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地方から要請された人員基準等の緩和に賛否─介護給付費分科会が2巡目の議論を開始(9月4日)

令和3年度介護報酬改定に向けて3月から議論を重ねてきた、社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は4日、改定の具体的な方向を固めていく2巡目の議論を開始した。厚労省は各サービスに横断的に関わるテーマである「感染症や災害への対応力強化」と「地域包括ケアシステムの推進」に関して現状や論点を紹介して、意見を求めた。

当日の議論について2回に分けて紹介しているが、「地域包括ケアシステムの推進」では、認知症の対応力の強化として東京都が推進している「認知症のBPSD(行動・心理症状)ケアプログラム」が紹介され、普及を求める声が上がった。

また地方からの要請で訪問看護ステーション等の人員配置基準等の緩和を可能とする見直しが示され、賛否両論が出された。

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BPSDケアプログラムの推進・評価が求められる

「地域包括ケアシステムの推進」では、(1)認知症への対応力強化(2)医療・介護の連携と看取りへの対応強化(3)地域の特性に応じたサービスの確保─に分けて現状や論点が示された。

このうち(1)認知症への対応力強化では、東京都が推進しているBPSDケアプログラムについて紹介された。同プログラムでは、アドミニストレーター研修の受講者を中心に、認知症の症状やニーズを評価して数値化し、具体的なケア計画を立て、チームで統一的なケアを行うもの。評価では「妄想」「幻覚」など12項目の指標からなるNPI評価尺度を活用する。

令和元年度の老健事業「認知症BPSDケアプログラムの広域普及に向けた検証事業」では、「BPSDケアプログラムによる介入は、介入しない場合よりもBPSDを軽減する効果があると考えられる」と報告。さらに同プログラムについて、「介護報酬上の加算を積極的に検討すべき」などの意見が出された。

全国老人福祉施設協議会も「BPSDケアプラグラムを参考に、多職種連携による①観察・評価、②背景要因の分析、③ケア計画への反映、実行というストラクチャー・プロセス評価を勘案すること」と要望している。

また厚労省は、認知症の対応力を向上していくために、認知症施策推進大綱を踏まえて無資格の介護職員を対象に「認知症介護基礎研修」の受講を促進する考えを示した。同研修の修了者は累計で約3万9千人だ。同研修は座学のみで総計360分。カリキュラムは「認知症の人の理解と対応の基本」と「認知症ケアの実践上の留意点」が各180分である。

意見交換で、日本介護支援専門員協会の濵田和則委員は、「認知症のBPSDへの対応を体系的に確立していく必要がある」と指摘。BPSDケアプログラムの横展開を図れるようにすることを求めるとともに、ビッグデータにより解析を進め標準的な手法が開発されることに期待を寄せた。

全国老人保健施設協会の東憲太郎委員も認知症の人の残存能力を測る評価指標の必要性を強調した。

(2)看取りへの対応強化について、日本看護協会の齋藤訓子参考人は、今後の利用者の重度化等への対応が想定されることを踏まえ、看護職員を加配している施設への評価を高めることを指摘。看護職員の確保が難しい場合は、「介護保険の訪問看護を導入する。地域の資源を有効活用していく。重度者や看取り対応を強化する方策を検討すべき」と主張した。

日本医師会の江澤和彦委員も特定施設やグループホームに介護保険の訪問看護と訪問リハによるサービス提供ができないことについて、利用者の重度化や看取りの対応を踏まえて、「柔軟に検討してほしい」と求めた。リハ専門職の配置要件がない特養における対応では、「生活期リハは介護保険が原則となっている。今後の実態を踏まえて検討課題」と述べた。

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