年金時代

第20回 静岡県社会保険労務士会

開業間もない社労士を相談員として養成していく

運営委員会で年金相談事業の課題や方向性を議論

静岡県内には、静岡市と沼津市に「街角の年金相談センター」があり、平成25年10月には浜松市で同オフィスがオープンした。実は、浜松市には平成20年まで年金相談センターがあった。しかし、ビルの取り壊しの後、社会保険庁から日本年金機構への移行などに伴い、設置されないままになっていた。それが復活したのだ。
静岡県社会保険労務士会では、「年金相談委託事業に係る運営委員会」を設置し、センターだけでなく年金事務所等も含めた年金相談事業全般の運営にあたっている。
「委員会は年4回開催し、そこで問題点や改善点、提案事項などの検討を行っています。また、県内を東部・中部・西部に分け、相談員を統括するブロック長を置いています。センター長やオフィス長との情報連携や日常業務での意見交換などは、ブロック長がパイプ役になって対応しています」
運営委員会の副運営部長を務める社労士会の井出貴之常務理事は、センターを含めた運営体制をこう説明する。
現在、静岡センターには16名、沼津センターには17名、浜松オフィスには23名と、計56名の社労士が交代で相談にあたっている。また、県内9ヵ所の年金事務所でも、計75名の社労士が業務委託契約をしている。センターの相談員は、すべて年金事務所も兼任している。相談員のローテーションを担当するのもブロック長だ。
年金事務所が主催する出張相談にも、事務所職員とペアで社労士が出向く。現在は、浜松市浜北区・天竜区、熱海市、伊東市、下田市、伊豆市、裾野市、御殿場市、富士宮市、磐田市の9市10ヵ所で行っている。ウィンドウマシンを持ち込むため、記録の確認や年金額の試算にも対応することが可能だ。

新規相談員養成の研修を毎年開催

センターでは毎月、内部研修を実施。一方、年金事務所では3ヵ月ごとに相談員を対象にしたスキルアップ研修を行う。センターの社労士相談員は、両方の研修を受けることになる。
これらの研修とは別に、社労士会では毎年1回、新規の相談員を養成するため、実務者研修を実施している。年金相談を希望する社労士を募集し、まず全国社会保険労務士会連合会のカリキュラムに基づき、3日間の研修を行う。
「それを終えた人を相談員として登録したうえで、各センターで実地研修を受けてもらいます。先輩の社労士に付いて、実際の対面相談の訓練をするのです」(井出常務理事)
センターや年金事務所での相談だけでなく、社労士会としては毎週金曜日の午後、事務局内の会議室で総合労働相談所を開設している。労働問題だけなく、広く社会保険や年金も扱う。事前予約も当日の来訪も受け付け、1名の社労士で対応している。
また、県内の病院内に3ヵ月に一度の頻度で年金相談センターを開設。障害年金を中心に、患者を支援する取り組みを行っている。浜松医大附属病院は平成18年度から、静岡県立静岡がんセンターは平成24年度から実施している。
「こちらは障害年金に強い社労士が2名で出向きます。病院側が事前に予約を受け付けてくれ、午後だけの対応ですが、多いときは7~8件の相談があります。以前は、静岡県立総合病院でも実施していましたが、現在、病院自体が改装中で行っていません。ぜひ復活させたいと考えています」(井出常務理事)

リピーターが多い高校での出前授業

社労士会ではまた、平成19年度から高校を中心とした出前授業を行っている。事前に県教育庁や高校に案内を送り、希望する学校に申し込んでもらう。26年度は19校で実施した。
「出前授業では、正しく労働や社会保険制度を理解して、働くことの意義、働くことの楽しさを学生の皆さんに知ってもらい、快適な職業生活を送っていただけるように基礎知識をお話ししています」(井出常務理事)
講師は各支部を通じて派遣する。全国社労士会連合会のテキストをベースに、各講師が独自の資料などを用意する。社労士会では、出前授業の講師研修を毎年1回実施。それを受講していることが講師の前提になる。
「一度実施するとリピーターになる学校が多いですね。出前授業を受けた先生が、転任先の学校で開催してくれたケースもあります。ただ自治体の規模に比例して学校の数も異なりますので、支部によって濃淡が出てしまうのが課題といえます」(井出常務理事)
今後の課題として井出常務理事は相談員の養成を挙げる。
「運営委員会としては、やはり相談員を増やしていきたいと考えています。新規で応募してくるのは、開業間もない方が多い傾向があります。その人たちは知識的には十分ですが、どうしても実務経験が少ない。開業間もない方をいかにして年金相談員として育てていくか、会としての体制も含めて取り組んでいく必要があります」
井出常務理事はこう結んだ。

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