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[介護報酬]新たな「特定処遇改善加算」を導入、2019年度介護報酬改定を答申等(2019年2月13日・介護給付費分科会)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は13日、2019年度介護報酬改定案の諮問を了承した。社保審としても同日答申した。

→「諮問書」「答申」(平成31年2月13日)【PDF】

今回改定では、10月の消費税率10%への引き上げに係る介護報酬における対応と、税率引き上げに併せて行われる介護職員の更なる処遇改善を実施する。

全体の改定率は2.13%。内訳は処遇改善分が1.67%、消費税対応分0.39%、補足給付分0.06%となる(図表1)。

▲図表1 介護報酬改定の改定率について(平成30年度 全国厚生労働関係部局長会議資料より)

処遇改善では新たに「介護職員等特定処遇改善加算」を導入する。同加算では、現行の介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)の取得を前提に経験・技能のある介護福祉士に重点化しつつ他の職種を含めた処遇改善も可能とする。

告示案について今後、意見を公募。さらに年度内に開催する分科会で関連通知案を検討する。それを踏まえ、厚労省は年度内に告示を公布するとともに、通知を発出する予定だ。

(同分科会において示された告示案および算定構造については、本記事末尾に掲載)

経験・技能のある介護福祉士を評価

介護職員の更なる処遇改善は、一昨年の12月に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」に基づくもので、経験・技能のある介護職員に重点化しつつ行うことが定められた。他の介護職員などの処遇改善も行うことができるよう柔軟な運用を認めることを前提に、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に公費1千億円を投じ、処遇改善を行うとしていた。処遇改善の全体の規模は満年度ベースで2千億円(図表2)。

▲図表2 新しい経済政策パッケージに基づく介護職員の更なる処遇改善

これに基づき分科会は昨年9月以降、急ピッチで検討を進め、昨年12月に審議報告を取りまとめた。現行の介護職員処遇改善加算とは別に新たな加算を導入することになった。

新たな加算は、「介護職員等特定処遇改善加算」と命名された。

取得要件としては、▽現行の介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得していること▽処遇改善加算の職場環境等要件について複数の取り組みを行っていること▽処遇改善加算に基づく取り組みについてホームページへの掲載などにより「見える化」を行っていること─などを設定。現行の処遇改善加算の算定が前提になり、上乗せされるイメージだ(図表3)。

▲図表3 処遇改善加算全体のイメージ

現行の処遇改善加算の対象とはなっていない、(介護予防)訪問看護や(介護予防)訪問リハ、(介護予防)福祉用具貸与、特定(介護予防)福祉用具販売、(介護予防)居宅療養管理指導、居宅介護支援、介護予防支援は、特定処遇改善加算の対象外(図表4)。

▲図表4 介護職員等の処遇改善加算に係る加算率について

また「新しい経済政策パッケージ」の規定を踏まえ、各サービスの加算率は勤続10年以上の介護福祉士の数に応じて設定するとともに、対象サービス種類内の加算率も、介護福祉士の手厚い配置を評価する既存の加算の取得状況を加味して特定処遇改善加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の2段階で設定することとした。

特定処遇改善加算(Ⅰ)を取得できるのは、サービス提供体制強化加算(最も高い区分)や、特定事業所加算(従事者要件のある区分)、日常生活継続支援加算、入居継続支援加算を算定している事業所。こうした加算を算定していない事業所は加算(Ⅱ)を算定することになる。

さらに事業所内での配分でも事業所の裁量を認めつつ、一定のルールを設定することになった。

事業所内での配分では平均賃金額で①経験・技能のある介護福祉士②その他の介護職員③介護職員以外の職種─の順で傾斜をつける。

具体的に取得の基準上で、①経験・技能のある介護福祉士については最少でも1人は、賃金改善において「月額8万円以上」又は「年額440万円以上」を行うこととする。「年額440万円」とは役職者を除く全産業平均の水準。リーダー級の介護職員について、他の産業と遜色のない賃金水準を実現することが狙いだ。

平均の処遇改善額では、①経験・技能のある介護福祉士は、その他の介護職員の2倍以上とする。②その他の介護職員は、③介護職員以外の職種の2倍以上とする。ただし介護職員以外の職員の平均賃金額が、②その他の介護職員の平均賃金額を上回らない場合は柔軟な取扱いを認める。

①経験・技能のある介護福祉士については、「勤続10年以上」を基本とするが、「勤続10年」の考え方は事業所の裁量による。また➀~③内での一人ひとりの処遇改善額は柔軟に設定できる。

【参考1】介護職員等特定処遇改善加算の例(訪問介護:下線部分は改正部分)

〇指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)
別表
指定居宅サービス介護給付費単位数表
1 訪問介護費
イ~ホ (略)
ヘ 介護職員処遇改善加算
注 別に厚生労働大臣が定める基準に適合している介護職員の賃金の改善等を実施しているものとして都道府県知事に届け出た指定訪問介護事業所が、利用者に対し、指定訪問介護を行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、平成33年3月31日までの間(⑷及び⑸については、別に厚生労働大臣が定める期日までの間)、次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
⑴ 介護職員処遇改善加算(Ⅰ) イからホまでにより算定した単位数の1000分の137に相当する単位数
⑵ 介護職員処遇改善加算(Ⅱ) イからホまでにより算定した単位数の1000分の100に相当する単位数
⑶ 介護職員処遇改善加算(Ⅲ) イからホまでにより算定した単位数の1000分の55に相当する単位数
⑷ 介護職員処遇改善加算(Ⅳ) ⑶により算定した単位数の100分の90に相当する単位数
⑸ 介護職員処遇改善加算(Ⅴ) ⑶により算定した単位数の100分の80に相当する単位数
 介護職員等特定処遇改善加算
 別に厚生労働大臣が定める基準に適合している介護職員等の賃金の改善等を実施しているものとして都道府県知事に届け出た指定訪問介護事業所が、利用者に対し、指定訪問介護を行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
 介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ) イからホまでにより算定した単位数の1000分の63に相当する単位数
 介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ) イからホまでにより算定した単位数の1000分の42に相当する単位数
 別に厚生労働大臣が定める基準の内容は次のとおり。
 訪問介護費における介護職員等特定処遇改善加算の基準
 介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ) 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
 介護職員その他の職員の賃金改善について、次に掲げる基準のいずれにも適合し、かつ、賃金改善に要する費用の見込額が介護職員等特定処遇改善加算の算定見込額を上回る賃金改善に関する計画を策定し、当該計画に基づき適切な措置を講じていること。
 介護福祉士であって、経験及び技能を有する介護職員と認められる者(以下「経験・技能のある介護職員」という。)のうち1人は、賃金改善に要する費用の見込額が月額8万円以上又は賃金改善後の賃金の見込額が年額440万円以上であること。ただし、介護職員等特定処遇改善加算の算定見込額が少額であることその他の理由により、当該賃金改善が困難である場合はこの限りでないこと。
 当該事業所における経験・技能のある介護職員の賃金改善に要する費用の見込額の平均が、介護職員(経験・技能のある介護職員を除く。)の賃金改善に要する費用の見込額の平均の2倍以上であること。
 介護職員(経験・技能のある介護職員を除く。)の賃金改善に要する費用の見込額の平均が、介護職員以外の職員の賃金改善に要する費用の見込額の平均の2倍以上であること。ただし、介護職員以外の職員の平均賃金額が介護職員(経験・技能のある介護職員を除く。)の平均賃金額を上回らない場合はこの限りでないこと。
 介護職員以外の職員の賃金改善後の賃金の見込額が年額440万円を上回らないこと。
 指定訪問介護事業所において、賃金改善に関する計画、当該計画に係る実施期間及び実施方法その他の当該事業所の職員の処遇改善の計画等を記載した介護職員等特定処遇改善計画書を作成し、全ての職員に周知し、都道府県知事に届け出ていること。
 介護職員等特定処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善を実施すること。ただし、経営の悪化等により事業の継続が困難な場合、当該事業の継続を図るために当該事業所の職員の賃金水準(本加算による賃金改善分を除く。)を見直すことはやむを得ないが、その内容について都道府県知事に届け出ること。
 当該指定訪問介護事業所において、事業年度ごとに事業所の処遇改善に関する実績を都道府県知事に報告すること。
 訪問介護費における特定事業所加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)のいずれかを算定していること。
 訪問介護費における介護職員処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までのいずれかを算定していること。
 平成20年10月から⑵の届出の日の属する月の前月までに実施した職員の処遇改善の内容(賃金改善に関するものを除く。以下この号において同じ。)及び当該職員の処遇改善に要した費用を全ての職員に周知していること。
 ⑺の処遇改善の内容等について、インターネットの利用その他の適切な方法により公表していること。
 介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ) イ⑴から⑷まで及び⑹から⑻までに掲げる基準のいずれにも適合すること。

▲2019年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案 別紙1-1より抜粋(一部改変)

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