Web医療と介護

徳田 雄人(とくだ・たけひと)

認知症の人にも優しい仕組みがある社会をめざして

「認知症フレンドリー社会」のアプローチで地域全体が変わる

近年、こうしたことに着目して注目されているキーワードのひとつに、「認知症フレンドリー社会(認知症の人にやさしい社会)」があります。

医療を中心とした従来の考え方では、病気が問題を引き起こすので、予防や治療で問題を減らそうというアプローチでした。それに対して、「認知症フレンドリー社会」の考え方では、認知症に関係する出来事を、認知症に伴う症状を持つ人々と周囲の環境との間で起こる現象としてとらえ、病気に対処するのではなく、地域や社会の側を変えていこうというアプローチです。

特に、認知症施策の先進地である英国では、こういったアプローチが広まっており、各地や町ごとに認知症フレンドリーコミュニティを目ざすネットワーク(Dementia Action Alliance)が結成されています。その他に、企業も取り組みを始めています。こうした取り組みは、認知症の人のためであると同時に、他の高齢者や障害者全般にもフィットしやすく、より安心して利用できるものです。

認知症フレンドリー社会は、認知症の人だけを特別扱いするということではなく、「認知症の人にも優しい仕組みがある社会」と言えるでしょう。

本連載では、日本や英国の取り組みを紹介しながら、認知症の課題を手がかりに、これからの地域や社会のあり方について考えていきたいと思います。

このシリーズでは、同じ問題意識をもつ企業や自治体、NPOの人々のネットワーク「認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ」のメンバーにより、リレー形式でお送りする予定です。

 

(次回に続きます)

 

徳田 雄人(とくだ・たけひと)
NPO法人認知症フレンドシップクラブ理事
株式会社スマートエイジング代表取締役
一般社団法人認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ代表

NHK番組ディレクターとして、医療介護に関する番組を制作。
2009年、NHKを退職後、認知症の人にやさしい地域・社会づくりの活動を開始。国内外の認知症の人にやさしい地域の調査やネットワークづくり、自治体や企業などと協働したイベントの運営、商品サービスの開発支援などを行う。
認知症フレンドリー社会を目ざす自治体、企業、NPOなどの有志により、2013年、認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI)を設立。認知症の人にやさしい社会づくりに向け、セクター横断型のプロジェクトが多数動いている。
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