年金時代

年金時代編集部

第10回 兵庫県社会保険労務士会

実践に即した研修体制で相談員の養成・確保に取り組む

予備を含め相談員のシフトをパソコンで管理

兵庫県内には「街角の年金相談センター」が3ヵ所、オフィスが1ヵ所ある。神戸市須磨区の「北須磨」、姫路市の「姫路」、尼崎市の「尼崎」、そして平成24年9月に西宮市にオープンした「西宮オフィス」だ。年金事務所は県内に10ヵ所ある。
「社労士会の受託事業として、年金には3つの柱があります。街角の年金相談センター、年金事務所、金融機関の年金相談です。前二者は日本年金機構から会として受託し、金融機関は民間会社に対する公共的な事業として、兵庫社労士協同組合が受託しています」
兵庫県社会保険労務士会の田中道弘会長は、会としての年金事業の取り組みをこう説明する。相談員の養成や研修も、会と協同組合が一体となって取り組んでいる。
現在、相談員として契約している社労士は、センターが69名、年金事務所が99名だ。約3分の2は両方に登録している。センター全体の社労士枠は6名、年金事務所は全部で31ブースだから、1日当たり37名がどちらかに出向くことになる。
「日常的には人員配置がいちばん大事です。欠員を出すわけにはいきません。欠員のカバーが重要になります」(田中会長)
社労士会では昨年度から相談員のシフト表をパソコンで管理し始め、今年度から本格稼働させる予定だ。そこでは、メインで出勤する人だけでなく、必ず予備の人も追加しておく。
「相談員には、いつどこのセンターや年金事務所に出勤できるかをカレンダーに記入して提出してもらいます。それを基に調整しています」(田中会長)
センター、年金事務所を一体的にシステム化し、欠員を絶対出さない体制を整えているのだ。

協同組合と連携し体系的な研修を実現

「相談員の養成が急務だと考えていますし、力も入れて取り組んでいます」
と田中会長は話す。
年金相談員として活動するには、まず「年金相談員登録」をする必要がある。平成26年度の登録者は236名だった。開業会員の約4分の1に当たる。
養成に関しては、協同組合が2種類の養成講座を実施している。一つが「年金相談の極意習得講座」だ。従来の「年金相談員実務基礎講座」を大幅にリニューアルし、平成27年度から名称を変えた。3日間の日程で、年金制度の知識や改正事項、ヒアリングシートを用いて相談者からのヒアリング力を高めることを中心に学ぶ。
次のステップが「年金相談員実践対応力養成講座」だ。やはり「年金相談員実力養成講座」から名称を変えた。3日間の日程で、対面形式のロールプレイを中心に実践力を学ぶ。さらに、希望者にはセンターでのインターンシップも行う。どちらの講座も有料だ。
「もともと社労士は、年金関係の書類を提出する側です。受け取るほうは経験していません。その経験不足を補い、相談員としての能力を担保することが社労士会の務めだと考えています。特に実践対応力講座では、その人のもつ〝相談のクセ〟を徹底的に修正します」(田中会長)
一方、すでに現場に立つ相談員に対しては、社労士会が研修を実施する。センターと年金事務所の相談員共通の研修が「フォローアップ研修」だ。月2回実施し、どちらか都合のよいほうに参加すればよい。年金事務所の相談員向けには、偶数月に「スキルアップ研修」を行う。両方の相談員は、すべての研修に参加することになる。

学校教育の場にも積極的に進出

社会貢献活動として平成24年度から取り組んでいるのが、中学校・高校での「出前授業」だ。働くこと(労働法)や安心(社会保障)をテーマに、26年度までの3年間で延べ63校、7600人以上を対象に実施してきた。さらに、26年4月には関西学院大学法学部と業務包括連携協定を締結。労働法概論の講義で単位認定を行っている。同年12月には、甲南大学法学部とも連携協定を結び、今年9月から講義(2単位)を開始する。
「このほかにも神戸大学、神戸女学院大学、甲南大学、県立ものづくり大学校などでキャリア教育の講義や、関西大学、同志社大学での寄附講座にも講師を派遣しています。学校教育は今後も重点的に推進していきます」(田中会長)
講師の養成講座も協同組合が実施。ロールプレイを中心に、参加者どうしが点数をつけ徹底的に批評し合う。現在の講師は50~60名。講義で話す内容は統一しているため、だれが担当しても同じレベルを確保している。
田中会長は最後に次のように話す。
「今年10月には被用者年金が一元化され、共済加入者など相談者の増加が見込まれます。人員と機会の確保は喫緊の課題です。また、県としても一元化の研修は実施していますが、全国社労士会連合会や日本年金機構を含め、体系的で継続的な研修の協力体   制をどう構築していくかが必要になると思います」

ここから先はログインしてご覧ください。

年金時代編集部
年金時代編集部は、将来にわたって、年金制度が経済的なリスクに直面した人たちの生活を支えていくことができるよう、年金の正確な情報提供を通じて、その持続可能性の向上に貢献していきます。  
年金時代