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〔介護報酬等〕平成30年度介護報酬改定案を諮問・答申(1月26日・介護給付費分科会)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は1月26日、加藤勝信厚生労働大臣から諮問された平成30年度介護報酬改定案について了承し、社保審も同日答申した。全体の改定率はプラス0.54%。団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、改定により地域包括ケアシステムの構築を進める。基準省令は既に1月17日に諮問・答申され、同18日に公布された。

厚生労働省は今回の改定の主な事項について、介護給付費分科会審議報告を踏まえ、大きく①地域包括ケアシステムの推進②自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現③多様な人材の確保と生産性の向上④介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保──の4点に分けて、各種サービスの見直しについて整理した。

→「平成30年度介護報酬改定の主な事項について」(平成30年1月26日)【PDF】

次に施設系サービスを中心にポイントを見てみる。

介護医療院を創設

廃止が決まっている介護療養病床等の受け皿として介護医療院を創設する。介護療養病床(療養機能強化型)相当のⅠ型療養床と、介護療養型老健施設相当のⅡ型療養床を導入。介護配置によりそれぞれ3段階の報酬を設定する。報酬はⅠ型・Ⅱ型ともそれぞれに相当する療養機能強化型や療養型老健よりも手厚い(図表1・2)。

▲図表1 介護医療院の基本報酬等①

▲図表2 介護医療院の基本報酬等②

基本報酬の算定要件をみると、Ⅰ型は相当する療養機能強化型の要件と同様であり、Ⅱ型も一部を除き、同様である。それぞれ相当する施設の要件を満たしていれば算定が可能なように設定されている。また介護療養型医療施設等からの転換に当たり療養室の床面積や廊下幅などの基準緩和など配慮されている。

さらに、転換支援として「移行定着支援加算」(93単位/日)が新設される。算定要件は転換後、介護医療院を開設した旨などを地域の住民に周知するとともに、入所者やその家族等への説明に取り組んでいること。さらに入所者及び祖の家族等と地域住民等との交流が可能となるよう、地域の行事や活動等に積極的に関与していることとしている(図表3)。

▲図表3 介護医療院への転換

介護療養型医療施設の報酬は従前通り

他方、介護療養型医療施設の廃止は2024年3月31日まで6年間延長される。基本報酬は従前どおりとなっている。

ただし、介護療養型老健施設の要件を踏まえ、一定の要件を満たす入院患者の数が基準を満たない場合の減算が新設される。所定単位の100分の95となる。減算が適用となった場合、一部の加算の算定が認められなくなる(図表4)。

▲図表4 介護療養型医療施設の基本報酬

老健施設は報酬体系を抜本的に見直し

厚生労働省は、平成29年の制度改正で、介護老人保健施設の役割が在宅復帰・在宅療養支援であることがより明確にされたことを踏まえ、この機能を更に推進する観点から、報酬体系を見直す方針を示した。基本報酬については現行の2段階から3段階とし、在宅復帰在宅療養支援機能加算も(Ⅰ)と(Ⅱ)を設定する。在宅復帰・在宅療養支援機能に対する評価でみると、基本報酬と加算の組合せで、現行の3段階から5段階できめ細やかに評価するように見直される(図表5・6)。

▲図表5 在宅復帰・在宅療養支援機能に対する評価①

▲図表6 在宅復帰・在宅支援機能に対する評価②

在宅復帰在宅療養支援機能加算(Ⅰ)は、一定の要件を満たした「基本型」のみで算定が可能とされ、これがいわゆる「加算型」とされる。同加算(Ⅱ)は、一定の要件を満たした「在宅強化型」のみで算定が可能とされ、「超強化型」とされる。

単位数の変化をみると、多床室では、在宅強化型では現行より6単位上がる。基本型では従来型より3単位上がる。

一方、新設される「その他」では従来型よりも12~17単位下がる。要介護度が上がるにつれ単位数も下がることになっており、在宅復帰・在宅療養支援に取組まずに長期間に渡り重度者を多く受け入れている施設には、死活問題になることが予想される。

算定要件等は次の表のとおりで、▽「在宅復帰・在宅療養支援等指標」▽退所時指導等▽リハビリテーションマネジメント▽地域貢献活動▽充実したリハ──の5項目により要件を満たしているか否かをみる(図表7)。

▲図表7 在宅復帰・在宅療養支援機能に対する評価③

このうち「在宅復帰・在宅療養支援等指標」は評価項目①~⑩について、項目に応じた値を足し合わせて評価する。最高点は90点である。

多剤投与の減薬(適正化)を評価

老健施設では、外部のかかりつけ医や医療機関などの連携に関する評価が導入されたことも注目に値する。

まず、多剤投与されている入所者の処方方針を老健施設の医師とかかりつけ医が事前に合意し、その処方方針に従って減薬(適正化)する取組みについて、診療報酬改定における対応を鑑みながら、必要に応じて評価する「かかりつけ医連携薬剤調整加算」が新設される。単位数は125単位/日である(図表8)。

▲図表8 かかりつけ医との連携

次に、所定疾患施設療養費を見直し、老健施設で行うことができない専門的な検査が必要な場合には医療機関と連携するなどの診断プロセスに係る手間に応じた評価とする。所定疾患施設療養費(Ⅱ)が新設される。単位数は475単位/日である。他方、従来の場合は所定疾患施設療養費(Ⅰ)とされ、単位数は減少される(図表9)。

▲図表9 入所者への医療の提供

特養は基本報酬を引き上げ

介護老人福祉施設(特養)の基本報酬は引上げとなっている。要介護度が上がるにつれ、引上げられる単位数も上がる。たとえば従来型個室(多床室)でみると、要介護1で10単位引上げられ557単位となり、要介護5で15単位引き上げられ829単位となる(図表10)。

▲図表10 介護老人福祉施設等 基本報酬

他方、小規模特養(定員30名)については、「経過的小規模介護福祉施設サービス費」とされ、減算される。一定期間が経た後、通常の介護福祉施設サービス費の基本報酬に組みこまれることになっているが、この期間は決まっていない。旧措置入所者の報酬は廃止され、通常の介護福祉施設サービス費など対応する報酬にて算定することになっている。

▲図表11 小規模介護福祉施設等の基本報酬の見直し

医療ニーズへの対応を手厚くする

特養では、入所者の医療ニーズへの対応を手厚くする。

基準省令の見直しでは、入所者の急変等に備えるため、施設に、あらかじめ配置医師による対応その他の方法による対応方針を定めなければならないことを義務付ける。

さらに「配置医師緊急時対応加算」を創設する。配置医師が施設の求めに応じて、早朝・夜間又は深夜に施設を訪問し、入所者の診療を行ったことを評価する。早朝・夜間の場合は650単位/回、深夜の場合は1,300単位/回(図表12)。

▲図表12 入所者の医療ニーズへの対応(配置医師緊急時対応加算の創設)

また夜勤職員配置加算を見直し、現行の要件に加えて、夜勤時間帯を通じて、看護職員を配置していること又はたんの吸引等が実施できる介護職員を配置していること(登録喀痰吸引等事業者として都道府県の登録が必要)について評価する(図表13)。

▲図表13 入所者の医療ニーズへの対応(夜勤職員配置加算の見直し)

看取り介護加算も新たに(Ⅱ)を導入。医療提供体制を整備し、さらに施設内で実際に看取った場合をより手厚く評価する(図表14)。

▲図表14 入所者の医療ニーズへの対応(看取り介護加算の見直し)

また、夜勤職員配置加算について、ロボット技術を活用した見守り機器を導入するなどの一定の要件を満たす場合に人員基準の緩和を可能とする。単位数は変わらない。短期入所生活介護も同様の対応を行う(図表15)。

▲図表15 介護ロボットの活用の推進

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