年金時代

第21回 埼玉県社会保険労務士会

独自の相談員養成プログラムを今年度から立ち上げる

来訪者が安心して相談できる体制づくりをめざす

埼玉県内には、さいたま市の大宮と川口市に「街角の年金相談センター」があり、平成23年7月には川越市に同オフィスが設置された。なかでも川口センターは相談ブースが9つあり、全国的にも見ても規模が大きいほうだ。
「もともと委託を受けたときから、対面でていねいな対応をしていく趣旨でスタートしています。来訪者が安心して相談できる体制づくりをめざして日々取り組んでいます」
埼玉県社会保険労務士会の石倉正仁会長は、センターの運営方針をこう話す。
石倉会長が運営部長を務める年金相談受託事業運営部には、副運営部長が3名いる。この4名は街角運営部を兼任し、県内の各支部から1名ずつ選出された11名が年金事務所運営部として活動している。さらに街角運営部の4名は、2名が大宮センターと川越オフィスを、2名が川口センターをそれぞれ担当。日常的な情報交換を行う。
「スタート当初は、各センターで独自にチラシを配布するなどして、来訪者を増やす努力をしてきました。お陰さまで、いまでは〝街角センター〟として定着しています」(石倉会長)
現在、大宮センターには11名(1ブース)、川口センターには13名(2ブース)、川越オフィスには7名(1ブース)と、計31名の社労士が交代で相談にあたっている。また、県内8ヵ所の年金事務所でも78名の社労士が相談に出向いている。ただし、平成28年度からは7事務所になった。センターと年金事務所を兼任している人もいる。
「相談員のローテーションは、すべて事務局で決めています。メールでのやりとりですが、急に欠員が出たときなどの調整は、なかなか大変です」
と若山茂事務局長はいう。

相談員を毎年度養成する体制を整える

センターの相談員は、年金マスター研修を修了し、能力確認試験に通ることが条件だ。一方、年金事務所の相談員は、年金マスター研修の修了者とマスターの勉強をした人の中から選んでいる。
センター相談員は、毎月の内部研修と年1回の能力確認試験を受ける。年金事務所の相談員は、年4回のスキルアップ研修に加え、センターに入ることを前提に大宮センターでOJT研修を実施している。
石倉会長は、「センターの相談員を養成していくことが今後の課題」として、次のように話す。
「常勤職員も含め、やはり年々高齢化していきます。そこで28年度から独自の養成プログラムを作り、本格的に動き出すことにしています。そういった形で、毎年度しっかり相談員を養成していく体制を整える。今年秋にはスタートさせたいですね」
と石倉会長は意欲的だ。

中学・高校の出前講座では命の大切さを教える

社労士会では、平成25年度から中学・高校での出前講座を実施している。提唱者は石倉会長自身だ。
「給与明細の見方から、世の中は相互扶助で成り立っていることなど、社会保障や労働に関する初歩的な話をしています。私が講師の方に特にお願いしているのは、命を大切にすることと周りの人と一緒に生きていることを教えてほしいということです。社労士は遺族年金や労災の遺族補償などとのかかわりで、命の大切さを身をもって感じています。私どもが行う学校教育は、現場を知っている人間として、その経験を子どもたちに伝えていくことだと考えています」(石倉会長)
社労士会では学校教育推進委員会を設置し、各支部から1名ずつが委員になっている。学校の所在地の支部の中で講師を選任し対応する。連合会のテキストをベースに、講師独自の資料も用意する。
「ただ内容に差があっては問題ですので、推進委が開催する講師研修では、リハーサルを何度も行い、内容を確認しています」(石倉会長)
25年度は2件だったが、26年度は10件、27年度は15件と、実施校も回数も確実に増えている。なかには教師向けの講義の要請もある。
また、社労士会では28年度から防衛医科大病院と契約し、患者の就労支援に協力する。患者と病院の相談の場に、社労士が立ち会うのだ。さいたま市立病院からは、がん患者に対する就労支援の要請があり、こちらも28年度からスタートする予定だ。
石倉会長は、最後にセンター運営についてこう結んだ。
「年金相談は、単純に数をこなせばいいというものではありません。いわば、その方の人生にかかわる場です。安心して帰っていただけるよう温かい雰囲気で対応し、気軽に立ち寄っていただけるセンターにしていきたいですね」

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