年金時代

年金時代編集部

第11回 山口県社会保険労務士会

社会貢献事業として学校教育の推進に力を入れる

相談員はすべて年金マスター研修の修了者

山口県内には、防府市に「街角の年金相談センター防府」がある。4ブースのうち、社会保険労務士が担当するのは2ブース。防府支部を中心に、6名の社労士が交代で相談にあたっている。予備の相談員も2名待機している。
「わかりやすくていねいな説明を心がけています。トラブルは絶対に避けなければなりません。相談にいらっしゃる方の求めているものは簡単です。『いつからいくら年金が受けられるのか』です。しかし、相手の話をきちんと聞き、的確に答えるためには、相当な勉強と経験が必要です。それだけ年金相談は難しいという意識をもって取り組んでいます」
山口県社会保険労務士会の桑原望会長は、会としての姿勢をこう話す。
県内6ヵ所の年金事務所にも、24名の社労士が相談員として出向いている。年金事務所によってブース数が異なるため、一事務所当たりでは3~6名が担当する。
「年金事務所ごとにグループリーダを決めています。日程調整の管理だけでなく、改正項目などを含め、社労士会からの情報提供はリーダーを通じて各社労士に伝わるようにしています」(末岡敏明事務局長)
こうした社労士相談員は、すべて年金マスター研修の修了者だ。マスター研修は、まず自宅においてeラーニングで勉強。その後、センターで3ヵ月のうち24日以上の実務研修を行い、筆記による能力確認試験、ロールプレイングを中心とした実務能力試験を経て、修了となる。山口県内には現在、37名の修了者がいる。

防府センターを中心に障害年金の請求もれを発掘

「年金相談員が足りなくなりそうなときは、必要に応じてマスター研修を実施して養成しています。当面はいまの体制でいきますが、同時に、相談員の能力アップにも努めています」
と桑原会長は話す。
センターでは毎月1回、内部研修を行っている。年金事務所の社労士には、社労士会主催のスキルアップ研修を4ヵ月ごとに実施。講師は、年金事務所や年金事務センターに依頼している。最近は、今年10月に控える被用者年金一元化に向けての研修に力を入れている。
年金事務所の相談員は、市町村での出張相談にも出向く。現在は11市町村に及ぶ。
一方、社労士会として金融機関とも契約。年金請求書の確認・提出等を行っている。
「金融機関では口座獲得の一環として、顧客の年金請求書を預かることもあります。それを社労士会として担当者を決めて内容を確認し、不備があれば補足してもらったうえで年金事務所に持って行きます」(桑原会長)
8支部のうち6支部では、毎月1回、年金の無料相談会を行っている。また、センターのある防府支部では、県立総合医療センターに協力を仰ぎ、障害年金の請求もれの掘り起こしに努めている。
「知らないがゆえに請求もれになっている人がいます。そこで、障害年金に該当すると思われる人には、ケースワーカーからセンターでの相談を勧めてもらっています。これまで5~6件の照会がありました」(桑原会長)
防府市の広報誌でも、センターで障害年金の相談ができることを広報してもらっているという。

年金相談事業は社労士会に任せてほしい

相談員の養成とともに、センターの常勤職員の確保は今後の大きな課題だ。実は昨年、防府センターのセンター長が急逝した。結局、半年間は相談・受付部門長が兼任して乗り切らざるを得なかったのだ。
山口県社労士会では、昨年から高校での社会保険・労働保険の出前授業を始めた。そのきっかけを、桑原会長は次のように話す。
「昭和36年から国民年金がスタートしましたが、年金の未納・未加入はいまも多くあります。保険料を納めないと、将来年金を受けられないという基本的な制度のしくみが、きちんと国民に伝わっていないのです。特に子どもたちには、学校教育の中でしっかり説明していく必要があります」
講師は各支部から推薦してもらう。全国社会保険労務士会連合会のテキストをベースに、学校からの要望も交え、講師がテキストを独自に作成。昨年は高校4校、大学1校で授業を行った。社会貢献事業として、社労士会では今後も学校教育に力を入れていく方針だ。
桑原会長は最後にこう結ぶ。
「最終的には、日本年金機構と連合会との問題になりますが、年金相談事業は社労士会に任せてほしいと考えています。センターの運営は、社労士会が受託していることは知られていますが、年金事務所の中で社労士が対応していることは、ほとんど知られていません。確かに、トラブルなどに対するリスクは高まるでしょうが、そのリスクも含めて社労士会に任せていただければと思います」

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