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【詳解】第87回社会保障審議会介護保険部会(12月5日)

介護分野の文書負担軽減や介護保険制度改正全般について検討(12月5日)

社会保障審議会介護保険部会(遠藤久夫部会長)は5日、4日に公表された「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」(野口晴子委員長)の中間取りまとめの報告を受け、意見交換を行った。さらに「論点ごとの議論の状況」を踏まえて制度改正に向けて全般的に検討した。専門委員会の中間取りまとめについては、賛意を示す意見が相次いだ。

→「「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」中間取りまとめ」(令和元年12月4日)【PDF】

 

処遇改善加算の計画書・報告書を来年度から一本化

専門委員会は、指定申請・報酬請求・指導監査などの関連文書について、一層の負担軽減を目指して8月から検討を開始。事業者団体のヒアリングを含めて5回に渡り議論を深めた。検討に当り、①簡素化②標準化③ICT等の活用─の3つの観点を念頭に置いた(図表1)。

▲図表1 介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門員会(開催概要)

中間取りまとめでは、3つの観点に合わせて取り組み事項を整理。さらにスケジュールの目安も示した(図表2・3)。

▲図表2 介護分野の文書に係る主な負担軽減策

▲図表3 今後の進め方

取り組みは多岐に渡る。

たとえば①簡素化では、今年度目途の取り組みとして、事業者の新規指定申請では、事前説明など一度は対面の機会を設けることを基本としつつ、既に複数事業所を運営している場合は更なる対面を必須としないなどとする。また更新申請・変更届は郵送・電子メール等による提出を原則とする。

指定申請・報酬請求の文書の押印については、申請者が報酬等の支払いを受けることを認めるに当たり前提となる事項に関する申請について求める。原則として▽指定(更新)申請書▽誓約書▽介護給付費算定にかかる体制等に関する届出書─の正本1部に限るとした。附表や添付書類への押印は不要とした。

「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」について「自治体の独自様式で作成を求められる場合があることから、全国共通の様式を整備すべき」などの意見が出され、厚労省の示す参考様式について自治体の意見を受け、改訂することとした。

介護職員処遇改善加算や介護職員等特定処遇改善加算の計画書・報告書を来年度から一本化。関係者の意見を踏まえて国の様式も見直す。

また①簡素化の1~2年以内の取り組みでは、併設事業所や複数指定を受ける事業所に関する簡素化を図る。たとえば同一事業所で実施している介護サービスや予防サービスで類似の書類の1本化や、介護と予防で指定開始日が異なる場合、更新日を近い方に合わせて集約し、更新申請が6年に一度で済むようにする。また介護サービス事業所の指定を受けている事業所が介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の指定申請を行う場合に簡素化を図る(図表4)。

▲図表4 主な負担軽減策の方向性(簡素化)

指定申請・報酬請求の電子申請も3年以内に進める

②標準化の年度内目途の取り組みとしては、事業者の指定申請時の文書で「事業所管理者の経歴」など一部の記載を不要とする省令改正が昨年、行われた。さらに様式改訂も行われた。そうした見直しの周知徹底を図る。

省令改正により削除された項目の一部は老人福祉法施行規則に基づいて引き続き提出が求められる場合があるので、老人福祉法施行規則を改正する。併せて有料老人ホームについては、設置の届出などで求められる事項で法律上、規定されている事項もあることから老人福祉法の規定も見直す。介護保険法改正と同時に行う予定だ。

1~2年以内の取り組みとして、総合事業や加算の添付書類などの様式例の整備について令和2年度中に見直しの方向性について検討、結論を得て必要な対応を行う。

③ICT等の活用では、指定申請や介護報酬請求のウェブ入力・電子申請も3年以内に進める方針を示した。具体的に、介護サービス情報公表システムの活用した、指定申請及び報酬請求に関する届出等の入力項目の標準化とウェブ入力の実現について、来年度中に結論を得る(図表5)。

▲図表5 主な負担軽減策の方向性(標準化・ICT等の活用)

自治体と事業者との間でやり取りする文書に関してルールと様式を統一しウェブ化により、各自治体で共有できる仕組みとすべきという意見を踏まえ検討を進める。

今後、取り組みのモニタリング等も進める。検討事項については厚労省内で協議し、必要に応じて専門委員会から意見を求める考え。また事故報告の行政への提出文書の標準化を求める意見なども出されており、厚労省は補助事業による調査研究も活用し検討を深める方向だ。

利用者・家族の文書作成の負担軽減を求める意見も出される

中間取りまとめについて、賛意を示す意見が相次いだ。他方でサービス利用のうえでの利用者・家族の文書作成の負担軽減を求める声や、処遇改善加算の計画書の提出は初年度のみとする提案、文書負担軽減を実施した後のフォローアップをきちんと行うことへの要望も出された。

他方、「論点ごとの議論の状況」については前回の議論も踏まえて修正されたものが示された。意見交換では、「持続可能な制度の構築」を中心に協議。介護保険の利用者負担を「原則2割」とすることを求める声が上がる一方、反対も出された。

部会は今後、9日にまとまった「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」の議論の取りまとめについて報告を受けて意見交換を行うとともに、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の弾力的な運用に関しても議論を深める方向だ。

厚生労働省は、総合事業の利用対象者やサービス事業の単価設定の弾力化を進める上で、どこまで対象者の拡大が認められるかや、通常設定されている単価をどこまで超えることが認められるかなど、「幅に関して意見を聞きたい」としている。

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