年金時代

年金時代編集部

第3回 石川県社会保険労務士会

年金相談員の養成とレベルの標準化が急務

相談者に寄り添う姿勢が年金相談の基本

石川県には、JR東金沢駅から徒歩15分ほどの場所に「街角の年金相談センター金沢」がある。金沢市の北東部に位置する。裏手に14台の駐車場を完備しており、車で訪れる人が多い。センターの2階には、日本年金機構の石川事務センターが入っている。
「社会保険労務士の仕事は、これまで企業指導に重きを置いてきました。いわば『先生』と呼ばれる立場です。しかし、街角センターには、年金のことをよく知らない一般の方がいらっしゃいます。相談者の困っていることを的確に把握し、相談者に寄り添う姿勢を重視しながら仕事に取り組んでいます」
石川県社会保険労務士会のセンター運営部長を務める関戸秀次会長は、年金相談にあたる基本的な考え方をこう説明する。
センターには現在、社労士会所属の社労士7名が、毎日2名ずつ相談員として出勤している。遺族年金や障害年金にも対応できるベテランばかりだ。
関戸会長およびセンター長は、必要に応じてお互い社労士会事務局に赴き、意見交換や運営状況、日常業務の報告を行っている。
「それとは別に、センター長と管轄の金沢北年金事務所とは毎月打ち合わせを行っています」(西木悟・社労士会事務局長)
センター以外にも、石川県下4ヵ所の年金事務所で、9名の社労士が相談にあたっている。そのうち2名はセンターとの兼務だ。また、ゆうちょ銀行金沢支店と契約し、月1ないし5回の年金相談会や職員研修に社労士を派遣している。

センターの存在が会の主体的取り組みの源泉

関戸会長は、
「相談員の数は少ないのが実情です。センターでも、現在の社労士が休んだり病気になったりしたときなどの補充を考えると、相談員の養成は急務です」
と話す。
会では毎年春に、相談員を公募している。応募者に対しては2名1組で、センター長がウィンドウマシン操作も含め、3~4ヵ月間指導する。その後は、センターで実習を行い、相談員として独り立ちをめざす。こうした養成は2期目を迎えている。その間も関戸会長みずからが個別に話をし、適性を判断しているという。
「さきほども申したように、対面相談は寄り添う姿勢が大事です。教える要素も必要ですが、相手の話を引き出す能力やカウンセリング的なスキルも要求されます。しかも、個人情報がたくさん出てくる機械の画面を見ながら、瞬時に理解し即座に回答を用意しなければなりません。やはり適性があるかどうかが重要になります。さらに高いレベルの実力をもつ相談員を標準化していきたいと考えています」(関戸会長)
その意味で、センターがあることによって、社労士会として主体的に相談員の養成に取り組むことができるとも話す。
菊池寛治運営副部長も別の視点からこう指摘する。
「社労士は顧問先と契約を結ぶことが基本です。しかし、特に若い人などは契約を結ぶことが難しくなっています。もっと広い範囲で社労士業務の展開を図っていく必要があり、年金もその一つだと考えています」
社労士会では「一般社団法人社労士成年後見センター石川」を設立し、成年後見制度にも取り組んでいる。
「成年後見は財産管理など依頼人に寄り添う形で行うものですし、障害年金とも関係してきます。年金相談に通ずるものがあると考えています」(関戸会長)

雇用の安定化でレベルの高い相談をめざす

会としては年1回、全会員を対象に年金研修会を実施。そのとき講師を務めるのがセンター長や社労士相談員だ。また、労働条件審査・年金制度・労働法・人事労務の4つのテーマで指定研究会を開催。どれに参加するかは会員が選択し、年金は年6回程度実施している。指定研究会は会としても強化していく方針だという。
日本年金機構との契約で、今後5年間は社労士会によるセンター運営が延長された。それに対して、関戸会長は次のような感想をもらす。
「年金相談では、個人情報を取り扱う複雑な仕事に責任をもって取り組んでいます。そのためには、常勤職員を含めやはり雇用の安定化が必要です。私どもも相談員の資質向上に努め、年金事務所よりもレベルの高い相談をめざしていかなければなりません。職場環境を整え、年金相談への信頼を築き上げたいと考えています」
センター運営では今後、移転も検討課題になってくる。2階に入っている石川事務センターが富山と統合し、来年度には移転することが計画されている。
「事務センターがどこに移転するのかにもよりますが、相談センター自体も移転の可能性を年金事務所と相談していくことになると思います」(関戸会長)

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