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〔オンライン診療〕ガイドラインを発表(3月30日)、診療報酬のオンライン診療料の取扱いについて疑義解釈(3月30日)

厚労省は3月30日、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(オンライン診療ガイドライン)を発表した。ICTの発展・普及を踏まえ、対面診療を原則とした医師対患者の情報通信機器を通じたオンライン診療について、適切なルール整備を行うために策定されたものである。
また、平成30年度の診療報酬改定で新設されたオンライン診療料などについては、施設基準で「ガイドラインに沿って診療を行う体制を有する保険医療機関であること」が要件とされている。
オンライン診療の適切な実施に関する指針(厚生労働省ホームページ)

同日には平成30年度診療報酬改定に関する疑義解釈(その1)が発出され、保険診療(診療報酬)でのオンライン診療の取扱いについて具体的な運用が示されている。

ICTの活用は、医師と患者双方にとって、利便性が高まるが、医療情報の漏洩など情報セキュリティのリスクも抱えることになる。制度的な対応を踏まえ、今後オンライン診療がどう普及し、その過程でどのような課題が出てくるかが注目される。

 

適切なオンライン診療の普及推進に向けて策定

オンライン診療ガイドラインは、「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会」(山本隆一座長)が、今年に入ってから検討を開始しまとめた。情報通信機器を用いた診療体制については、安倍政権が重視する施策でもあり、「新しい経済政策パッケージ」(29年12月閣議決定)のおいても、年度内にガイドラインを作成するよう求められていた。
30年度診療報酬改定でも、一定の制限を設けた情報通信機器を用いた診療で、診療報酬を算定できるようになり、今後、地域医療での普及が見込まれる中で、一定のルールが整備する必要性が高まっていた。

医師法第20条は「医師は、自ら診察しないで治療をしてはならない」としており、この規定が長年、通信情報機器を用いた診療を制限してきた。しかし情報通信機器の発展・普及に伴い、様々な要望・意見があり、厚労省は、通知や事務連絡で解釈を変え、現場の必要性に対応してきた。特に、27年の事務連絡では、離島やへき地に特定していた対象範囲を実質的に解禁した。

また、29年の通知では、対面診療を行わずに情報通信機器を用いた診療だけで、診療を完結させる場合は、「医師法違反になり得る」と解釈していたのを、「患者側の理由で診療が中断した場合、直ちに医師法違反にはならない」とした。
その上で、医師法違反にならない事例として、禁煙外来を示したほか、テレビ電話や電子メール、SNSなどを組み合わせた診療が可能であることも明確化した。

このように法令上の取扱いが示されてきたものの、実際に情報通信機器を用いた診療を行おうとする場合に、参考となる適切なルールは未整備のままだった。新たにルールが整備されることで、今後は、情報通信機器を用いた診療が例外的なものではなく、一定の診療では、通常に近いものになっていく可能性を含めて、30年度は大きな節目になったといえるかもしれない。

 

情報通信機器を通し診療・診断しリアルタイムで診療行為

ガイドラインでは、情報通信機器を用いた診療(遠隔診療)を、①オンライン診療、②オンライン受診勧奨、③遠隔医療相談に区別し、①と②をガイドラインの適用対象としている。

①オンライン診療とは、「医師対患者間で情報通信機器を通して、患者の診療および診断を行い、診断結果の伝達や処方等の診療行為をリアルタイムで行う行為」と定義される。具体例としては「高血圧患者のコントロール確認」、「離島の患者を骨折疑いと診断し、ギプス固定などの処置の説明等を実施」があげられている。

②オンライン受診勧奨は、受診すべき診療科を選択するなど、一定の医学的判断により、医療機関への受診勧奨をリアルタイムで行う行為がそれに当たる(具体的な疾患名をあげることや一般用医薬品の具体的な使用を指示すること、医薬品の処方などは、①オンライン診療に該当する)。

③遠隔医療健康相談は、一般的な情報の提供にとどまり、医師の医学的判断は伴わない行為と規定され、ガイドラインの適用外となる。小児救急電話相談事業(♯8000)などが該当する。

 

医師と患者の相互の信頼を前提、初診は対面診療で

オンライン診療は、医師と患者の相互の信頼を前提し、医師と患者に直接的な関係がすでに存在する場合に限ることを基本としている。このため、原則として、初診は対面診療で行い、その後も同一の医師による対面診療を適切に組み合わせることを求めている。これに関しては、診療報酬のオンライン診療料などでも同様の規定を設けている。

なお、1人の患者に対し複数医師が関与する場合も考えられる。原則としては、オンライン診療を行うすべての医師に、直接の対面診療を求めている。ただし在宅医療において、在宅療養支援診療所が連携して、地域で対応している場合など、複数の医師が関与する場合は、すべての医師が対面診療を行っていなくてもよいとしている。

また、禁煙外来については、取扱いを別途注記しており、「定期的な健康診断等が行われる等により疾病を見落とすリスクが排除されている場合であって、治療によるリスクが極めて低いものに限っては、患者側の利益と不利益を十分に勘案した上で、直接の対面診療を組み合わせないオンライン診療を行うことが許容され得る」としている。

オンライン診療が行う診療行為の責任は、原則として医師が責任を負う。オンライン診療が適切であるかを判断し、適切でない場合は速やかに中止し、対面による診療に切り替えなければならない。
患者の医療情報に対しては、後述するように、十分なセキュリティ対策を講じることが必要だ。

患者側の求めがあって成立するのがオンライン診療であり、医師側の都合で行なってはならない。医師は、オンライン診療の利点と、生じるおそれのある不利益の両方を患者・家族に説明しなければならない。治験や臨床試験など安全性の確立されていない医療を提供してはいけない。オンライン診療は、対面診療よりも得られる情報が少ないため、予想外の事態が起こった場合の気づきが遅れることなどが想定されるためである。

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