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第6回 ケアマネジャーのラストチャンス!? 「真の自立支援」に向けたケアマネジメントを目ざして―あなたは、どんなケアマネジャーになっていきますか?―

ケアマネジャーの仕事の未来、そして真の役割は何か?
連載最終回では、自立(自律)を支えるためにケアマネがどうあるべきか?
ソーシャルワーク力を発揮できたか、人生の伴走者たり得たか、ケアマネの未来はどうあってほしいかについて、同じケアマネという立場から考える。

今までのケアマネジャーがこれからも同じように必要とは限らない
という衝撃の提言内容を受けて

先日、衝撃的な記事を読みました。
ケアマネジメントオンライン(6月17日号)、タイトルは、「ケアマネの『淘汰』も? 40年に必要な能力とは―包括ケア研が提言」というものでした。

地域包括ケア研究会(座長:田中滋氏/埼玉県立大学理事長、慶應義塾大学名誉教授)が、2040年に向けた調査報告書をまとめて提言した内容でしたが、読んだ方も多いのではないでしょうか。

衝撃だった内容は2つ。
1つは、「個別性の高いケアマネジメントを実現していくことが求められる」とした後に、「ケアマネジャーは、介護保険以外の公的制度と連携していくことは当然として、(中略)必要とされる資源を適切に組み合わせる能力がこれまで以上に求められる」というもの。

2つ目は、「ソーシャルワークにかかる業務により集中すべき」とした後に、「今後ケアマネの機能が変化しない場合、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の計画作成責任者やサービス担当責任者、あるいは小規模多機能型居宅介護の介護支援専門員が現在のケアマネジメント機能の大半を担うことも考えられるだろう」という内容。

筆者は、ケアマネジャーに「最後通告」を受けたような衝撃を受けました。

「公的制度や地域の資源と連携できないケアマネは不要」「ソーシャルワークができないケアマネは不要」ということだと理解したのですが、皆さんはいかがですか?

ただ、これが介護保険制度発足から20年が経過したケアマネジャーに対する社会の評価だとするならば、正直、残念な気持ちを隠しきれません。少なくとも、多くのケアマネジャーの20年間の努力によって、介護保険制度が持続できたことだけは確かだと思っています。そのことには自信と誇りを持ちたいと思います。

しかし、地域包括ケア研究会の報告にあるのは、ここから20年後の日本に必要な、「時代のニーズに対応できるケアマネジャーの姿」であり、今までのケアマネジャーはこれからも同じように必要とは限らない、と言われているように感じました。

「2040年に向けた介護保険制度の中で、ケアマネジメント機能は残るがケアマネジャーが残るとは限らない」ということを、あらためて危機感として感じたところです。

多職種連携の中で問われる「ケアマネ力」とは
チームマネジメント力とソーシャルワーク力

医療・ケアチームの中で、ケアマネジャーだけが特殊な仕事をしています。

訪問介護も訪問看護も、訪問診療も訪問入浴も、デイサービスや福祉用具の事業者も、ケアマネジャー以外は全て、「直接的にケアを提供する専門職」です。
提供したケアやサービスの効果が直接見える専門職といえます。

でも、ケアマネジャーの仕事は「マネジメント」、各専門職の「専門性を繋ぐこと」です。繋ぎ方の良し悪しや効果は、そう簡単に見えるものではありません。

多職種連携の中で問われる「ケアマネ力」とは、各専門職の専門性を見極め、最大限に引き出し、効果的に繋ぎ、利用者の自立(自律)支援ができるチームを創り上げることです。これが「チームマネジメント力」だと思います。ケアマネジャーのマネジメント次第で、できあがるケアチームの一体感とチーム力が変わるのです。

そして、これからの時代に、さらに求められるケアマネ力は、間違いなく「ソーシャルワーク力」です。
介護保険制度という狭い世界で、コスト管理(給付管理業務)をすることだけが仕事ではありません。最高のチームを創り上げるマネジメント力、複雑で困難な生活課題を解決できるソーシャルワーク力こそが、ケアマネジャーに求められる力だと思います。

「真の自立支援」ってなんだろう・・・

筆者は、年に数回、各地のケアマネ研修の講師依頼をいただくことがありますが、研修の冒頭でよくこんな質問をします。

「皆さんは、どんなときに『ケアマネジャーとしての喜び』を感じますか?」

多くのケアマネジャーからは、「利用者や家族に『ありがとう』と言われたとき」という答えが返ってきます。
「ありがとう」という言葉、とてもいい言葉ですよね。「ありがとう」と言われて嫌な気持ちになる人は、ほとんどいないと思います。

でも、ちょっと考えてみてください。
もし「ありがとう」と言ってもらえなかったときは、どうなのでしょうか?
ケアマネジャーとしての喜びを感じられないのでしょうか?

これからは、複雑で困難な要因を抱えた在宅療養者が地域にあふれてきます。
サービス拒否を続ける利用者、医療にまったく繋がらない利用者、文句しか言わない家族・・・誰からも「ありがとう」と言われないことだってあるかもしれません。そんなとき、ケアマネは喜びを感じられないのでしょうか・・・

筆者は、そうではないと思っています。

ケアマネジャーの「喜び」、それは「利用者が介護保険サービスを卒業できたとき」、そして「利用者が望む生き方を最後の瞬間までチームで支えきることができたとき」と、私は思ってきたのですが、皆さんはいかがですか?

こんなふうに言うと、「それは綺麗ごとだ」「理想論だ」と思う人もいるかもしれませんね。でも、この2つをケアマネジャーの「喜び」にしたいのです。

現実的には、利用者が介護保険サービスから卒業すれば、居宅介護支援事業所としては「利用者が1人減る=居宅介護支援費が1人分減る」ということになります。でも、介護保険サービスを利用しないで、地域のインフォーマルサービスを活用しながら、利用者自身の力、家族の力、知人や近隣のサポート、地域独自のサービスで暮らせるようになることは、その瞬間までを支えたケアプランが、「自立(自律)支援を実現できたケアプランだった」という証になると思うのです。これが「真の自立(自律)支援」ではないでしょうか。

そして、「最後の瞬間までケアチームで支えることができた」ということは、ケアマネジャーのマネジメント力とチーム力によって、「本人の意思決定支援ができた」という証だと思います。

失敗や悔いが残ることもたくさんあると思いますが、この2つをケアマネジャーの「真の喜び」と感じてほしいと思っています。

 

 

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