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第15回 社会保険旬報 地方から考える「社会保障フォーラム」開催される(4月25日)

第15回 社会保険旬報 地方から考える「社会保障フォーラム」(主催:地方から考える「社会保障フォーラム」事務局)が4月25日、26日に開催され、全国から約120名の地方議員が参加した。初日の講義の概要を紹介する。

第15回地方から考える「社会保障フォーラム」プログラム
4月25日(水)
講義1 「地域共生社会」の実現を目指して
講師:野﨑伸一氏(厚生労働省 政策企画官)
講義2 市町村はデータヘルスに如何に取り組むか
講師:鳥井陽一氏(厚生労働省 保険局国民健康保険課長)
講義3 生活困窮者自立支援制度の見直しと生活保護法の改正
講師:八神敦雄氏(厚生労働省 大臣官房審議官)
4月26日(木)
講義1 地域包括ケアシステムと診療報酬・介護報酬改定
講師:黒田秀郎氏(厚生労働省 保険局医療介護連携政策課長)
講義2 子育て支援の新たな展開
講師:平子哲夫氏(厚生労働省 子ども家庭局母子保健課長)

地域共生社会の実現を目指し、現状と課題、実践を紹介──野﨑政策企画官

厚労省の野﨑伸一政策企画官は「『地域共生社会』の実現を目指して」をテーマに講演した。「地域共生社会は福祉政策の文脈からスタートしたが、これまで作り上げてきた社会保障制度や労働制度を作り変えていかなくてはならない」と指摘。地域共生社会の実現に向けた現状や課題をまず説明した。

地域で格差もあるが、高齢化や人口減少が進展し、産業の担い手も減り、地域を維持していくことに課題があることを指摘。また経済成長も右方上がりではなく、「成熟・停滞・低下傾向にあるのではないか」とした。

他方、社会保障制度は、自助・互助があることを前提に成り立ってきているが、「大分弱まっている」ことを説明。単身世帯が増加しているが、未婚の進展から将来的に単身高齢世帯が一層増加する見通しや、単身世帯ほど「頼れる人がいない」ことも示し、「社会的孤立を生み出しやすい傾向がずっと続くのではないか」と指摘した。

福祉など各制度が縦割りであるとともに、対象から漏れる存在もある一方、経済が停滞・低下していることから財源を奪い合うなどの弊害が生じるとした。

こうした福祉・産業などの課題について別々に捉えるのではなく、その地域に住む人達が一緒に考えていくべきとした。

一方、たとえば少しハンディがあるけれど、「役割を担いたい」という障害者もおり、地域での担い手にもなり得るなどと説明。制度・分野の縦割りや「支え手」「受け手」という関係を超え、住民や多様な主体が参画するなどし、住民一人ひとりの暮らしや生きがい、地域をともにつくっていく、「地域共生社会」の実現に向け、実践事例等を紹介した。

重症化予防や保険者努力支援制度を説明──鳥井国保課長

厚労省の鳥井洋一国民健康保険課長は、「市町村はデータヘルスに如何に取り組むか」をテーマに、同課を中心に展開している糖尿病性腎症重症化予防や国保改革における保険者努力支援制度などについて説明した。

市区町村が地区医師会などと連携して取り組んでいる糖尿病性腎症重症化予防については、日本健康会議の目標である達成要件に該当する保険者数が平成28年度の118から、29年度は654と大幅に増加したことを指摘。

その理由としては、「専門家がいないとできないため、健康増進担当課が主担当となっている保険者が多い」と述べ、国保担当との連携が進んでいることをあげた。

市町村や都道府県の医療費適正化等の取り組みを点数化し、その結果に応じて補助金を配分する保険者努力支援制度については、「やり方は自治体の創意工夫にお任せしており、とにかく結果を出してほしい」と述べた。

生活困窮者自立支援法等改正案を説明──八神審議官

厚労省の八神敦雄大臣官房審議官は、「生活困窮者自立支援制度の見直しと生活保護法の改正」をテーマに、現在国会で審議中の改正法案の内容を中心に説明した。

生活困窮者自立支援法等一部改正法案は、大きく▽生活困窮者自立支援法▽生活保護法、社会福祉法▽児童扶養手当法──と三つの改正に分けられる。施行日は一部を除き平成30年10月1日。

生活困窮者自立支援法改正では、自立相談支援事業・就労準備支援事業・家計改善支援事業の一体的実施の促進するため、就労準備支援事業と家計改善支援事業についてその実施を努力義務とするとともに、両事業が効果的・効率的に行われている場合に、家計改善支援事業の補助率を2分の1から3分の2に引き上げることなどを説明した。

また生活保護制度の見直しでは、大学等進学時の一時金の創設を紹介。この見直しは改正法の公布日に施行され、4月に遡って給付されることを説明した。

自殺対策にも言及。自殺対策や困窮者支援などの対象要因として多重債務や病苦、介護疲れなどを上げ重複しているものが多いとし、「自殺は色々な要因が複合的になっている。自殺は一番極端に困って、悩んで起きるのだと思う。逆に自殺防止対策がしっかりできる地域は困窮者対策や他のことも対応ができるのではないか」と述べた。

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