年金時代

年金時代編集部

第28回 鹿児島県社会保険労務士会

県内の年金相談の拠点としてオフィスが積極的に対応

広告や手続面など社労士会がバックアップ

鹿児島県では、平成23年9月30日に「街角の年金相談センター鹿児島オフィス」がオープンした。市の商業地区の中心・天文館に程近いビルの6階にある。場所がわかりづらかったり、表に看板を出せなかったりなどのハンディがありながら、1日の窓口平均の相談件数は2桁に達している。
「予約制を原則にしているため、時間を気にせず、じっくりと相談できるのが特徴です。理解していただくまで、親切丁寧な対応を心がけています。個人のお客さまは口コミでの広がりが多いですね。また、もともと社労士会として、金融機関の年金相談会などに社労士を派遣してきた経緯があります。金融機関から委託を受けた社労士が手続に来るケースもあります」
鹿児島県社会保険労務士会の川口俊一会長は、オフィスの状況をこう説明する。
年金事務所をはじめ公的機関などにチラシを置くほかにも、オフィスの近くを走る路線バスの車内アナウンスで、1分程度の案内を1日に720回実施しているという。こうした取り組みが、来訪者の増加につながっているのだ。
現在、オフィスではオフィス長と5名の社労士が交代で相談にあたっている。事務担当の職員も1名いる。相談員はすべて年金マスター研修の修了者だ。
「実は、社労士のうちの1名は元オフィス長です。現在のオフィス長にとっても、心強い存在になっています」(川口会長)
県内5ヵ所の年金事務所でも、27名の社労士が業務委託契約をしている。2名はオフィスとの兼任だ。

離島を含め出張相談をオフィスが担当

オフィスでは年金事務所と連携して、出張相談にも出向く。平成28年度は、11市町に月10回程度出張している。指宿市・枕崎市・南九州市・南さつま市は鹿児島南年金事務所の職員が、日置市・西之表市・南種子町・中種子町・屋久島町は鹿児島北年金事務所の職員が同行するが、鹿児島市谷山支所と霧島市はオフィスの相談員だけで対応している。屋久島と種子島では年4回ずつ実施する。
「すべてウィンドウマシンを持ち込むため、来訪相談と同じレベルの相談ができます。特に離島は高齢の方が多いので、大変喜ばれています。西之表などは毎月出張相談をしているにもかかわらず、毎回相談件数が多くなっています」
と話す川口会長。離島対策は地域住民だけでなく、社労士にも共通する課題だという。
「離島にも社労士がいます。年金事務所も遠隔相談に取り組もうとしているようですが、離島の会員に対して、テレビ電話などで遠隔研修が受けられるしくみも考えていく必要があると思っています」(川口会長)
オフィスの相談員は、月1回の内部研修と年1回の能力確認試験がある。年金事務所の相談員は、年4回のスキルアップ研修がある。
「こうした研修を通してスキルを磨くことはもちろん重要ですが、いちばん怖いのは〝慣れ〟による油断です。相談員としての職責の重さや緊張感を常に感じながら、1人ひとりに真摯に向かい合う姿勢が大事だと考えています」
川口会長はこう気を引き締める。

社労士も理論に基づく実務の展開を考えるべき

社労士会では、1~2年前から学生に対する出前授業に取り組み始めた。これまでは会員が高校などから直接要請を受け、個人的に対応してきた。
「ここ10年くらいの間に、労働や年金、社会保障の教育の必要性が問われるようになってきました。これに対し、社労士会としても真剣に取り組んでいく必要があります。出前授業の委員会をつくり、これから本格化させていくつもりです」(川口会長)
そのうえで、川口会長は社労士の意識改革も必要だと、次のように続ける。
「当会では以前から大学を研究や研鑽の場として積極的に活用しており、労働法の講義を担当している会員も何名かいます。社労士というと事務手続面に目が行きがちですが、実務だけでなく社会政策面や経営・経済学など幅広い観点からアプローチをしながら、社労士自身が社会保障法における年金や医療保険の位置づけ、労働法の位置づけや意義などをとらえていくことも必要です。出前授業の枠は超えるかもしれませんが、社労士もそうした意識をもって、若者に社会保障や労働の問題とその考え方を伝えていくべきだと思います」
社労士会では4年前から、地元メディアとのマスコミ懇談会を開催している。社労士の仕事を知ってもらうことがねらいだ。記者たちからの問いかけは、逆に自分たちを見つめ直す機会にもなるという。
「やはり相談員の確保と育成は常に課題です。鹿児島市とそれ以外の地域とでは、社労士の数自体が違います。年金相談員は公募で募集していますが、地方になるとその問題が顕在化します」
川口会長はこう結んだ。

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