Web医療と介護

宮島 俊彦(みやじま・としひこ)

地域医療構想の誘導策(宮島俊彦)#8

来年度から始まる第7次医療計画において、病床再編が大きな課題となっている。地域医療構想を実現するために必要な病床再編をどのように進めるのか。 
病院ごとの病床機能の実態がわかるデータ開示と、都道府県単位の公立病院の独法化が方策となる、と筆者は述べる

 

二次医療圏の病床を急性期から回復期にどう移行させるか?

地域医療構想を実現するために、来年度から始まる第7次医療計画では、病床を急性期から回復期にどう移行させるかと、慢性期を減らし在宅医療等に移行するか、の二点が焦点になっていた。

つまり、各医療機関が自主的に選択した病床機能報告に対して、2025年には、急性期は現状58.1万床であるのを40.1万床に、回復期は11.0万床であるのを37.5万床に、慢性期は35.2万床を26万床程度にするというのである。
このうち、慢性期が在宅医療等に移行する際には、介護医療院という、療養病床と介護保険施設との折衷的なものを作ったので、それに移行すればよく、そんな大きな問題ではなくなった。

問題は、二次医療圏毎の病床を急性期から回復期にどう移行させていくのか、という点である。病院の開設主体は、医療法人が5,764と圧倒的に多く、国立病院機構やJCHO、ナショナルセンター、国立大学の附属病院などの国が328、県と市町村の公立が929、日赤や済生会、厚生連など公的が282、そのほか社会保険が52、個人が231、株式会社や生協などその他849となっている。二次医療圏ごとに、これら開設主体の違う病院があるので、その間の協議は容易ではない。
一般的には、急性期への居残りをかけて争いが生じる可能性が大きい。

病院ごとの病床機能の実態がわかるようにデータの開示を

円滑に病床再編を進めるための方策として、ひとつはデータによる誘導がある。
病院の自主申告である病院機能報告と、国が示した2025年の医療機能別必要病床数の推計は、随分違っている。大学病院などはすべて高度急性期機能と報告しているが、実態は違う。
県立中央病院によっては、すべて高度急性期と急性期しかやっていないと言い張っているが、実態は回復期になっているところもある。

この際、病院ごとの医療機能別病床数のデータを、開示するようにしてはどうか。
病院ごとに病床機能の実態がわかれば、病床再編の議論は大きく進むだろう。病院ごとの病床機能の開示は「病院のプライバシーの侵害」になると言っている向きもあるが、患者個人のプライバシーではなく、病院がどのような医療を提供しているかということだから、プライバシーの問題ではないだろう。
たとえば英国でも、病院ごとにどういうことを行っているのかデータをしっかり出している。それによって、各病院がどういう役割を地域で果たしていくのかを地域で考えることが基本だろう。

2025年はもうすぐである。
地域医療構想の医療機能別必要病床数も2025年の目標ではなく、2040年の推計を出してはどうか。2040年の推計は、人口推計に応じて医療機能別の推計をすればよいので簡単にできる。2040年の推計を見れば、さらに人口の縮小と高齢化が進むので、二次医療圏ごとに急性期一辺倒では病床機能が維持できないことが一目瞭然でわかる。
病院の建て替えや改築も、投資として考えると、30年から40年先の判断が必要である。2025年では、もうたった8年先の話であり、病院投資を考える場合には中途半端である。

次ページ » 都道府県単位の公立病院の独法化で補助金体質からの脱却を

  • 1
  • 2
宮島 俊彦(みやじま・としひこ)
岡山大学客員教授(元内閣官房社会保障改革担当室長)

昭和52年3月 東京大学教養学部教養学科卒業
昭和52年4月 厚生省入省
平成元年4月 山形県生活福祉部社会課長
平成17年9月 厚生労働省大臣官房審議官(保険・医政担当)
平成18年9月 厚生労働省大臣官房総括審議官
平成20年7月 厚生労働省老健局長
平成24年9月 厚生労働省退職
平成26年3月 内閣官房社会保障改革担当室長
平成28年7月 同退任

現在、岡山大学客員教授
介護経営学会理事
三井住友海上火災顧問

著書に『地域包括ケアの展望』社会保険研究所(2013年刊行)がある。
Web医療と介護