年金時代

第18回 山形県社会保険労務士会

センターとの距離を克服し相談員の育成に努める

社労士相談員はすべて年金マスター研修の修了者

山形県内には、庄内平野の北部に位置し港町として発展してきた酒田市に「街角の年金相談センター酒田」がある。歩いて2分ほどの場所に市役所があり、立地には恵まれている。
「社労士会が運営しているとはいえ、一般の方から見れば行政機関の一つですから、安易なことは許されません。ただ社労士が携わることで、年金だけでなく雇用保険や労務管理などのアドバイスもできます。そうしたメリットを最大限に生かしていきたいですね」
山形県社会保険労務士会の岩城愼二会長は、センター運営の方針をこう話す。そして、
「相談者の多くは年金のことを知らない方々です。言葉遣いに注意することはもちろん、専門用語をなるべく使わず、お客さま目線で対応するよう心がけています」
と続ける。
センターでは7名の社労士が相談員を務めており、うち2名は常勤だ。ほかの5名が交代で1ブースを担当する。
県内には5つの年金事務所があり、そこでも19名の社労士が相談に応じている。センター、年金事務所とも、相談員はすべて年金マスター研修の修了者だ。
「現在、マスターの資格を持ち、実際に年金相談業務を行っている社労士は、県全体で23名おります。ですから、センターと年金事務所を兼任している人もいます」(岩城会長)
年金事務所が主催する市町村での出張相談にも、社労士が同行する。現在は山形市、南陽市、長井市、小国町、白鷹町、飯豊町の6ヵ所に出向いている。ウィンドウマシンを持ち込むため、必ず年金事務所職員とのペアで行うという。

事務局の無料相談会は新人社労士の教育を兼ねる

社労士会事務局がある山形市から酒田市までは、車で2時間ほどかかる。だが、月に1回は岩城会長みずからがセンターを訪れ、現状把握に努めている。
「センター長からは毎日、事務局に相談状況の報告が入りますし、定例の会合にはセンター長にも来てもらいます。事務センターに提出した書類等の返戻率も低く、年金事務所との協力体制も含め、センター運営はスムーズにいっています」
と新野浩子事務局長は話す。
センターでは毎月、内部での研修を行う。当初はセンター長や相談・受付部門長が主体で行っていたが、現在は相談員もそれぞれテーマを決め講師を務めている。年金事務所の相談員に対しては、社労士会が3ヵ月ごとにスキルアップ研修を実施する。
事務局では、毎月第2・4土曜日の午前9時~午後1時に、「年金・労働無料相談会」を実施している。予約制で、1枠1時間。1日で4枠のため、予約がいっぱいになることも多い。社労士会のホームページには、具体的な相談事例を掲載し、利用者の利便性を図っている。
「年金・労働どちらの相談にも応じるため、2名の社労士で対応しています。その際、新人社労士の教育の意味も込め、ベテランと新人を組み合わせるようにしています」(岩城会長)

学校教育のテキストは独自に作成

社労士会では社会貢献活動として、平成16年から高校生、専門学校生、大学生を対象に、出張講座を開催している。平成26年度は23校で実施した。
「学生の皆さんに社会で働くことの意識や予備知識をもってもらうため、労働法を中心に社会保険制度のしくみを話しています」(岩城会長)
県教育庁にも協力を要請し、年1回、学校に対し案内のダイレクトメールを送っている。希望する学校があれば、直接申し込んでもらう。
講師には現在、28名が登録。27年度には講師向けのスキルアップ研修を実施した。
大きな特徴は、社労士会独自でテキストを作成している点だ。A4サイズ・12ページ・オールカラーで、イラストを多用。労働基準法や雇用保険、健康保険、年金制度などがコンパクトに説明され、わかりやすい内容になっている。
「ただ若い人向けですので、クイズ形式にしたり、実際に参加してもらってロールプレイング形式にしたりと、講師それぞれが工夫して取り組んでいます」(新野事務局長)
今後の課題として岩城会長が挙げるのは、年金相談員の養成だ。
「現在の相談員も確実に1歳ずつ年をとっていきます。年金事務所からも即戦力を要求されていますし、継続的な相談員の養成は喫緊の課題です。特に対面相談では、年金の知識だけではなく、ものおじせずかつ人当たりのよい人材が求められます。なかなか人選が難しい。こちらから個別にお願いして、研修に入っていただいているのが現状です」(岩城会長)
加えて、山形県ではセンターが遠方にあるため、ウィンドウマシンを使った実践研修がしづらいという状況がある。
「とは言っても、センターを活用しながら地道に取り組んでいこうと考えています」
岩城会長はこう締めくくった。

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