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神田 裕二(かんだ・ゆうじ)

第1回 地域医療構想と診療報酬改定による医療機能の分化・連携

住民の理解が深まる次のステップに向けて

主として、急性期から回復期への報告を促すという問題意識から、今回の改定について、2点個人的な所見を述べたい。

地域一般入院基本料に機能が明確になる診療実績の評価指標を

まず、1点目は、13:1、15:1について、「急性期医療」を担う「急性期一般入院基本料」とは、別の「急性期医療~慢性期医療」(回復期・亜急性期と言ってよいと考えられる)を担う「地域一般入院基本料」として位置付けられたことは注目に値する。
医政局の地域医療構想ワーキンググループで、13:1、15:1は、回復期か慢性期が原則で、急性期で報告するには調整会議で機能の確認が必要だという議論と整合的な改定だと言えよう。

ただ、地域一般入院基本料についてだけは、診療実績に応じた評価の指標が設定されておらず、「改定後さらに検討」とされている。
13:1、15:1合わせて6万床余りであるが、足元の平成29年度の病床機能報告の速報値でみても、依然として13:1看護の9割弱、15対1看護の7割弱が急性期として報告しており、大きな変化は見られない。
参照→【入院基本料等届出病床ごとの病床機能(病床機能報告・平成29年度速報値)】

今後、診療実績の指標として、例えば、重症度、医療・看護必要度や地域包括ケア病棟の地域包括ケアに関する実績が示されれば、病棟の機能が急性期か回復期かより明確になり、調整会議での議論に資すると思われる。

病棟単位の届出による急性期機能と回復期機能の実態的な評価を

2点目は、病棟単位の届出についてである。平成28年改定で導入された7:1と10:1と病棟群単位による届出は、多くの病院で7:1の要件のクリアができたことから、昨年10月段階での届出数はわずか18と実質的には使われていない。
しかし、平成29年度病床機能報告でみても7:1、10:1の病院はほぼ全ての病棟を高度急性期・急性期と報告しており、それ以外の機能を選択したのは病床数で7:1では0.15%、10:1では3.1%に留まっている。
参照→【入院基本料等届出病床ごとの病床機能(再掲)】

中医協でも議論されたように、現場の実態としては、患者の状態に応じて、病棟・病室単位で看護職員が傾斜配置されていることを考えると、本当にこれらの病棟の全てが急性期機能を果たしているのかどうか精査が必要であろう。

こうした点を含め、今後、調整会議の場で、医療機能をデータで確認していくことになるが、病院単位ですら容易でないのに、「急性期一般入院基本料」という急性期の看板がかかった他の病院について、病棟ごとに回復期病棟の切り出しの議論をしていくのは容易でないと予想される。

2025年だけが入院医療改革の終着点ではないので、今回の入院医療の評価体系の見直しを踏まえ、「看護職員の傾斜配置による入院料の蹴上」という保険者の懸念に対する十分な対策を講じながら、病棟単位での届出を検討の俎上に上げてもよい時期に来ているのではないだろうか。

例えば、病棟単位にするのであれば、急性期一般入院基本料については、重症度、医療・看護必要度等の要件の一層の厳格化を図った上で、7つの入院料から1つを選択するとともに、主として「回復期」を評価する、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、今回新たな名称が付された地域一般入院基本料の中から1つ、必要があれば2つを選択できるようにするというようなことも、検討に値するのではないか。

今回の入院医療の評価体系の見直しを土台に、地域医療構想で示された医療提供体制の見直しやその実現過程である調整会議の議論が地域住民から見てもわかりやすいものになり、構想そのものに対する地域住民の理解が深まるような次なるステップに期待したい。

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神田 裕二(かんだ・ゆうじ)
県立広島大学大学院経営管理研究科特任教授
兵庫県立大学経営研究科客員教授
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昭和57年厚生省入省。老人福祉課、広島市高齢者福祉課長・社会課長、保険局医療課を経て、平成8年の法案提出から平成12年の施行まで介護保険制度の立ち上げに携わる。
平成18年から保険局国民健康保険課長と高齢者医療制度施行準備室長を兼務し、平成20年の高齢者医療制度の施行に携わる。
その後、保険局総務課長、内閣官房審議官(経済財政運営担当)、大臣官房審議官(医政、医療・介護連携担当)、医薬食品局長を経て、平成27年10月医政局長。平成29年7月厚生労働省退職。
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