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前田 亮一(まえだ・りょういち)

DFJI交通プロジェクトの取り組み

「認知症にやさしいまちづくり」の取り組みを進めるため、DFJI(認知症フレンドリージャパンイニシアチブ)交通プロジェクトが2015年暮れにスタートした。

地域住民だけでなく、企業・商店・交通事業者も巻き込んだこの取り組みは、プロジェクトメンバーの対話から生まれたアイディアを次々と具現化し、ムーブメントを起こしつつある。前田亮一氏による交通に関するリレー連載の2回目は、それらのアイディアについて触れていく。

コミュニティケア実現のためには、住民だけでない
企業や商店、交通事業者などの協力が必須に

「認知症にやさしいまちづくり」といった明確な方向性があるにもかかわらず、現状ではなかなか取り組みが進んでいません。

そこには特有の困難さがあるからです。

これまでは、認知症というスティグマ(謂れのない差別や偏見)があり、当事者に外出する権利は認められてきませんでしたし、医療、行政を中心とした施設ケアが中心でしたので、ご本人の意思は考慮されませんでした。

しかし今後は、住みなれた地域で当たり前の生活を送ることが重要視されてきます。それが新しい地域の課題であり、地域にいる人たち同士での支え合い=コミュニティケアという視点が必要となります。このことを実現にしていくためには、住民や企業、商店、交通事業者などの参加や協力を得られるかが鍵となるでしょう。

その第一歩をどう踏み出すかを考えるために、DFJI(認知症フレンドリージャパンイニシアチブ)交通プロジェクトが2015年12月にスタートしました。メンバーはNPO、一般企業、医療・福祉職、シンクタンクと多様な背景を持つ人で構成されており、常にオープンな場となっています。

認知症にやさしい交通の定義と3つのステップ「いつでもどこでも外出できる」

「認知症の人にやさしいまちづくりの推進に関する研究事業」の調査結果から、当事者の方は外出時に不安を感じているが、交通や地域住民の関心が低いことがわかりました。しかし、本人の具体的な困りごとは多様であり、交通事業者の具体的な対策はあまり進んでいない状況でした。

DFJI交通プロジェクトでは、認知症にやさしい交通について、「いつでも、好きなところに安全に行けること」と定義しています。つまり、当事者が目的地に移動することができたかを重視しているのです。 安全な外出方法を確立するためには、当事者を含めて、各自の対話の中からアイディアを持ちより、具現化を図ることが重要です。

 

 

 

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前田 亮一(まえだ・りょういち)
ビーンズ地域総合ケアセンター 作業療法士
法政大学大学院 政策創造研究科修士課程、CSR研究所 特任研究員
一般社団法人認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ

作業療法士として、地域連携型認知症疾患医療センターで初期生活支援を行う通所サービスを開設。
現在は茨城県つくば市にて地域リハビリテーションを担う。

DFJI交通プロジェクトを2015年にスタート。
交通エコロジーモビリティ財団「認知症者の交通機関利用に関する対応マニュアル作成ワーキング」メンバー。研究テーマは「社会参加」「外出・情報のアクセシビリティ」。
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