年金時代

年金時代編集部

第8回 神奈川県社会保険労務士会

年金相談員の育成・派遣に会として組織的に取り組む

年金研究委員会には1000名が所属

神奈川県内には、「街角の年金相談センター(オフィス)」が7つある。センターは横浜・戸塚・溝ノ口・相模大野の4ヵ所、オフィスが藤沢・厚木・新横浜の3ヵ所だ。藤沢オフィスは平成23年10月に、厚木オフィスは24年9月に、新横浜オフィスは26年10月にオープンした。センター(オフィス)数は、東京都・大阪府に次いで3番目に多い。
「元来、社会保険労務士の業務は社会貢献事業です。国民のためになる行動をすることになっています。その意味でも、社会保険労務士会が運営していることを前面に出し、親切・ていねいな対応を心がけています」
県社労士会のセンター運営部長を務める山本暁会長は、センターの運営についてこう話す。
センターとオフィスには現在、45名の社労士が相談員として登録している。ほかに、県内13ヵ所の年金事務所でも119名の社労士が相談にあたっている。センターや年金事務所で相談を行う社労士は、すべて会の組織である「年金研究委員会」のメンバーだ。
「平成11年ごろ、県内の郵便局から会に対し、委託依頼がありました。その際、会員を派遣するには一定のレベルを担保する必要があるということで、研さんを積める場を組織し、現在に至っています。委員会に所属していなければ、相談員としては派遣しません」
社労士会の山崎隆朗専務理事は、委員会設置の経緯をこう説明する。
現在、委員会のメンバーは1000名ほど。所属会員の半数近くに上る。7つのブロックに分かれ、定期的な研修に加え2年ごとに更新研修も行っている。

定期的な勤務体制で年金相談の“担当医”をめざす

センターも含め、年金事務所の管轄ごとに運営委員が置かれている。年金事務所との折衝等は運営委員長が務め、毎年度、派遣する社労士の決定も行う。運営委員はそうした社労士のチームリーダ的な役割を担う。
センターは社労士会が運営しているため、センター長や職員などとの連携も密に取れる。だが、年金事務所の場合は、社労士任せになる部分がある。そこで、年金担当の委員長と山崎専務理事は昨年、すべての年金事務所を訪問し、所長などと意見交換を行った。
「もともと社労士は、お客さまから報酬を得て相談にあたります。相手に納得してもらうためには、ある程度時間をかけます。しかし、センターや年金事務所ではお客さまをできるだけ待たせず、迅速に対応することも求められます。初めのうちは戸惑いもありましたが、現在は社労士の意識改革も進み、お客さま目線と迅速さが両立できるようになりました」(山崎専務理事)
センターでも、以前は1ブース当たり10名の社労士が登録しているケースがあった。そうなると、窓口に座るのは月1~2回になってしまう。
「やはり機械操作に余裕ができて初めて、相談員として優秀といえます。現在は週に1回以上、できるだけ決まった曜日に同じ人が行くようにしています。相談者も業種によって休日の曜日が異なります。何度か来ていただく場合、病院の担当医のように、決まった相談員に相談したいというニーズにも応えるためです」(山崎専務理事)

中学・高校への「出前授業」は年間30校にも及ぶ

センターはある程度知名度があるため、社労士会としてはオフィスを中心に広報活動を展開している。チラシのほか、藤沢オフィスはバスの社内アナウンスを実施した。おもしろいのは、藤沢・厚木の両オフィスで、来訪者に配るオフィス自体を案内した名刺だ。来訪者による口コミをねらっている。一方、オープン間もない新横浜オフィスは様子見の状態だ。
「最寄り駅からも近く、近隣に区役所のサービスセンターやハローワークもあり、立地に恵まれていますが、オフィスは2ブースしかありません。大々的にPRをして大勢のお客さまに来られても、逆に混雑して待たせてしまうことになります」(山崎専務理事)
相談事業とは別に、社労士会では平成15年から県内の中学校・高校や養護学校の生徒に対し、「出前授業」を行っている。ワークライフ支援委員会が中心になり、講師団を結成。学校側のニーズに応じ、社労士が労働や年金、社会保障全般の話をしているのだ。テキストも自前で作成し、「給与明細書の見方」「労働基準法の知識」「将来のために年金の必要性」など、実社会のしくみやルールをわかりやすく伝えている。訪れる学校は年間30校にも及ぶ。
「もともと社労士は、労務管理のプロとして取り組んできました。センターの運営をきっかけに、年金相談の専門家をめざす道も開かれました。社労士の業務も今後は二極化していくのかなという感じがします」
山本会長はこう結んだ。

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