年金時代

第19回 茨城県社会保険労務士会

OJTによる研修を推進し相談員の育成に取り組む

センターの相談員はすべて年金事務所と兼任

茨城県内には、県庁所在地の水戸市と県南部の土浦市に、「街角の年金相談センター」がある。センター水戸はJR水戸駅から徒歩10分、センター土浦はJR土浦駅から徒歩3分と、ともに立地条件に恵まれている。
「昨年9月に土浦市役所が土浦駅前の新庁舎に移転し、センターとも至近距離になりました。市民の利便性も高まり、今後はさらにセンターへの来訪者数が増加する可能性があります」
茨城県社会保険労務士会の森田信雄会長は、センターの状況をこう話す。
センター水戸では10名、センター土浦では8名の社労士が、交代でそれぞれ1ブースずつを担当する。
また、県内5ヵ所の年金事務所でも、39名の社労士が毎日8ブースで年金相談業務にあたっている。センターでの相談員は、すべて年金事務所との兼任だ。
年金事務所では、管轄地域での出張相談を定期的に実施している。現在は常陸太田市、常陸大宮市、大子町、鹿島市、神栖市、取手市、龍ヶ崎市、常総市、古河市、高萩市の10市町・11ヵ所だ。
「市役所や商工会議所などで実施していますが、そこでも毎月12名の社労士が相談を担当し、地域でのニーズに応えています。年金事務所職員とペアで出向き、ウィンドウマシンを持ち込むため、年金額の試算にも対応できます。利用者には大変喜ばれています」(森田会長)

育成とともに経験を踏まえたキャリアアップをめざす

茨城県社労士会が力を入れて取り組んでいるのが、新たな相談員の育成だ。
「まず応募者を募り、年金事務所のご協力を得て、平成26年度から相談担当社労士によるOJT(On-the-Job Training)を推進しています。具体的には、4時間の研修を10日間実施します。やはりウィンドウマシンを使いながらの対面相談は、実際の現場と同じ状況下でトレーニングする必要があります」(森田会長)
OJTの修了者は26年度が8名、27年度が4名だ。その人たちが新たな相談員として加わっていく。
「OJTや実務研修は相談員育成のために必要であり、今後も推進していきます。加えて、相談員として相談ブースに入ってからの経験の積み重ねや自己啓発のための取り組みが、相談員としてのキャリアアップのためには重要だと考えています」
森田会長は相談員育成の重要性をこう話す。
センターでは毎月、内部研修を実施。年金事務所の相談員には、社労士会が3ヵ月ごとにキャリアアップ研修を実施している。そこでは、法律改正事項や受付業務に加え、マナーやクレーム対応などもテーマとして取り上げ、多様なケースに対応できる専門的な知識やスキルの向上に努めている。

会館の設置で社労士の知名度向上へ

社労士会ではこれまで水戸市と土浦市の2ヵ所で、毎月「総合労働相談所」を設置し、労働問題や年金相談に対応してきた。平成28年度からは下妻市にも設置する予定だ。予約制で、2名の社労士が対応する。
「最近は障害年金等の高度な相談も増え、専門的な知識やお客さまへの対応、コミュニケーション能力が要求されるようになっています。さらに、お客様のニーズにしっかり対応していくためには、専門家としての高度な職業倫理も不可欠です。社労士会では年2回、倫理研修を実施し、すべての会員が受講するようにしています」
森田会長は、社労士としての職業倫理の重みを強調する。新規登録の会員にも、必ず職業倫理をテーマとした研修を行うという。
また、社労士会では社会貢献活動の一環として、平成24年度から学校での出前授業に取り組んでいる。26年度は中学・高校・専門学校・大学など17の教育機関で、合計20回実施した。
「会として学校教育推進委員会を設置し、希望者を募って講師を務めてもらっています。社労士が個別に請け負うケースもありますが、会としても県教育庁に要請し、各学校に案内を出してもらっています」(森田会長)
26年度からは、がん患者就労支援事業にも取り組んでいる。現在は、県内10ヵ所のがん診療連携拠点病院に毎月、社労士を派遣。がん治療を受けながら就労する人たちの相談に応じている。そこでの相談は、休業や雇用の継続、労働・社会保険関係の諸制度、就労上の悩みなど多岐にわたる。障害年金に関する相談も多い。
社労士会では昨年12月、事務局を移転した。それまではビルの一室だったが、事務局機能に加え、会議や研修にも対応できる会館としての機能を有することになった。
「各種の事業活動がより活性化されることや、社会保険労務士の知名度向上につながることが期待されます。そのためにも、社労士会や社労士の存在を地域の皆さまに知っていただくための広報活動の取り組み強化も今後の課題になります」
森田会長はこう締めくくった。

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