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生活行為向上連携加算でリハ専門職の派遣機関へのインセンティブ付与を複数が指摘(10月15日)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は10月15日、令和3年度介護報酬改定に向け、⑴通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護、⑵療養通所介護、⑶通所リハビリテーション、⑷短期入所生活介護、⑸短期入所療養介護、⑹福祉用具・住宅改修─について意見交換を行った。

通所系サービスと、ショートステイ・福祉用具・住宅改修に分けて、厚労省が示した検討の方向性や、主な意見を紹介する。

通所系サービスについて、厚労省は、通所介護等における生活機能向上連携加算の見直しでICTの活用を提案するとともに、連携先を見つけやすくする方策について意見を求めた。複数の委員がICTの活用に賛意を示すとともに、リハ専門職を派遣する医療提供施設等に対して報酬を出すなど、インセンティブをつけるように主張した。

通所リハでは、基本報酬について「規模の拡大による経営の効率化に向けた努力を損なわないようにする観点」から検討することを提案。複数の委員が方向性を支持した。

自立支援の観点から入浴介助加算や個別機能訓練加算の見直しを提案

⑴通所介護等について、検討の方向性として次の6点を示した。

①通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護については、生活機能向上連携加算において、外部のリハビリテーション専門職との連携を促進するため、訪問介護等と同様にICTの活用を認めることを提案した(短期入所生活介護でも同様)。さらに連携先を見つけやすくする方策について意見を求めた。

令和2年度の「通所介護における人材活用等の実態把握に関する調査研究事業」によると、生活機能向上連携加算を算定していない理由としては、「該当事業所・施設と連携したことがなく、依頼に躊躇してしまう」が24.6%、「近隣に該当の事業所・施設が存在するのかわからない」が10.8%など。「近隣に該当事業所・施設がない」も10.2%あり、その場合の、リハを実施する病院(200床以上)の有無を聞いたところ、「ない」が46.4%、「わからない」が29.8%などとなっている。

加算を算定していない理由で、連携先との調整上の理由では、「人手不足」3.6%、「謝礼金額との調整がつかなかった」2.8%などとなっている。

②入浴介助加算について、入浴介助を通じた利用者の居宅における自立支援・日常生活動作能力の向上に資する取り組みを行っている事業所の状況を踏まえて見直すことを提案した(通所リハでも同様)。
具体的に自宅での入浴回数の把握や、個別機能訓練計画への位置づけを行っている事業所がある。個別機能訓練計画への位置づけでは、脱衣・洗髪・洗身・椅子の立ち座り、浴槽跨ぎ、着衣等、入浴にかかる一連の動作について目標を設定し、できることは利用者自身が行うようにするとともに、利用者が1人で入浴できるようにするなどの取り組みを行っている。

③通所介護や地域密着型通所介護の個別機能訓練加算について、算定できない理由などを踏まえ、人員配置要件や機能訓練項目の見直すことを提案した。

個別機能訓練加算Ⅰは身体機能の向上を目的とする(46単位/日)。Ⅱは生活機能の向上を目的とする(56単位/日)。

令和元年度「介護サービスにおける機能訓練の状況等に係る調査研究事業」では、個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを算定しない理由としては、いずれも「機能訓練指導員を常勤又は専従により配置することが難しいため」が6割近くに上った。

また27年度の「リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究事業」で加算Ⅰ・Ⅱを算定している利用者の訓練内容をみてもほとんど差がなく、Ⅰで多かったのは「筋力向上訓練」66.2%、「歩行・移動練習」60.8%。Ⅱでも「歩行・移動練習」67.7%、「筋力向上訓練」66.5%となっていた。Ⅱでも生活機能に関する訓練はほとんど行われておらず、最高でも余暇活動練習が5.5%に止まった。

④通所介護で、地域等との連携を促進していく観点から対応について意見を求めた。通所介護は、市町村の事業への協力に関して運営基準に規定があるが、地域との交流等について特に規定がない。

⑤認知症グループホーム等のスペースを活用して実施する共用型(介護予防)認知症対応型通所介護(共用型認デイ)の管理者について、本体施設・事業所の職務とあわせて、共用型認デイの他の職務に従事できるようにすることを提案した。

⑥認知症対応型通所介護に中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算を設けることを提案した。

生活機能向上連携加算の連携先の制限を外すことが指摘される

意見交換では、全国老人福祉施設協議会の小泉立志委員は、通所介護について生活機能向上連携加算の「専門職との契約に見合うだけの報酬単価の設定が必要」と指摘。また現行では事業所間の契約によるものだが、「本来は個別ケアマネジメントの中で個々に算定されることが望ましく、介護支援専門員が調整して、介護事業所とリハビリテーション系事業所の双方に加算が算定されなければ取り組みは広まっていかない」とした。派遣元の報酬上の評価の導入を求めた。

入浴介助加算について、「自立支援を推進するのであれば、入浴中の観察を含む介助を行う場合の単価と、加えてアセスメントを行った場合の単価を設定」することを提案した。

個別機能訓練加算については、推進するうえで、「機能訓練指導員の配置要件の緩和が必要」と指摘した。

全国老人保健施設協会の東憲太郎委員は、生活機能向上連携加算について、算定する意義などを踏まえたうえで「インセンティブをつけないと、増えないだろう」と指摘した。

神奈川県の山本千恵参考人も生活機能向上連携加算について、「派遣元に対するインセンティブを考えてもいいのではないか」と提起。医療機関に対しては診療報酬による評価になることから、令和6年の介護報酬・診療報酬の同時改定に向けて検討することを提案した。
また入浴介助加算を基本報酬に含めるとともに、入浴介助を行っていない事業所について減算することを提案した。

日本経団連の井上隆委員は、加算については全般的に、「簡素化が必要。定着しているものは廃止するか、あるいは利用者にとってより質を高める形で重点化していくべき」と指摘した。そのうえで、生活機能向上連携加算について、「算定率が低迷していることに本当のニーズがあるのか分析が必要。ICTの活用する場合は単位数の適正化が考えられる」と指摘した。

認知症の人と家族の会の鎌田松代委員は、生活機能向上連携加算におけるリハ提供医療機関について「病院にあっては許可病床200床未満のもの又は当該病院を中心として半径4キロメートル以内に診療所が存在しないものに限る」などの要件について、「加算の取得率を上げるためにも連携先の制限をはずしてほしい」と求めた。

一方、日本医師会の江澤和彦委員は、生活機能向上連携加算について、「報酬が低すぎる」と指摘。また介護事業所に派遣されるリハ専門職について、「中小病院に多く在職している」とし、200床未満の病院に派遣を進めてもらうことを検討するように提案した。

入浴介助加算の見直しでは、「自宅の浴槽でどう入浴を継続できるのかが目標になる。一般的に自宅には機械浴がないわけであり、介護事業所では自宅に準じた個浴を中心に展開していくべき。そうしたものを評価していくことが自立支援につながっていく。推奨されているのはマンツーマン入浴だ。集団的流れ作業からの脱却は喫緊の課題だ」と述べた。

協会けんぽの安藤伸樹委員は、個別機能訓練加算ⅠとⅡの機能訓練などに差異が見られない点に言及。同一日に同一の利用者に対して両加算を算定できるという現行の見直しを要望。さらに「加算Ⅰの点数で両加算を一本化したうえで、実際に生活機能に関する訓練を実施する場合に、機能訓練指導員が直接実施することを要件として上乗せするなど見直す必要がある」と指摘した。

健保連の河本滋史委員も個別機能訓練加算について、「個別訓練の差がないのであれば、それぞれの目的・人員配置を整理して見直すべき」と指摘した。

入浴介助加算について「個別機能訓練計画への位置付けなど自立支援に向けた取り組みを評価することは大変良いことだが、現行加算の要件に組み入れてもいいのではないか」と述べた。

連合の伊藤彰久委員は、通所介護の地域との連携にあたり、運営基準上に規定を位置付けることに賛意を表明した。

療養通所介護の報酬の包括化を提案

⑵療養通所介護について、①安定的なサービス提供ができるように包括報酬とすることと、②長期間状態が安定している利用者で一定の要件を満たす利用者の状態確認にICTを活用できるようにすることを提案した。②について、療養通所介護ではすべての利用者について看護職員が毎回訪問し、通所できる状態か確認することが求められているが、人材の有効活用の点から対応の検討を求めた。

意見交換では、日本看護協会の岡島さおり委員は、療養通所介護について発言。報酬の包括化に賛成を表明した。さらに「実態を十分に踏まえた上で、6時間以上8時間未満の利用が妨げられないよう適切な報酬の設定をお願いしたい」と求めた。その他にも複数の委員が報酬の包括化には賛意を示した。

一方、日本医師会の江澤和彦委員は、療養通所介護の報酬の包括化について、利用のキャンセルは他の通所サービスにもあることなどを上げ、「他の通所サービスもあるので、整合性をどうはかるか慎重に検討すべき」と指摘した。

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