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年金時代編集部

第25回 長野県社会保険労務士会

事務局と支部が連携し広域ゆえの距離的支障を克服

親切な応対と迅速な処理を実践

長野県内には、JR長野駅から徒歩10分ほどのところに「街角の年金相談センター長野」がある。
「親切・丁寧・迅速をモットーに、対面での相談でお客さまに安心して帰っていただくことを心がけています。特に書類等の確認と処理は迅速に行い、夕方に来たものを除き、8割方はその日のうちに事務センターに送るようにしています。手前みそかもしれませんが、サービススタンダードの達成率は高いと自負しています。ただ、今年10月から長野事務センターが埼玉に統合されると聞いており、そうなるとタイムロスは否めません」
長野県社会保険労務士会の有賀德子会長は、順調なセンター運営の様子をこう表現する。
センターの相談窓口は5つ。センター長、相談・受付部門長のほか、常勤職員は事務員を含め7名だ。5ブースのうち、1ブースを社労士が担当し、6名の社労士が交代で相談にあたっている。6名はすべて年金マスター研修の修了者で、ローテーションはリーダー格の社労士が担当。部門長も社労士資格を有している。
センターと社労士会事務局は徒歩5分ほどの距離だ。その分、連絡も密に取れる。
「毎月最終水曜日の業務終了後に、13名全員で職員研修を行っています。被用者年金一元化をはじめとした制度改正事項はもちろん、社会保険審査会裁決事例や事務処理誤り事例、マナーなど、幅広い内容で実施しています。やはりセンターでは窓口業務が最優先ですから、相談員のスキルアップがお客さまの安心につながります」(有賀会長)

年金事務所の社労士相談員は各支部長が人選

県内7ヵ所の年金事務所でも38名の社労士が契約している。センターとの兼任は4名だ。一方、社労士会は6支部ある。長野市内に年金事務所が2ヵ所ある北信支部を除き、年金事務所の所在地と社労士会支部の所在地は一致している。
「年金事務所に出向く社労士相談員の人選は、県会との緊密な連携のもと、各支部長に任せています。なにしろ長野県は南北200キロに及ぶ広い県です。各支部の実情により、支部単位で動いたほうが効率的な面もあります」
社労士会の吉沢契佐紀事務局長は、県特有の事情をこう説明する。
年金事務所が計画する出張相談にも出向く。平成28年度は、千曲市、大町市、上田市、坂城町、木曽町、南木曽町、富士見町、天龍村の8ヵ所で計画されている。月1回のところが多いが、南端の天龍村は年1回だ。このうち、上田市には出張相談所が開設されており、基本的に年金事務所の職員と社労士が1名ずつで毎日対応している。
「社労士だけで出向いているところも何ヵ所かあります。その際、ウィンドウマシンのセッティングから撤収までを自分たちで行っているところもあります」(吉沢事務局長)
年金事務所の社労士相談員を対象に実施する年4回のスキルアップ研修は、全員が参加できるよう土曜日に開催。場所も長野市と松本市で交互に行っている。それとは別に、支部単位で独自の研修も行うという。

学校教育をはじめ社会貢献活動に力を入れる

長野県社労士会では、平成24年度から高校を主体とした出前授業にも取り組んでいる。
「実は、学校教育は諏訪支部が独自に実施していました。平成21年に県議会で、社会に出る前に社会保険や労働保険を学ぶことの重要性や、社労士などの専門家の活用についての質問があり、当時の教育長から、『高校段階で基本的な社会保障制度を学ぶことは大切だ。今後も専門家の力、現場の生きた知識を借りて充実させていきたい』との答弁がありました。これをきっかけに、社労士会としても積極的に取り組むことにしたのです」(有賀会長)
既存の委員会とは別に、平成23年度に学校教育活動推進部会を設置。24年度から本格的に活動を始めた。27年度は延べ70名の会員が講師を担当した。全国社会保険労務士会連合会のテキストを中心に、講師によっては独自の資料も用意する。
「ただ、教え方も含め県全体でレベルをそろえる必要がありますので、部会で情報を共有しています」(有賀会長)
24年度の実施校は19校だった。それが25年度は20校、26年度は34校、27年度は64校・72講座にまで増えた。
「特別支援学校から父兄も一緒に聞きたいというケースや先生方に対して講義するケースもあります。社労士の強みは、現場の実例を知っていることです。そうした話をわかりやすく伝えることで、社会保障制度の基本的知識を身に着けていただければと思います」(有賀会長)
長野県社労士会では、県とタイアップしてがん患者の就労支援にも取り組んでいる。現在、県内10ヵ所の拠点病院に、16名の社労士を派遣し、相談に応じている。
有賀会長は最後にこう話す。
「こうした社会貢献活動は、社労士会として今後も力を入れていきます。従来に比べ、社労士の業務は大きく広がっています。今年10月から実施される社会保険の適用拡大でも、現場の事業主をしっかりサポートし、社会基盤の醸成に役立てればと考えています」

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