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〔口腔・栄養関係・共生サービス・介護人材関係他〕通所介護、施設での状態の維持・改善で評価を導入(11月29日・介護給付費分科会)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は11月29日、平成30年度介護報酬改定に向け、▽介護サービスの質の評価と自立支援に向けた事業者へのインセンティブ▽介護ロボットの活用への評価▽共生型サービス▽口腔・栄養関係▽その他──など複数のサービスに関係する論点や残されていた課題について検討した。

介護サービスの質の評価では、通所介護における心身機能の維持・改善、施設での排泄の改善、特養等での褥瘡予防を評価することが提案された。分科会ではおおむね了承された。

通所介護へのアウトカム評価の導入を提案

厚労省は、サービスの質の評価に関連して、現行の要介護に応じた介護報酬体系をとり、利用者の状態改善に取り組む事業者などには加算等により評価していく方針を維持する考えを示した(図表1)。

▲図表1 要介護度に応じた報酬について

▲参考資料1 介護報酬等に係る基本的考え方とインセンティブ(イメージ)

その上で、今回の報酬改定では(1)通所介護における心身機能の維持に関するアウトカム評価(2)排泄にかかる機能の向上への取り組みへの新たな評価(3)褥瘡の予防の管理で新たな評価──の導入を提案した。

このうち(1)通所介護における心身機能の維持に関するアウトカム評価の導入は、評価期間内の利用者のADLの維持又は改善の度合いが一定水準を超えた場合に、一定期間、加算の取得を認める。評価指標は広く用いられているBarthel Indexの活用を想定している。利用者に占める一定水準の維持・改善者の割合で判断していく考え(図表2)。

▲図表2 通所介護における心身機能の維持に係るアウトカム評価について

▲参考資料2 Barthel Indexについて

評価期間中に①一定以上の利用者数がいること②要介護3より重度の利用者が一定割合以上いること③機能訓練以外の食事・入浴介護の提供の実績があること──などの要件を設定する。

評価期間や加算が取得できる一定期間などの詳細は今後、既存の事業所評価加算を踏まえて検討していく考え。

分科会では「クリームスキミングが起こらないような配慮」を求める意見が出された。

排泄の機能の向上で新たな評価

(2)排泄にかかる機能の向上への取り組みへの新たな評価は、特養や老健施設、介護療養型医療施設、介護医療院において導入するもの(図表3)。

▲図表3 排泄にかかる機能を向上させる取組に対する評価の新設について

排泄に介護が必要な利用者のうち、身体機能の向上や環境の調整等によって排泄にかかる要介護状態を軽減できると医師、又は医師と連携した看護師が判断し、利用者も希望する場合、多職種が排泄にかかる各種ガイドライン等を参考として▽排泄に介護が必要な原因の分析▽分析結果を踏まえた支援計画の作成及び支援──に取り組んだ場合に、一定の期間、高い評価を行うとしている。

要介護状態の改善とは、認定調査項目が「排尿」又は「排便」の項目が「全介助」から「一部介助」以上に、又は「一部介助」から「見守り等」以上に改善することを目安にする。

褥瘡の予防の管理で加算を導入

(3)褥瘡の予防の管理で新たな評価は、特別養護老人ホームと老健施設に加算を導入する方向だ(図表4)。

▲図表4 褥瘡の発生予防のための管理に対する評価について

入所者全員に対して、入所時に褥瘡の発生と関連が深いモニタリング指標で評価し、少なくとも3ヵ月に1回は評価を行い、その結果を保険者に提出する。褥瘡の発生のリスクがある入所者に対して、ケア計画を作成し、それに基づき管理する。評価に基づき3ヵ月に1回、計画を見直す。管理を行い、実際に褥瘡となった場合でも加算は算定できる。

介護療養型医療施設には既に褥瘡対策指導管理が設けられており、介護医療院も同様に設定する考え。

特養での介護ロボットの見守り機器の活用で評価を提案

厚労省は特養の夜勤職員配置加算を見直し、一定の要件を満たして介護ロボットの見守り機器を活用する場合に評価することを提案した(図表5)。短期入所生活介護も同様の扱い。

▲図表5 介護ロボットの活用による評価について

特養の夜勤職員配置加算について次の要件を満たし、夜勤の介護職員等が最低基準を0.9人以上上回って配置した場合にも算定できるようにする。0.9人について、厚労省は「加配される1人は夜勤の時間を短縮できるイメージ」と説明する。なお従来の要件では夜勤を行う介護職員等の和が最低基準を1以上上回っていることを求めている。

要件は、①ベッド上の入所者の動向を検知できる見守り機器を入所者数の15%以上配置していること②施設内に見守り機器を安全かつ有効に活用するための委員会を設置し、必要な検討等を行っていること──が示された。

共生型サービスについて提案

厚労省は共生型サービスである▽共生型通所介護▽共生型訪問介護▽共生型短期入所生活介護──の基準・報酬案について提案した(図表6~9)。

▲図表6 共生型サービスの基準・報酬案①

▲図表7 共生型サービスの基準・報酬案②

▲図表8 共生型サービスの基準・報酬案③

▲図表9 共生型サービスの基準・報酬案④

参考資料3 共生型サービスの趣旨等

ホームヘルプ・デイサービス・ショートステイなど各サービスに該当するサービスの障害福祉事業所は基本的に共生型の指定を受けられるようにする。本体報酬の単価は別の設定になる(介護保険の基準を満たす場合は通常の報酬)。ただし報酬について障害者が64歳から65歳になって介護保険に切り替わる際に事業所の報酬が大きく減ることがないよう概ね障害報酬の水準を担保する考え。

他方、通所介護事業所など通常の指定サービスの加算と同様に各加算の要件を満たした場合には算定できることとする。

具体的に「共生型通所介護」については、障害福祉制度の生活介護や自立訓練、児童発達支援、放課後等デイサービスの指定を受けた事業所は基本的に指定が受けられるものとして基準を設定する。加えて、生活相談員(社会福祉士等)を配置する場合は評価する加算を設定する(図表10)。

▲図表10 共生型デイサービス(共生型通所介護)の基準・報酬案

参考資料4 障害福祉サービスと介護保険サービスとの比較(デイサービス)

▲参考資料5 障害報酬と介護報酬との比較(デイサービス、ホームヘルプサービス、ショートステイ)

「共生型訪問介護」については、障害福祉制度の居宅介護や重度訪問介護の指定を受けた事業所は基本的に指定を受けられる。

ただしヘルパー資格について、介護ではヘルパー2級(研修130時間)以上である一方、障害ではヘルパー3級(研修50時間)や重度訪問介護従業者養成研修修了者(10時間)もサービス提供が可能である。

これらのヘルパーがサービス提供できるのは65歳に至るまで当該事業所で障害福祉サービスを利用していた高齢障害者に限ることを提案した(図表11・12)。

障害福祉制度の居宅介護の報酬は介護と基本的に同じであることから居宅介護事業所が共生型の指定を受ける場合、訪問介護と同様の単価とする。また、3級ヘルパー等がサービスを提供する場合は障害福祉制度の取り扱いを踏まえて設定するとした。たとえば障害福祉制度では3級ヘルパーは3割減算となっている。

▲図表11 共生型ホームヘルプサービス(共生型訪問介護)の基準・報酬案①

▲図表12 共生型ホームヘルプサービス(共生型訪問介護)の基準・報酬案②

▲参考資料6 障害福祉サービスと介護保険サービスとの比較(ホームヘルプサービス)

▲参考資料7 障害者居宅介護従業者基礎研修と重度訪問介護従業者養成研修(基礎過程)

▲参考資料8 障害の居宅介護と重度訪問介護事業の資格等別の従事者数

「共生型短期入所生活介護」については、障害福祉制度の短期入所の指定を受けた事業所は基本的に指定を受けられる。ただし単独型は基準が緩いことから、併設・空床方のみを対象とする。生活相談員(社会福祉士等)を配置する場合に評価する加算を設定する(図表13)。

▲図表13 共生型ショートステイ(共生型短期入所生活介護)の基準・報酬案

▲参考資料9 障害福祉サービスと介護保険サービスとの比較(ショートステイ)

またケアマネジャーと相談支援専門員の連携について運営基準上、明確化することも示した(図表14)。

▲図表14 ケアマネジャーと相談支援専門員の連携

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