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第4回 サービス担当者会議は「暮らしの人生会議」、本人の思いと医療・ケアチームをつなぐ場を実現しよう

サービス担当者会議は、「サービス」の説明会ではない

サービス担当者会議は、在宅医や訪問看護師、介護事業者や通所介護事業者、福祉用具事業者など、各分野の専門家からケアプラン原案に専門的助言をもらうための「プロフェッショナル会議」です。ここで言う「サービス」とは、「医療・介護の専門職が提供する仕事(ケア)」のことです。「サービス」の意味をはき違えてはいけません。「訪問介護は週1回の掃除と買い物」「デイサービスは入浴と趣味活動で週2回」など、単なるサービス内容を説明する会ではないのです。

医療や介護のプロ同士が一同に顔を合わせ、より精度の高いケアプランにするために専門的見地から意見を出し合い、利用者の「望む暮らしの実現」と「自立」を目ざす重要な会議です。そしてケアチームを形成するための貴重な場でもあります。

……と、理想的なことを書きましたが、これがなかなか難しいのです。
忙しい専門職を集めるだけでも大変なこと、限られた時間の中で効果的な会議を開催するのは容易なことではありません。
サービス担当者会議では、参加する全ての専門職が、「専門家」としての発言を行い、発言した内容に責任をもつことが必要です。

よく聞こえてくるのは、「サービス担当者会議が『ケアプラン原案』の説明会になっている」「サービス内容の確認だけで終わっている」「開催時間が長すぎる」「開催の目的が曖昧」「単なる形式的な集まり」などの専門職側からの声。

一方、ケアマネジャー側からは、「主治医は忙しいので出席してもらえない」「病院主治医の参加は無理」「訪問看護と時間を合わせるのが難しい」「どのように進行すればよいかわからない」などの声が聞こえてきます。

双方に言い分はあると思いますが、そもそもサービス担当者会議は何のために開催するのでしょうか?

会議には開催する目的が必要

あるとき、地域の在宅医からこんなことを言われました。

「ケアマネジャーから、『先生はお忙しいので、先日開催したサービス担当者会議の要点をお送りいたします。』とFAXが届いた。出席依頼は一度も来ていないけど『忙しいから』ってどういうこと? 主治医は出席しなくていいの? 「最近、ケアマネジャーからサービス担当者会議の出席依頼が来なくなったけど、サービス担当者会議はやらなくてもよくなったの?」という残念な情報。

また訪問看護師からは、「必要なサービス担当者会議には時間をつくって出席したい。訪問看護の出席が必要な内容なら、訪問看護師が出席できる時間設定にしてほしい」という声も。

なぜケアマネジャーからサービス担当者会議の出席依頼が来ないのか、どうして出席できるような調整をしてもらえないのか、という医療側の声もあることを、ケアマネジャーは真摯に受け止めなければなりません。
医療職は、必要なサービス担当者会議にはきちんと出席したいのです。治療や看護ケア等に活かせる多職種からの情報や意見は重要だと捉えています。プロ意識の高い専門職だからこそ、専門家としてより効果的なチームケアを目ざしたいと考えているのではないでしょうか。

ケアマネジャーがマネジメントの専門職であるならば、サービス担当者会議に必要なメンバーが参加できるように調整するのは責務です。「医師や看護師は忙しいから」と決めつけず、必要な専門職は必ず招集しましょう。

もちろん、訪問介護事業者や通所介護事業者、福祉用具事業者等、介護サービス事業者も忙しいのは同じです。専門職の大事な時間を使ってサービス担当者会議に参加してもらうことを忘れないようにしたいですね。ケアマネジャーが声をかけやすい専門職だけで形だけのサービス担当者会議を行っても、ケアチームの結束にはつながらないはずです。

そのためには、サービス担当者会議を開催する目的が重要です。今日のサービス担当者会議は「何のために集まるのか」「何について合意形成が必要なのか」、明確にしたうえで招集することが必要です。

退院前カンファレンスとサービス担当者会議の連動が大事に

平成30年度診療報酬・介護報酬改定において、「退院・退所加算」の算定が変わりました。退院前カンファレンスに参加して連携した場合をより高く評価する内容になっています。「カンファレンス参加有り」「カンファレンス参加無し」で、連携の段階や内容によって異なる単位数に区分されました。

現実には、診療報酬上の「退院時共同指導加算(2000点)」の算定要件(※退院後の在宅医療関係者(ケアマネジャー含む)3者以上が参加して開催する)に合致しなければ、「カンファレンス有り」の高い点数は算定できないため、厳しい要件ではありますが、それだけ病院と在宅ケアチームの連携強化が求められているからこその算定要件だと理解しています。

病院で行われる「退院前カンファレンス」と、「サービス担当者会議」の連動はとても重要だと考えています。
病院で受けた治療やリハビリ、投薬の内容等を、退院後のケアチームと一緒に確認し、「切れ目のない連携」ができるようにしていく必要があります。

入院中の利用者にとって、「退院」とは、「患者」から「生活者」に戻っていくことです。「生活者」として目ざす暮らしを、より具体的にイメージするために、退院前カンファレンスの情報をサービス担当者会議に繋いでいくことが必要です。

「病院」という場所は、どんなに職員が頑張っても「暮らしの場」にはなりません。病院では制限されてできなかったことが、自分のフィールドである在宅に戻ったとき、想像していた以上の意欲となって現れることもよくあります。望む暮らしがイメージできることで生活意欲が高まり、できることが増えていくことで喜びも増えていきます。「サービス担当者会議」を、利用者とケアチームが一緒に喜びを共有できる場にできたら素晴らしいと思います。

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