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障害者施策の全体像を理解する【新刊】書籍『障害者福祉ガイド 2019 障害者総合支援法と障害者関連法の解説』を発行

あなたの周囲に障害をお持ちの方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

直近の統計によれば身体障害児者、知的障害児者および精神障害者の数は、それぞれ436.0万人、108.2万人および419.3万人とされています。この数字は人口1,000人当たりで34人、9人および33人に相当します。
一人の方で障害が重複しているケースなども考えられますが、単純計算では、国民のおよそ7.6%がなんらかの障害を有していることになります。
われわれのだれもが障害者や障害者の家族になりうる、あるいはなっていることを改めて考えさせられる数字だといえるでしょう。

このような中、わが国では世界の潮流とも協調しつつ、「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである」との理念にのっとった「障害者基本法」を中心として、さまざまな法令が定められ、それにもとづいた障害者施策が行われています。

当社(社会保険研究所)発行の書籍『障害者福祉ガイド 2019 障害者総合支援法と障害者関連法の解説』は、このように幅広な障害者福祉施策を見渡すことができる新たな書籍です。

以下、障害者施策にかかる法令の概要を紹介するとともに、本書の構成を紹介させていただきます。

『障害者福祉ガイド 2019 障害者総合支援法と障害者関連法の解説』

 Ⅰ 障害者施策と障害者基本法
 Ⅱ 障害者総合支援法
 Ⅲ 障害種別に応じた福祉の増進
 Ⅳ 障害者の雇用促進と職業安定
 Ⅴ 障害年金・手当による所得保障
 法令編

障害者施策と障害者基本法:総合的かつ効果的な施策のための基本計画を策定

はじめに、本書「Ⅰ 障害者施策と障害者基本法」では障害者基本法など、障害者施策の基本となる事項について、以下の項目により解説しています。

障害者基本法と障害者基本計画

すべての国民が、障害の有無に分け隔てられることなく、相互に尊重しあう共生社会の実現に向けて、「障害者基本法」が障害者施策の基本を定めています。また、障害者施策を総合的・計画的に進めていくため、障害者基本計画が策定され、横断的視点からの各分野別施策の基本的方向と目標が示されています。

第4次障害者基本計画

第4次障害者基本計画は、「障害者基本法」の理念の実現に向けた障害者の自立と社会参加の支援等のための施策を、総合的かつ計画的に実施するものとして策定されています。社会的障壁を除去することを目的として、各分野の施策の基本的な方向が定められています。

障害者差別解消法と基本方針

「障害者差別解消法」は、差別の解消の推進に関する基本的事項と措置等を定め、共生社会の実現に資することを目的としています。政府は、障害者差別解消法にもとづき、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的・一体的に実施するために「基本方針」を定めています。

障害者虐待防止法と市町村の取組み

「障害者虐待防止法」は、障害者に対する虐待の禁止、虐待予防と早期発見などに関する国等の責務、虐待を受けた障害者の保護と自立支援のための措置、養護者への支援措置等を定めています。
養護者、障害者福祉施設従事者、使用者による①身体的虐待、②心理的虐待、③性的虐待、④放棄・放置、⑤経済的虐待について、市町村・都道府県等による対応が定められています。

▲本書Ⅰ-1「障害者基本法と障害者福祉計画」

障害者総合支援法:障害種別にかかわらず利用できるサービスを提供

本書解説編で最も多くの紙面を割いている「Ⅱ 障害者総合支援法」では、以下について解説しています。

障害者総合支援法のしくみ

「障害者総合支援法」は、障害者・障害児が個人としての尊厳にふさわしい日常生活・社会生活を営むことを可能とするために制定されました。地域社会での共生を実現していくため、障害福祉サービス、地域生活支援事業が同法に基づき提供されています。
都道府県および市町村は、3年毎に障害福祉計画・障害児福祉計画を策定することとされています。

自立支援給付

「障害者総合支援法」にもとづき提供される障害福祉サービスや相談支援、自立支援医療、補装具の購入等などの費用については、自立支援給付として支給されます。
自立支援給付の支給等は市町村等が実施し、市町村や都道府県・厚生労働省は、必要があるときは、障害者等や事業者等に報告・調査等を行います。
なお、自立支援給付は、介護保険法の介護給付や健康保険法の療養の給付などのうち、自立支援給付に相当するものを受けられるときなどは、その部分については行われません。

自立支援給付に係る事業所の指定等

障害福祉サービス事業所・障害者支援施設は都道府県等が、計画相談支援の事業所は市町村が指定します。指定は指定基準(条例)にもとづき、サービス単位・事業所単位で行われます。
また、自立支援医療を実施する指定自立支援医療機関については、都道府県等が指定します。指定は自立支援医療の種類ごとに行われます。
障害者(児)施設・事業者には、法令遵守等の業務管理体制の整備が義務づけられており、事業者等が整備すべき業務管理体制は指定を受けている事業所等の数に応じて定められています。
なお、利用者が個々のニーズに応じて良質なサービスを選択できるようにするとともに、事業者等によるサービスの質の向上を行うため、障害福祉サービス等情報公表制度が実施されています。

障害児への支援給付(児童福祉法)

児童福祉法の規定による障害児への支援給付は、通所・入所・相談支援として、それぞれ障害児通所給付費・障害児入所給付費・障害児相談支援給付費等として設定されています。
通所・相談支援に係る給付の支給は市町村が実施し、入所に係る給付の支給は都道府県等が実施します。それぞれの事業者の指定は都道府県等が行います(相談支援は市町村)。
通所(居宅生活の支援)に係る障害児への支援給付(障害児通所給付費等)を受けようとする障害児の保護者は、市町村へ申請し、通所給付決定を受けます。

地域生活支援事業・地域生活支援促進事業

全国一律で行われるのが障害福祉サービス等の自立支援給付であるのに対し、地域の特性や状況に応じて柔軟な事業形態で行われるのが地域生活支援事業です。
地域生活支援事業には、市町村が行う事業と都道府県が行う事業があり、また、必ず実施すべき必須事業と、実施主体の判断で行う任意事業があります。

▲本書Ⅱ-1-1「障害者総合支援法の全体像」

障害種別に応じた福祉の増進:障害の特性を踏まえて個別の福祉を拡充

本書の「Ⅲ 障害種別に応じた福祉の増進」では、障害の種別に応じて定められている法律について解説しています。

身体障害者への福祉

昭和24年(1949年)に成立し翌年施行された身体障害者福祉法は、日本で初めて身体障害者を対象として制定された法律で、児童福祉法、生活保護法とともに福祉三法と呼ばれています。
身体障害者福祉法では、身体障害者の自立と社会経済活動への参加促進のための事項が定められています。

知的障害者への福祉

知的障害者福祉法は、知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための援助と、必要な保護(更生援護)の実施について、定めています。
市町村は、知的障害者が居宅で日常生活を営むことができるよう配慮しながら、地域の実情に応じた体制を整備することが求められています。

精神障害者への福祉

精神保健福祉法は、障害者基本法の成立により精神障害者が福祉の対象として位置づけられたのをうけ、精神保健法を改正した法律です。保健医療施策に加え精神障害者の社会復帰等のための福祉施策の充実を図ります。

発達障害者への福祉

発達障害者支援法は、発達障害の早期発見と発達支援に関する国と地方公共団体の責務を定めており、個々の発達障害の特性に応じた、切れ目のない支援体制の確立をめざしています。
発達障害者への支援を総合的に行う地域の拠点として、都道府県(指定都市)に発達障害者支援センターが設置されています。

▲本書Ⅲ-3「精神障害者への福祉」

障害者の雇用促進と職業安定:就労を通じて経済的な安定を図る

本書の「Ⅳ 障害者の雇用促進と職業安定」では、障害者の就労や職業リハビリテーション等について、以下の項目により解説しています。

障害者雇用促進法のしくみ

障害者は経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとされています。
社会連帯の理念に基づいて、障害者の雇用を促進するためにすべての事業主や国等が有する責務や行うべき措置等を定めているのが障害者雇用促進法です。

障害者優先調達のしくみ

障害者就労施設等の経営基盤を強化するため、国や地方公共団体が物品等を購入するに当たっては、障害者就労施設等から率先して調達することが求められます。
国等は調達の推進を図るための方針を定めて実施し、年度ごとに実績を公表します。

▲本書Ⅳ-1「障害者雇用促進法のしくみ」

障害年金・手当による所得保障:現金給付により障害者の福祉を増進

本書の解説編の最後となる「Ⅴ 障害年金・手当による所得保障」では障害年金等の現金給付による福祉について解説します。

公的年金制度による障害年金

障害者の総合支援の一環として、公的年金制度と福祉制度による所得保障が行われます。公的年金制度からは、加入していた年金制度のしくみに応じて障害年金が支給されます。また、年金制度加入年齢前の傷病により障害となった場合にも、障害年金が支給されます。
さらに、支給要件や年金額の計算については、障害者に関する手厚い措置が設けられています。

特別児童手当等の支給に関する法律による手当

障害者への福祉制度による所得保障として、「特別児童手当等の支給に関する法律」による手当の支給が行われています。
手当には、20歳以上の重度障害者を対象とした「特別障害者手当」、20歳未満の重度障害児を対象とした「障害児福祉手当」、20歳未満の障害者を対象に、その保護者(障害児を監護している父、母、または養育者)に支給される「特別児童扶養手当」があります。

▲本書Ⅴ-1「公的年金制度による障害年金」

法令編:本書の法律・政令・省令・告示をわかりやすく掲載

本書の後半「法令編」は文字どおり、障害者福祉施策に関連する法令(法律・政令・省令等)をまとめています。
本書の各章(Ⅴを除く)に対応した法令を掲載していますので、それぞれの解説を補い、深く理解することが可能です。

ご存じの方も多いと思いますが法令の世界では、法律の細かな規定を、政令や省令といった下位の法令に委ねることが多くあります。障害者施策に関する法律も同様で、それぞれにたくさんの委任規定があり、これらの規定を手がかりなしに探していくのは、法律書や「e-Gov」のようなWebサイトを使っても非常に困難です。

この点、本書の法令編では、関係する規定(施行令・施行規則等)を法律の文言の近くに配置するなど、体系的に整理することを心がけて編集しています。よって通常では探すのも困難な委任規定がすぐわかり、使い勝手がいい資料になっています。

▲本書法令編Ⅱ-①「障害者総合支援法 第2章 自立支援給付」

 

以上のように本書は、施策の概要をすばやく知りたい方には、根拠にもとづく正確な記述でありつつも簡潔な記述がその役に立ち、一方、障害福祉サービス事業所や自治体で関係業務に携わっている方には、深く掘り下げたより専門的な知識の修得が可能となっています。

ぜひお手元に置き、皆様の業務にご活用ください。

障害者福祉ガイド 2019 障害者総合支援法と障害者関連法の解説
規格:B5・704頁
発行:令和元年8月発刊
ISBN:ISBN978-4-7894-0610-9 C3036 \4000E
商品No.:16560
定価:本体4,000円+税
 

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