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〔解説〕 平成30年度改定:入院医療の評価の見直し (1)改定の概要

平成30年4月実施の診療報酬改定では、地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携を推進していくため、医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価の見直しが行われます。

ここでは、「入院医療の評価の見直し」について、次の構成で実務的な情報をまとめています。

⑴ 改定の概要 1.入院医療の評価体系の見直し
2.【重症度、医療・看護必要度】の見直し
3.その他の入院料関連項目の見直し
3月15日
⑵ 急性期医療の評価:A100 一般病棟入院基本料 1.急性期一般入院基本料の新設(7対1・10対1の見直し)
2.地域一般入院基本料の新設(13対1・15対1の見直し)
3月16日
⑶ 急性期医療~長期療養の評価 1.A308 回復期リハビリテーション病棟入院料
2.A308-3 地域包括ケア病棟入院料
3.A101 療養病棟入院基本料
3月19日

解説は、下記の平成30年3月5日の資料・告示・通知にもとづき作成しました。

①平成30年度診療報酬改定の概要(厚生労働省保険局医療課) 改定説明会資料
②基本診療料の施設基準等の一部を改正する件 厚生労働省告示第44号
③基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 保医発0305第2号

※この解説は、3月下旬に発行する予定の書籍「速報 診療報酬の施設基準」から転載しています。同書は、今回改定での施設基準の改正内容、施設基準や届出などの取扱いの変更点、新しい届出様式を集成したものです。
今回改定の改正点を網羅的にまとめた「診療報酬改正点の解説 平成30年4月版」「医科・調剤」版、「DPC」版、「歯科・調剤」版、4月からの請求事務のために新しい点数表と留意事項通知をまとめた「医科診療報酬点数表 平成30年4月版」とともにご活用ください。

 

1.入院医療の評価体系の見直し

⑴入院医療の評価体系が、基本的な医療の評価部分と診療実績に応じた段階的な評価部分との二つの評価を組み合わせた新たな評価体系に再編・統合されます。 また、急性期医療、急性期医療~長期療養、長期療養の機能に大別されます。

⑵新たな評価体系となる入院料は、次のように整理されます。

①従来の「A100一般病棟入院基本料」のうち、7対1入院基本料および10対1入院基本料については、急性期医療の機能を担う位置づけとして再編・統合され「急性期一般入院基本料」となります。
再編・統合に当たって、従来の7対1入院基本料と10対1入院基本料との中間に当たる評価が新設されます。

②従来の「A100一般病棟入院基本料」のうち、13対1入院基本料および15対1入院基本料については、急性期医療~長期療養の機能を担う位置づけとして再編・統合され「地域一般入院基本料」となります。
併せて「A308回復期リハビリテーション病棟入院料」と「A308-3地域包括ケア病棟入院料」についても、急性期医療~長期療養の機能を担う位置づけとされます。

③A101療養病棟入院基本料は、長期療養の機能を担う位置づけとして、再編が行われます。

⑶「急性期一般入院基本料」の実績による評価は、急性期の患者割合(【重症度、医療・看護必要度】の該当患者割合)によります。【重症度、医療・看護必要度】については、例えば次のような経過措置が設定されています。

①平成30年3月31日段階で7対1入院基本料を届け出ている病棟等は、同9月30日までの間、「急性期入院料1」の基準を満たすとみなされます。
②平成30年3月31日段階で10対1入院基本料の看護必要度加算1・2・3を届け出ている病棟等は、同9月30日までの間、「急性期入院料4・5・6」の基準を満たすとみなされます。

 

2.【重症度、医療・看護必要度】の見直し

⑴一般病棟用の【重症度、医療・看護必要度】が、急性期の入院医療をより適切に評価する観点から見直しが行われます。
具体的には、処置等を受ける認知症やせん妄状態の患者に対する医療を、より適切に評価できるしくみとなっています。

⑵新たに診療実績データを用いた判定方法【重症度、医療・看護必要度Ⅱ】が導入(追加)されます。
具体的には、EFファイルからレセ電コードのA項目・C項目に該当する項目を、HファイルからB項目に該当する項目を抽出し、該当患者割合を判定します。

⑶これにより、従来からの評価票による判定は【重症度、医療・看護必要度Ⅰ】とされ、この【Ⅰ】と新設された【Ⅱ】は次のように適用されていきます。

①急性期一般入院基本料のうち、従来の7対1入院基本料と10対1入院基本料から移行する区分については、【Ⅰ】と【Ⅱ】を選択することが可能となります。
②新設される評価区分(急性期入院料2・3)については、【Ⅱ】による判定が要件となっています。
ただし、200床未満の7対1病棟が急性期入院料2・3に移行する場合は、平成31年3月31日までの間、【Ⅰ】により判定できます。
③「地域一般入院基本料」については【Ⅱ】の判定方法は導入されません。

⑷救命救急入院料1・3と脳卒中ケアユニット入院医療管理料は、新たに【重症度、医療・看護必要度】の測定が要件とされます。
ただし、平成30年3月31日段階で届出を行っている場合は、同9月30日までの間、基準を満たしているとみなされます。

 

3.その他入院料関連項目の見直し

⑴回復期リハビリテーション病棟入院料

①アウトカム評価の推進を図る観点から、回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系が見直されます。

②併せて、回復期リハビリテーション病棟における栄養管理の充実を図る観点から、一部の入院料について要件の設定が行われます。

⑵地域包括ケア病棟入院料

①入院医療の評価体系の再編・統合の方向性を踏まえ、基本的な評価部分と在宅医療の提供等の診療実績に係る実績部分とを組み合わせた体系に見直されます。

②地域包括ケアシステムの構築をより一層推進する観点から、在宅医療や介護サービスの提供等の地域で求められる多様な役割・機能を果たしている医療機関が評価されます。

⑶療養病棟入院基本料

①20対1看護職員配置を要件とした療養病棟入院料に一本化することとし、医療区分2・3の該当患者割合に応じた2段階の評価に見直されます。

②25対1看護職員配置(現行の療養病棟入院基本料2)については、医療療養病床に係る医療法上の人員配置標準の経過措置の見直し方針を踏まえ、療養病棟入院料の経過措置と位置付け、最終的な経過措置の終了時期は次回改定時に改めて検討することとし、経過措置期間をまずは2年間と設定しています。

⑷在宅復帰率

①在宅復帰に係る指標について、医療機関間の連携や在宅復帰の機能をより推進する観点から、指標の定義等について見直しが行われます(一般病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟における在宅復帰率について、自宅等への退院支援機能を評価する観点や病棟毎の機能を踏まえ見直し)。

②療養病棟入院基本料の在宅復帰機能強化加算については、在宅復帰の機能をより推進する観点から、基準値を含めて評価が見直されます。

⑸データ提出加算

①入院医療を担う医療機関の機能や役割を適切に分析・評価するため、診療実績データの提出を求める入院料が範囲を拡大され、回復期リハビリテーション病棟入院料、療養病棟入院基本料、200床未満の一般病棟10対1入院基本料(急性期一般入院料)でも要件とされます。

②一定の質が確保されたデータを提出する医療機関について新たな評価が行われます(提出データ評価加算)。

⑹DPC/PDPS

①DPC/PDPS(急性期入院医療の診断群分類に基づく定額報酬算定制度)については、平成24年度改定から実施している調整係数置き換えを完了(廃止)し、今後の安定した制度運用を確保する観点から医療機関別係数の再整理が行われます。

②DPC病院で短期滞在手術等基本料に該当する患者の報酬算定についてDPC/PDPS・点数設定方式Dにより算定する、一連の入院として取り扱う再入院の傷病名を整理する(前入院の傷病名・合併症と再入院病名との関係)など、算定ルールが見直されます。

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