年金時代

年金時代編集部

第24回 秋田県社会保険労務士会

年金相談を魅力ある仕事にしマンパワー不足を補う

オフィスの相談員はすべて社労士

秋田県内では平成23年8月、JR秋田駅と直結したビル内に「街角の年金相談センター秋田オフィス」が設置された。平成22年1月から全国社会保険労務士会連合会が「街角の年金相談センター」の運営を受託して以降、未設置県でのオープン第1号だった。
「当県は高齢化率が全国トップです。確かに全体の人口は少ないですが、高齢者と年金は切っても切り離せない関係です。その意味で年金相談に対する県民のニーズは高いと判断しました。確かに、長く続く事業ですし運営は大変かもしれません。しかし、やらなければ何も始まりません。最終的に関係者や会員の皆さんの理解を得て、オープンすることができました」
秋田県社会保険労務士会の舘岡睦彦会長は、オフィス設置に至った経緯をこう説明する。そのうえで、
「年金はわかりづらい制度です。しかも、1人ひとり加入歴が異なります。いかに丁寧に説明し、理解して、満足していただけるか。社労士の仕事の本分として、自分たちで実現していこうという思いで取り組んでいます」
と話す。
現在、オフィスではオフィス長を含む7名の社労士が相談にあたっている。常勤のオフィス長も社労士資格を持っており、6名が交代でブースに座る。ローテーションなどは、オフィス内部で調整している。6名はすべて年金マスター研修、年金実務者研修の修了者だ。

住民のニーズが高い出張相談にも積極的に対応

県内4ヵ所の年金事務所でも23名の社労士が契約し、相談ブースや総合受付を担当している。オフィスとの兼任は3名だ。
年金事務所主催の出張相談にも出向く。平成28年度は、男鹿市商工会、鹿角市役所、大館市役所、能代市役所、横手市役所、湯沢商工会議所の6ヵ所で開催している。週1回のところもあるが、大館・能代・横手市役所は月曜から木曜の週4回実施。2人の社労士で担当しているところもある。
このうち、男鹿商工会は年金事務所職員が同行するため、ウィンドウマシンを持ち込む。ほかは社労士のみで対応しているため、年金事務所とのファックスのやりとりで記録等を確認している。
「市役所などは、予約を基本にしていますが、お客さまが殺到する状況です。特に秋田市や年金事務所から離れている地域では、相談のニーズが高い。開催地によっては年金事務所と協議して、相談員人数を増やせないか検討しているほどです」(舘岡会長)
対面相談をするうえでは、ウィンドウマシンの操作が絶対条件になる。特にオフィスでは、すべて自分1人で対応しなければならない。
「年金マスター研修修了者で、将来的にオフィスに勤務したい人には、先輩社労士が後ろについて、オフィスで数ヵ月間の実践研修を行った後に、オフィスに配置することにしています」(舘岡会長)

新規事業として社会福祉施設での相談を検討

秋田県社労士会では、高校を中心に出前授業にも取り組んでいるが、まだ年に数回というのが実情だ。だが、舘岡会長は「社会貢献活動の一環として、大学に講座をつくりたい」と、次のように話す。
「大学も就職率を気にする時代です。卒業して社会に出る学生にとって、社労士を活用する意義はあるはずです。今後は具体的な提案をし、出前授業の形から始め、将来的には単位を与える講座にしていきたいですね」
また、会として新たに取り組もうしているのが、社会福祉施設での講演を含めた相談会の実施だ。
「公的な扶助にどのようなステージがあるのかなど、ご本人だけでなく支えている家族の心配や不安を少しでも和らげる話ができればと考えています。今年度中には実施できそうな感触ですし、一つでも実現すれば次につなげていくことができます」
と、舘岡会長は前向きだ。
年金相談に目を向けると、若い年齢層を中心に年金に関心をもつ社労士が増えているという。だが、「圧倒的にマンパワーが不足している」と、舘岡会長は危惧(きぐ)する。
「全体的に会員数は少ないですが、年金相談員の絶対数が足りません。秋田市内から他の地域に出かけてもらうこともあります。しかし、年金相談員を優遇することは、他の会員とのバランス上難しい。会としては、年金の仕事を魅力あるものにしていく具体的な方策を考える時期に来ていると思っています」
最後に、舘岡会長は会と会員との関係を次のように話す。
「本来、社労士は自由業ですから、本人が自分でやりたい仕事を選ぶべきものです。一方で、会員がきちんと仕事をこなせるように、バックアップするのも会の役目です。そのため、多くの外部事業を受託してきました。なかなか会員数が増えないなかで、どう事業を遂行していくのか。社会貢献活動は社労士の本来の仕事ですし、その折り合いのつけ方が今後の課題になっています」

ここから先はログインしてご覧ください。

年金時代編集部
年金時代編集部は、将来にわたって、年金制度が経済的なリスクに直面した人たちの生活を支えていくことができるよう、年金の正確な情報提供を通じて、その持続可能性の向上に貢献していきます。  
年金時代