Web医療と介護

〔個別事項その7(続き)/8〕医療機関から薬局への検査データの提供や離職後の病理医による病理診断の評価は了承得られず(12月15日中医協総会①)

中医協総会(田辺国昭会長)は12月15日、個別事項(その7)の続きと個別事項(その8)を議論した。

医療にとどまらない患者の生活に関わる様々な相談が外来で増えていることを踏まえ、何らかの評価を検討する。がん患者の就労の継続が図れるよう、かかりつけ医が産業医の助言を受け治療計画の見直した場合などを評価する。麻酔の技術評価では、常勤医師による総合的な医学管理を充実させる。スティーヴンス・ジョンソン症候群については、眼の後遺症の治療法が指定難病の治療法に追加されることを踏まえ、コンタクトレンズによる治療法を保険適用する。「医療機関と薬局の情報共有・連携」と「保険医療機関に所属しない個人の病理医との連携による病理診断」については委員の了承が得られなかった。

1.医療機関と薬局の情報共有・連携
2.外来における相談・連携
3.治療と仕事の両立支援
4.保険医療機関に所属しない個人の病理医との連携による病理診断
5.麻酔の技術評価のあり方
6.スティーヴンス・ジョンソン症候群等の眼後遺症に対する治療

1.医療機関と薬局の情報共有・連携

効果的な薬物療法や服薬指導の推進のため、医療機関からかかりつけ薬剤師に対して検査値や診療上の留意点などに関する情報を提供した場合の評価が論点となった。

例えば、非ステロイド性の消炎鎮痛剤であるロキソプロフェンNa錠の使用上の注意として、「腎障害」「高齢者」などがある。患者がかかりつけ薬剤師に処方せんを持参した場合に、「高齢者」であることはわかるが、「腎障害」があることはわからない。腎機能低下を示す検査値があれば、通常用量より少量からの開始など、きめ細かな対応ができる。こうした取り組みにより、かかりつけ医とかかりつけ薬剤師の連携による薬物療法で安全性が向上すると、厚労省は説明した。

しかしこの論点に対して、日本医師会の委員はそろって反対を表明した。松本純一委員は、「検査値を利益確保重視のチェーン薬局に提供すると、様々な製品販売に利用されるおそれがある」と懸念を示した。一方、日本薬剤師会理事の安部好弘委員は、「かかりつけ医薬剤師による疑義照会が多くなっている。データに基づいて医師と連携し、処方を適切にする取り組みが望まれる」と強調した。支払側委員は、方向性に賛意を示しつつ、患者の同意や「かかりつけ医薬剤師からのフィードバックを受け取る医療機関の連携担当者・窓口の明確化」などの厳格化を求めた。

1.医療機関と薬局の情報共有・連携の【課題】と【論点(案)】

【課題】

○ 医師が、医薬品適正使用を進める上で、連携を図りたいと考える薬剤師として、自分の処方意図や患者の疾患背景をある程度理解している薬剤師があげられる。

○ 医療機関から薬局に対し検査値等が提供された場合、薬局薬剤師が検査値等を踏まえて疑義照会を行い医師による処方変更に至るなど、医師と薬剤師の連携により薬物療法の安全性の向上につながっている。他方で、こうした情報を提供していない医療機関や受け取っていない薬局も存在する。

○ かかりつけ薬剤師・薬局を持っている患者のほうが、検査値等を薬局に提示した経験が多く、医療機関からの検査値等の提供にあたっては、患者や医師との信頼関係が構築されていることが重要である。

○ 医療機関において、薬局からの問い合わせへの対応方法は様々で、特定の問い合わせ窓口を設定している医療機関は少ない。

【論点(案)】

○ 効果的な薬物療法や服薬指導の推進のため、医療機関からかかりつけ薬剤師に対して検査値や診療上の留意点等に関する情報を提供した場合の評価を検討してはどうか。

○ その際、こうした連携がより有効性の高いものとなるよう、かかりつけ薬剤師からのフィードバックを受け取る連携担当者・窓口の明確化等を評価の要件にしてはどうか。

▲図表1 かかりつけ医とかかりつけ薬剤師の連携による薬物療法の安全性向上(イメージ)

2.外来における相談・連携

外来患者の相談件数が増加しているという。特に急性期病院での延べ相談件数の増加が著しい。相談内容は、「制度の利用」(85%)が最も多く、次いで「経済的な問題」(72%)、「受診・入院相談」(69%)が多い。相談件数としては、入院患者に相談が多く、診療報酬の評価でも「患者サポート体制充実加算」や「退院支援加算」がある。

これらを踏まえ、外来での何らかの評価を検討することが論点になった。全日本病院協会会長の猪口雄二委員は、「本来は診療報酬ではなく助成金等で対応すべきもの」としつつ、賛意を示した。協会けんぽ理事の吉森俊和委員は「方向性は理解するが、評価の中身については慎重な検討が必要」と述べた。

2.外来における相談・連携の【課題】と【論点(案)】

【課題】

• 患者の相談窓口の利用状況について、外来患者と入院患者を比較すると、利用数は入院患者のほうが多いが、年齢が若くなるにつれて、外来患者の利用割合が増えている。窓口利用において、外来患者は「病気のこと」が最も多く、看護職員が対応している割合が多い。

• 外来患者の相談件数は増加しており、特に急性期病院での延べ相談件数の増加が著しい。

• 新規の外来患者の相談内容としては、「制度の利用」「経済的な問題」と同程度の約7割の医療機関で「在宅ケア」の相談内容が占めている。

【論点(案)】

(外来における相談・連携)

○ 入院患者については、早期に退院して社会復帰できるようにする観点から、様々な相談支援が診療報酬で評価されている。他方、外来患者については、社会生活を送りながら治療を続けているため、治療継続のために必要とされる支援や要望が多岐にわたっており、様々な機関との連携が必要になる一方、医療保険以外の公的制度等が支援を担うべきサービス内容も多い。

このような実態を踏まえ、外来患者への相談支援について、他の公的サービスとの整合性等も踏まえ、診療報酬での対応の在り方をどのように考えるか。

▲図表2 外来患者の相談件数推移

▲図表3 外来患者の新規の相談内容

ここから先はログインしてご覧ください。

Web医療と介護