年金時代

第16回 広島県社会保険労務士会

組織的な対応で相談員の育成に取り組む

駐車場を確保しお客さまサービスを拡充

広島県内には広島市と福山市に「街角の年金相談センター」がある。広島センターはJR広島駅から1キロほどのオフィス街に、福山センターはJR福山駅から徒歩5分ほどのビルの6階に入っている。
「対面相談を通じ、“身近に顔が見える安心、そして信頼”をモットーに、年金制度への信頼回復と相談業務の円滑な実施に取り組んでいます」
広島県社会保険労務士会の林利憲会長は、センターの運営方針をこう話す。
福山センターには、ビル内に駐車場がある。一方、広島センターではこれまで駐車場がなかった。
「やはり地方都市は車社会です。そこで、広島センターでも昨年から道路を挟んだ駐車場を確保し、駐車券を発行しています。これも、お客さまサービスの一環と考えています」
飯塚博康事務局長は、サービスの拡充を強調する。
相談ブースは広島センターが3つ、福山センターが4つで、予備ブースが1つずつある。広島センターでは8人、福山センターでは5人の社労士が、毎日1名ずつ交代で相談にあたっている。
県内には8つの年金事務所があり、そこでも62名の社労士相談員が契約している。また、年金事務所の出張相談として、大竹市、竹原市のほか、因島などの島しょ部にも出向く。その際は、年金事務所から可搬式のウィンドウマシンを借り、社労士みずからが持参する。
「センターの相談員は、全員が年金マスター研修の修了者です。年金事務所の相談員は、年金マスター研修か県社労士会が実施するOJT研修を修了した人です。ともに、最終的には会長が承認する形をとっています」(林会長)

支部ごとの研修も重視他支部の研修にも参加可能

実は、社労士会事務局と広島センターは同じビル内にある。社労士会がセンター運営を始めた平成22年9月に引っ越してきた。
「ですから、事務局と広島のセンター長は毎日のように連絡を取り合っています。福山にはセンター運営部の役員が3ヵ月ごとに訪問していますし、両センターを含めた全体的な会合も3ヵ月ごとに実施しています」(飯塚事務局長)
日本年金機構の中国ブロック本部と管轄の広島東年金事務所とも定期的な協議を行い、円滑な運営をめざしている。
定期的に相談員を養成するため、今年4月から相談員育成委員会を設置した。
「副運営部長をリーダーに、年金事務所ごとに連絡調整者を任命し、委員会のメンバーにもなっています。希望者を募り、まず県社労士会が実施する年金事務所でのOJTを中心に研修を実施しています。将来的にセンターに勤務することを前提に、センターでも実践研修を行います」(林会長)
相談員向けにセンターでは毎月研修を実施しているが、年金事務所の相談員に対しては、社労士会が年4回以上スキルアップ研修を実施する。それ以外でも社労士会主催の研修を年1回、各支部主催の研修を随時実施している。
「県会が実施する場合は、広島や福山など場所が限られてしまいます。その意味では、地元で集まりやすい支部の研修も大事です。私どもでは、他の支部の研修に参加することも認めています」(飯塚事務局長)

県教育委に働きかけ学校教育も充実させる

社会貢献の一環として、平成22年度からは学校教育にも取り組んでいる。平成26年度は、中学校や大学などで年9回実施した。
「社会保障制度について、学生時代に知識として触れていないのが実情です。そのため、仕事に就いて給与明細を見ても、その中身がわからない。社労士は、社会保険だけでなく、アルバイトを含めた労働の話もできます。年金相談でもそうですが、学校教育でも十分貢献できると思います」(林会長)
これまでは社労士会が直接学校に打診してきた。しかし、それでは限界がある。今年は県知事に陳情した結果、県教育委員会を通じて各学校に案内してもらうことが実現した。
「11月に案内していただいたのですが、さっそく応募が来ています」(飯塚事務局長)
学校教育についても、講師団を組織して対応している。
「従来、会としての事業運営は事業部や総務部を中心に行ってきましたが、それぞれの事業に対し委員会を組織して対応する形に変えました」(林会長)
今後の課題として、林会長は相談員の育成を挙げる。
「年金は奥が深いですし、年金相談は知識だけでも、機械操作だけでも対応できません。特に対面相談は、生の声を聞きながら即座に答える技術が必要ですし、話し方なども大事になります。やはり経験を積むしかなく、会としても長期的に取り組んでいきます」
そして、最後にこう結ぶ。
「理想は、常勤の社労士相談員を一人でも多く増やしていくことです」

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