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〔居宅サービス・施設サービス等〕特養等で医療ニーズへの対応や自立支援・重度化予防などを求める〔短期入所生活介護・特定施設入居者生活介護等を検討〕(11月15日・介護給付費分科会)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は11月15日、介護老人福祉施設(特養)や短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)、認知症対応型通所介護(認知症対応型デイサービス)等について検討した。厚労省は、全般的に医療ニーズへの対応を手厚くする評価を行うことや、自立支援・重度化予防の一層の推進を図る見直しを提案した。

特養では、配置医師の新たな評価や手厚い体制での看取りの評価等が示される一方、個別機能訓練加算で外部のリハビリ専門職等と連携した場合の評価の導入が上げられた。

介護老人福祉施設(特養)

厚労省は、特養について▽入所者の医療ニーズへの対応を手厚くすること▽身体拘束の適正化▽外泊時での在宅サービスの利用▽自立支援・重度化防止の一層の推進▽障害者の受け入れでの見直し▽小規模施設(定員30名)や旧措置入所者の基本報酬見直し▽ユニット型準個室の名称を「ユニット型居室」とすること──を提案した。意見交換で委員からは強い異論は出されなかった。

全国老人福祉施設協議会の瀬戸雅嗣委員も論点には概ね理解を示す一方、赤字施設が33.8%に上ることを紹介して、「特養が崩壊する。基本報酬を増額することが必要」と訴えた。また食費が上がっている実態を指摘し、基準費用額の見直しを改めて要望した。

配置医師の評価など医療ニーズの対応を手厚く

医療ニーズへの対応では、複数名の配置医師を置いていること、もしくは配置医師と協力病院等の医師が連携し、新設する要件を満たし、医師が早朝・夜間・深夜に施設を訪問し入所者の診療を行ったことを新たに評価する(図表1)。

さらに、こうした体制を整備し実際に看取りを行なった場合、看取り介護加算の算定でより手厚く評価する。

また入所者の病状の急変に備えるため、配置医師による取り組みなどの対応方針を定めることの義務付けも示した(図表2)。

新設する要件は次のとおり。

①入所者に対する緊急時の注意事項や病状等についての情報共有の方法及び曜日や時間帯ごとの医師との連絡方法や診察を依頼するタイミングなどについて、医師と施設の間で、具体的な取り決めがなされていること。
②複数名の配置医師を置いていること、もしくは配置医師と協力病院等の医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制を確保していること。
③①及び②の内容につき、届出を行っていること。
④看護体制加算(Ⅱ)を算定していること。
⑤早朝・夜間又は深夜に施設を訪問し、診療を行う必要があった理由を記録すること。

他方、常勤配置医師の加算要件の見直しを提案した。具体的に、同一建物内でユニット型と従来型が併設され、一体的に運営されており、双方で1名の医師が適切な健康管理及び療養上の指導を実施している場合は、双方で加算を算定できることとする(図表2)。

また夜間の医療処置の対応で手厚い評価の導入が提案した。夜勤職員配置加算について、現行の要件に加えて夜勤時間帯を通じて、看護職員又は医療的ケアができる認定特定行為業務従事者を配置していることを評価する。短期入所生活介護も同様とする(図表3)。

▲図表1 入所者の医療ニーズへの対応について①

▲図表2 入所者の医療ニーズへの対応について②

▲図表3 入所者の医療ニーズへの対応について③

▲図表4 入所者の医療ニーズへの対応について④

身体拘束の適正化を提案

厚労省は、身体拘束の適正化を図るため、身体拘束廃止未実施減算について運営基準と減算幅を見直すことも提案した。老健施設や介護療養型医療施設、介護医療院、認知症グループホーム、特定施設でも同様とする(図表5・6)。

基準案として、現行で求められている、身体拘束等を行う場合の理由等の記録に加え、▽身体拘束等の適正化のため対策を検討する委員会を3月に1回以上開催するとともに、その結果の介護職員等への周知徹底▽身体拘束等の適正化の指針の整備▽身体拘束等の適正化のための研修の定期的実施──ことを示した。

現行では減算幅は1日につき5単位となっているが、1日につき所定単位数の何%かを引き下げる考えで、減算幅を大きくする方向だ。

▲図表5 身体拘束の適正化について①

▲図表6 身体拘束の適正化について②

外泊時のサービス利用を評価

厚労省は特養の入所者が居宅等に外泊して在宅サービスを利用する場合の新たな評価の導入を提案した(図表7)。

1ヵ月につき6日まで。特養における所定単位数に代えて1日につき一定の単位数を算定できるようにする。外泊の初日及び最終日は算定できない。施設のケアマネジャーがケアマネジメントを行なう。サービスの提供は外部の介護サービス事業所への委託も可能とする。その場合は特養と事業所の間での契約で委託費が決まる。

老健施設でも同様としているが、介護医療院については「未定」だ。

▲図表7 外泊時に在宅サービスを利用したときの費用について

個別機能訓練加算で新たな評価

特養でも自立支援・重度化防止を一層推進することを目指し、個別機能訓練加算に外部のリハビリ専門職等と連携した場合における新たな評価の導入を提案した。特定施設入居者生活介護でも同様の扱いとしている(図表8)。

要件としては、訪問・通所リハ、リハを実施している医療提供施設の理学療法士等が特養を訪問し、特養の職員と共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成すること。さらに機能訓練指導員や介護職員等が計画に基づき、機能訓練を実施することとしている。

▲図表8 自立支援・重度化防止に資する介護の推進について

障害者の受け入れで加算を見直し

障害者の受け入れでは、障害者生活支援体制加算で新規の要件を満たす場合のより手厚い評価を行うことや、地域密着型特養等の小規模施設も評価することを上げた(図表9)。

障害者生活支援体制加算での新規の要件としては、①入所障害者数が入所者総数の50%以上、②障害者生活支援員としての常勤職員の2名以上の配置──が示された。

▲図表9 障害者の生活支援について

また小規模施設について、30年度以降の施設の基本報酬は通常の施設と同様にする。既存の小規模施設や経過的地域密着型特養(17年度以前に開設した定員26~29名の施設)は経過措置後、通常の施設の基本報酬に統合する。ただし30年度にも一定の見直しを図る(図表10)。

旧措置入所者の基本報酬は30年度から通常の施設又は小規模施設の基本報酬に統合する。

▲図表10 基本報酬の見直しについて

▲参考資料1 小規模特養等の収支差率について

ユニット型準個室から「ユニット型居室」への名称変更は、他の介護保険施設やショートステイでも同様に見直す(図表11)。

▲図表11 介護老人福祉施設における居室とケアについて

▲参考資料2 介護老人福祉施設の居室類型

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