年金時代

年金時代編集部

第9回 愛知県社会保険労務士会

新規事業に積極的に取り組み社労士のレベルアップを図る

さまざまなPR活動で相談件数は増加傾向に

愛知県内には、「街角の年金相談センター」が名古屋市内に2ヵ所ある。「名古屋」はJR名古屋駅から徒歩3分ほどのビルの2階、「千種」はJR中央線と地下鉄東山線・千種駅の真上に建つビルの6階だ。
立地条件には恵まれているようだが、平成22年のオープン当初は相談件数の伸び悩みに苦しんだという。
「確かに、『名古屋』は駅から近いのですが、官庁街や繁華街のある出口とは逆方向で人の流れが少なく、また、ビルの規制で看板などが出せません。そのため、案内チラシを区役所や近隣の市町村に置いてもらったり、路線バスの車体広告や車内アナウンスでセンター名を流してもらったりと、さまざまな形でPRに取り組んできました」
県社労士会のセンター運営部長を務める鬼頭統治会長は、当時をこう振り返る。来訪者の所在地など、データも徹底的に調べた。そのかいあって、口コミなどによる広がりも含め、一昨年くらいから相談件数は上昇傾向にある。
2つのセンターの相談窓口は4ブースずつ。そのうち1ブースずつに社労士相談員が毎日座る。14名の社労士がローテーションで担当している。センターに出向く社労士は、すべて年金マスター研修の修了者だ。
「お客さま目線で、親切かつスピーディな対応を心がけています。月に1回程度では満足な相談ができませんし、対面相談なので、同じ社労士に相談したいというお客さまからの要望もあります。そのため、2日続けて出勤することを原則に順番を決めています」
センターを含め年金事業を担当する神戸敏治副会長は、「お客さま目線」を強調する。

レベルに応じた独自の研修を実施

愛知県内には16ヵ所の年金事務所があり、そこでも140名の社労士が年金相談にあたっている。
「年金事務所も一般相談に変わってきており、どんな相談にも対応することが求められています。年金事務所でも時間外研修を行っていますが、人的な余裕がなく限界があります。それを補うのがセンターと位置づけています。センターの機能をフルに生かし、会としても社労士のレベルアップに取り組んでいます」(鬼頭会長)
センターでは常勤職員も含め、月1回の研修を行っている。年金事務所での相談員向けには、年4回のスキルアップ研修を行う。それとは別に、社労士会では独自に「年金専門研修」を実施。AコースとBコースに分かれ、Aコースは2時間の研修を年5回、レベルが高いBコースも年5回行っている。
「特に障害年金や遺族年金の相談では、“相談スキル”が求められます。知識だけではなく、相手の立場に立った思いやりです。そういった部分も含めた教育が必要です」(鬼頭会長)
年金事務所が主催する市町村向けの年金相談にも社労士が参加している。現在は蒲郡市・蒲郡商工会議所、弥富市、日進市、長久手市、みよし市の5市6会場で行っている。
「このうち蒲郡市では、年金事務所からウィンドマシンを借りて実施しています。社労士だけで対応し、市民の方からも本格的な相談ができると期待されています」(神戸副会長)

年金プラスアルファの相談が将来の理想

12月2日の「社労士の日」の前後1週間には、10支部が県内27~28ヵ所で年金と労働の無料相談会を実施している。平成19年の年金記録問題以降は、1日の相談件数は800件にも達し、年金相談が大半を占める。
「そこでは一般的な相談しかできませんが、センターや年金事務所での取り組みを通し、年金のことは社労士ということが国民の間にも浸透してきたと感じています」(神戸副会長)
新規会員は毎年百数十名だが、年金をやりたいという会員も増えているという。
社労士会では3年ほど前から、学校向けの「出前授業」も実施している。当初は高校や大学だったが、現在は中学校、小学校や少年院などからも声がかかり、年間40校にも及ぶ。講師もテキストもすべて自前で、働くことや社会保障などをわかりやすく伝えている。
「会としても、新しい事業に積極的に取り組んでいきたい」と話す鬼頭会長は、センターでの相談でも次のような構想をもっている。
「年金は退職後の生活資金の基盤です。その意味では、単に年金額だけではなく、生活設計を含めた相談ができれば国民にとっても利便性が高まります。ファイナンシャルプランナーの資格を持っている社労士も多くいます。年金プラスアルファの相談は、まさに社労士の仕事です。マンパワーや他の相談に支障を来たさないなど解決すべき課題はありますが、将来的には実現していきたいですね」

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