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〔介護報酬・指定基準等〕平成30年度介護報酬改定に向けた審議報告をまとめる(12月13日・介護給付費分科会)[12月20日・18日の審議報告について一部追記]

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は13日、平成30年度介護報酬改定に関する審議報告をまとめた。審議報告には、新たに導入される介護医療院や共生型サービスの基準・報酬の考えなどが盛り込まれている。

なお、18日には、今回の議論を踏まえ、平成30年度介護報酬改定に関する審議報告が公表されている。

平成30年度介護報酬改定に関する審議報告等については以下をクリック
平成30年度介護報酬改定に関する審議報告の概要
平成30年度介護報酬改定に関する審議報告

今後、予算編成過程で全体の改定率が決定された後、分科会は年明け以降に各サービスの改定事項の詳細を検討する。1月中旬以降にまず各サービスの基準省令案について厚生労働大臣から諮問され、検討した後、審議会として答申する予定だ。さらに各サービスの単位案も含めて全体の改定事項が諮問され、遅くとも2月上旬には答申する運びだ。

地域包括ケアシステムを推進/自立支援・重度化予防も強調

審議報告は厚労省から6日に案が示され、分科会は検討。出された意見を踏まえ修正されたものが13日に改めて示され、了承された。

審議報告は大きく次の四つを柱としている。

(1)平成30年度介護報酬改定に係る基本的な考え方

(2)平成30年度介護報酬改定の基本的な考え方とその対応

(3)各サービスの報酬・基準に係る見直しの基本的な方向

(4)今後の課題

このうち(1)基本的な考え方では、①地域包括ケアシステムの推進②自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現③多様な人材の確保と生産性の向上④介護サービスの適正化・重度化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保──の4点を示した(図表1)。

▲図表1 平成30年度介護報酬改定に関する審議報告の概要(案)-1

(2)基本的な考え方とその対応では、4点に合わせて課題ごとに各介護サービスの改定事項を整理している。これまでの審議で厚労省が示した対応案に、委員の意見を反映させている。改定事項のうち運営基準等は既に1日の分科会で了承されており、それも含めて示されている。

(3)各サービスの報酬・基準に係る見直しでは、(2)の改定事項をサービスごとに再整理。さらに(2)で触れ切れていない事項も示した。

改定事項には、厚労省が示した対応案がほぼ全て網羅されたが、(看護)小規模多機能型居宅介護と通所リハビリの併用は、分科会での反対意見もあり、盛り込まれなかった。

改定事項は多岐に渡る。「(2)基本的な考え方とその対応」に沿いながら、新たに導入される介護医療院や共生型サービス、自立支援・重度化予防の取り組みなどのポイントを見てみる。

①地域包括ケアシステムの推進(図表2)

▲図表2 平成30年度介護報酬改定に関する審議報告の概要(案)-2

介護医療院は療養室の環境の充実も評価/訪問リハなど3つの居宅サービスが可能

まず①地域包括ケアシステムの推進で、介護医療院などについて触れている。

介護医療院は介護療養病床(療養機能強化型)相当サービスのⅠ型と老健施設相当以上サービスのⅡ型の2つのサービスがある。サービスは病棟単位で提供されるが、規模が小さい場合療養室単位でも可能とする。

人員配置は介護療養病床等を参考に、Ⅰ型・Ⅱ型の医療・介護ニーズを踏まえ、医師・薬剤師・看護職員・介護職員について設定する。リハ専門職・栄養士・放射線技師等は施設全体として配置する。

療養室は定員4名以下、1人当たり床面積8㎡以上。プライバシーに配慮した環境とすることに務める。

療養室以外では、介護療養型医療施設と同様に診察室等を求める。また医療法等の基準と整合性を図る。

運営基準は介護療養型医療施設と同様。医師の宿直は求めるが、一定の条件の下、配慮する。

併設医療機関の宿直の医師との兼任など人員基準の緩和とともに、設備の共用を認める。

基本報酬は、Ⅰ型は介護療養病床を、Ⅱ型は介護療養型老健を参考に設定する。Ⅰ型・Ⅱ型の機能・基準に応じた評価を行い、一定の医療処置や重度者要件等を設けてメリハリをつけた評価とする。さらに「介護療養病床よりも療養室の環境を充実させていることも合わせて評価する」としている。

介護療養型医療施設で評価されている加算等は引き続き同様とする(必要に応じて名称を変更)。緊急時の医療にも対応することから、老健施設の緊急時施設療養費と同様の評価を行う。

介護医療院(Ⅰ型)については、療養機能強化型の介護療養型医療施設と同様に、入院患者の介護給付費明細書に医療資源を最も投入した傷病名をDPCコードにより記載を求める。この点は、療養機能強化型以外の介護療養型医療施設でも同様とする。一定の経過措置を設ける。

介護医療院が実施できる居宅サービスは、訪問リハビリと通所リハビリ、短期入所療養介護の3サービス。

介護医療院に転換後の加算も創設/3年間の期限を設定

介護療養型医療施設等から介護医療院に転換する場合、基準の緩和等を行う。

さらに「転換後の加算」が創設される。転換前後のサービスの変更内容を利用者等に丁寧に説明するなどの取り組みについて、最初に転換した時期を起算日として、1年間に限り算定可能な加算を創設する。ただし33年3月末までの期限を設ける。

加算の導入について健保連の本多伸行委員は繰り返し異論を表明。6日の分科会でも「転換を早期に促す施策は必要だが、保険料が本来のサービス提供と違う目的に使われることは被保険者の理解が得られない」と指摘。その上で導入する場合には加算の算定要件の詳細を示すことと利用者等への説明が確実に実施されたことに関する担保の必要性を強調した。

共生型の報酬は本来の報酬単価とは区別/地域貢献等を評価する加算も導入

地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進の一環として、「共生型サービス」を導入する。

障害福祉制度の指定を受けた事業所で、介護保険の訪問介護・通所介護・短期入所生活介護の指定を受ける場合の基準の特例を設ける。

障害者が65歳以上になっても慣れた事業所でサービスを利用しやすくするという制度趣旨を踏まえ、該当する指定障害福祉事業所は基本的に共生型の指定を受けられることとする。

新たに基準・報酬が設定されるのは▽共生型通所介護▽共生型短期入所介護▽共生型訪問介護──の三つ。

共生型通所介護については、障害福祉制度の生活介護や自立訓練、児童発達支援、放課後等デイサービスの指定を受けた事業所であれば指定を受けられる。

報酬については、本来の介護保険事業所の基準を満たしていないため、本来の報酬単価とは区別して、介護保険からでる。概ね障害福祉制度の報酬の水準とする。

本来の通所介護で配置される生活相談員(社会福祉士等)を配置し、かつ、地域と関わりをもつために地域に貢献する活動(地域の交流の場の提供等)を実施している場合に評価する加算を設定する。また本来の通所介護の加算の要件を満たす場合は算定も可能とする。

共生型短期入所生活介護は、障害福祉制度の短期入所の指定を受けた事業所であれば指定を受けられる。ただし単独型は介護の短期入所生活介護より基準が緩いことから共生型の対象とはせず、併設・空床型のみを対象とする。基本報酬や加算については共生型通所介護と同様に対応する。

共生型訪問介護は、障害福祉制度の居宅介護や重度訪問介護の指定を受けた事業所であれば指定を受けられる。現行でも訪問介護事業所の指定を受けている居宅介護事業所は69・3%に上る。

サービスが提供できる者は介護ではヘルパー2級(130時間)以上であるが、障害では居宅介護従業者基礎研修(50時間)や重度訪問介護従業者養成研修修了者(10時間)も可能だ。共生型訪問介護で障害の二つの研修修了者がサービスを提供できるのは、これまでサービスを利用していた高齢障害者に対してのみとする。

基本報酬の設定の考え方は共生型通所介護等と同様。ただし障害の居宅介護の報酬は、介護と基本的に同じであるため、障害の居宅介護事業所が共生型訪問介護の指定を受ける場合は訪問介護と同様の単価となる。

また居宅介護従業者基礎研修修了者がサービスを提供する場合は障害の取り扱いと同様に30%減算とする。

他方、障害福祉制度でも「共生型サービス」は導入され、対象となる介護サービスについて検討されている。

なお法令上の共生型通所介護等以外の介護サービス等でも、「共生型サービス」を名乗ることを可能としており、通知で示す予定だ。

老健施設の報酬体系を見直す/特養の医療ニーズに対応

平成29年6月に公布された改正介護保険法で老健施設の役割として在宅復帰・在宅療養支援であることがより明確にされたことを踏まえ、この機能をさらに推進する観点から報酬体系を見直す方針が示された。老健施設の機能の評価について既存の在宅復帰率等に加え、入所後の利用者の在宅復帰に向けた指導等の取り組みやリハ専門職の配置などを指標として導入し、さらにきめ細かい評価を行う。また現行の在宅強化型よりも在宅復帰・在宅療養支援を進めている施設はさらに評価する。基本報酬を設定するか、加算にするかは今後検討する。

また特養の医療ニーズへの対応で配置医や他の医療機関との連携、夜間の職員配置や施設内での看取りの評価の充実などの見直しを行う。

医療・介護連携の推進のため、医療機関との連携により積極的に取り組む居宅介護支援事業所について、入院時連携に関する評価を充実するとともに、加算も導入する。

訪問介護事業所等から伝えられた利用者の服薬の状態等について、ケアマネジャーから主治の医師等に必要な情報を伝えることを義務付ける。

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