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【詳解】第88回社会保障審議会介護保険部会(12月16日)

補足給付と高額介護サービス費の見直しを提案

社会保障審議会介護保険部会(遠藤久夫部会長)は12月16日、次期介護保険制度改正に向けて議論を深めた。厚生労働省は、制度の持続可能性の確保の観点から、低所得者を対象とする介護保険施設やショートステイにおける補足給付及び、現役並み所得相当の人の高額介護サービス費の見直しを提案した。部会では概ね了承された。

改正される場合、施行は令和3年8月が想定されている。厚労省は今後、見直しによる影響の人数や影響額について把握する考えを示した。

補足給付の段階を5段階にするとともに、預貯金等の要件を3段階に

補足給付については、対象となる所得段階について保険料の所得段階と整合させるとともに、能力に応じた負担とする観点から精緻化し、食費・居住費負担を含む本人の支出額について、所得段階間の均衡を図ることを提案した(図表1・2)。

▲図表1 議論の整理の方向性(補足給付①)

▲図表2 議論の整理の方向性(補足給付②)

具体的に、補足給付の対象となる負担第3段階の年金収入額の要件についてまず2つに分けて、現行の4段階から5段階にすることを示した。告示を改正する予定だ。

現行の第3段階では、本人年金収入等80万円超だが、これを本人年金収入等80万円超120万円以下(第3段階①)と本人年金収入等120万円超(第3段階②)とする。なおいずれも世帯全員が住民税非課税の要件は変えない。

その上で、介護保険3施設に係る第4段階と第3段階②の本人支出総額(月額)の差額(介護保険3施設の平均)の2分の1である2.2万円を本人の負担に上乗せすることを示した。その分、食費の補足給付を削減する考えだ(図表3)。

▲図表3 補足給付に関する給付の在り方①

これまで第3段階と第4段階の本人支出総額の格差は約4.3万円であり、厚労省は「よりなだらかな負担にする」と説明した。本人支出総額は食費・居住費・利用者負担・介護保険料の合計額。

ショートステイについてもまず介護保険施設と同様の考え方で見直す。

さらに食費が給付の対象外となっているデイサービスとの均衡を図る観点から、第3段階①、第2段階の補足給付についても負担能力に配慮しつつ見直す。見直しに当たっては、各所得区分ごとの段差が300~400円となるように調整する(図表4)。

▲図表4 補足給付に関する給付の在り方②

調整後には、食費の利用者負担は第2段階で210円増額し600円、第3段階①で350円増加し1000円、第3段階②で650円増額し1300円となる見込み。第3段階②は調整のため、本来の負担増分よりも減少することになる。

加えて補足給付の支給要件の1つである預貯金等の基準も見直すことを提案した(図表5)。この点は厚労省令を改正する予定だ。

▲図表5 補足給付に関する給付の在り方③

単身者で預貯金等1千万円以下は補足給付となっているが、これについて第2段階は650万円以下、第3段階①は550万円以下、第3段階②は500万以下とすることを提案した。配偶者の上乗せ分については現行の1千万円を維持する。いずれの所得段階でもユニット型個室に10年入所できる水準は保つ。

介護保険施設での補足給付の受給者のうち第3段階は31年3月サービス分で総計31.4万人(図表6)。

▲図表6 補足給付段階別の受給者数(介護保険施設)

厚労省は、負担把握することを説明した。他方、ショートステイで確実に負担が増える第2段階は2.8万人、第3段階は5.7万人であるが増える第3段階②となる人数は現時点では把握できておらず、今後(図表7)。

▲図表7 補足給付段階別の受給者数(ショートステイ)

高所得者の高額介護サービス費の上限額を引き上げ

高額介護サービス費について、現役並み所得相当(年収約383万円以上)について医療保険の自負担額の上限額に合わせて見直しを提案。具体的に年収約770万円~1160万円は現行の4万4400円から9万3千円に、1160万円以上は14万100円に、それぞれ引き上げることを示した(図表8・9)。

▲図表8 議論の整理の方向性(高額介護サービス費)

▲図表9 高額介護サービス費

制度の持続可能性の確保では、検討項目として総計8つが示されていた。

そのうち制度創設の検討段階からの課題である被保険者・受給者の範囲について厚労省は、11月27日の部会でいち早く「引き続き検討を行うことが適当」とし、先送りを示した。また現金給付も慎重論があったことから現時点で導入することが適当はないことを指摘し、検討対象から外していた(図表10)。

▲図表10 これまでの検討(8つの諸課題)

その後も検討を継続していた▽老健施設などの多床室の室料負担の導入▽ケアマネジメントにおける利用者負担の導入▽軽度者への生活援助サービス等の地域支援事業への移行▽現役並み所得(3割負担)・一定以上所得(2割負担)の判断基準の見直し─の4項目について厚労省は「引き続き検討を行うことが適当」と先送りすることとした(図表11~16)。

▲図表11 議論の整理の方向性(多床室の室料負担)

▲図表12 議論の整理の広報性(ケアマネジメントに関する給付の在り方)

▲図表13 議論の整理の方向性(軽度者への生活援助サービス等①)

▲図表14 議論の整理の方向性(軽度者への生活援助サービス等②)

▲図表15 議論の整理の方向性(「現役並み所得」等の判断基準①)

▲図表16 議論の整理の方向性(「現役並み所得」等の判断基準②)

厚労省の提案に対して、全国老人保健施設協会の東憲太郎委員は、「おおむね賛成できる」と述べた。全国老人福祉施設協議会の桝田和平委員は、補足給付の見直しによる負担増で利用者が負担できなくなった折に、社会福祉法人利用者負担減免制度で対応することになるが、全ての社会福祉法人や市町村が実施しているわけではないことなどを指摘。運用面での懸念を示した(図表17)。

▲図表17 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度事業

認知症の人と家族の会の花俣ふみ代委員は、以前、利用者負担割合の見直しがなされた折に、「高額介護サービス費があるという説明がセットであった」と指摘した。

高額介護サービス費の上限額の引き上げがなされれば自己負担額が増える利用者が出てくる可能性を示し、「負担を増やすときは設定した条件が妥当であったか検証するために丁寧に実態把握をしていただきたい」と求めた。利用者負担について応能負担の見直しを進めるのであれば、「負担能力の低い人に1割未満の利用料の設定があってもいいのではないか」と述べた。

一方、健保連の河本滋史委員は、「介護給付費は医療費を上回るスピードで伸びている。2025年度には15兆円を超えることが見込まれる。今回の見直し案は踏み込み不足。制度の持続可能性が担保されたとは言い難い」と主張した。

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