さらに通所介護は「心身機能の維持のほかに閉じこもり予防や家族のレスパイト機能もあわせ持つサービス」と強調。そうした機能が損なわれないような評価を要望した。

全国老人保健施設協会会長の東憲太郎委員は、「生活機能向上連携加算」について外部のリハ専門職が計画作成等に少し関与するだけで加算を算定されるなどの危惧を表明。「ADLや認知症が悪化したときに改善させるのは基本的に通所リハ」と述べた。

全国健康保険協会理事長の安藤伸樹委員は、実態調査結果を踏まえ、大規模型事業所の報酬の引き下げを主張した。

一方、民間介護事業推進委員会代表委員の稲葉雅之委員は、基本報酬の見直しについて、介護サービスでも生産性の向上が求められており、効率化の意欲がそがれないように「慎重な議論」を要請した。

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