年金時代

第30回 岩手県社会保険労務士会

相談員の確保とオフィスの周知が常に課題

オフィスの制約条件を積極的なPRでカバー

岩手県内では、平成25年10月に「街角の年金相談センター盛岡オフィス」がオープンした。JR盛岡駅から徒歩5分ほどの距離だが、ビルの4階にあり1階部分に看板を出せないなどの制約があり、オフィスがエレベーターを降りてからわかりづらい面もある。
「オープン前から、オフィスの周知には積極的に取り組んできました。市役所の中にある時間ごとに変わるPR看板に掲載したり、オフィスの近くを通る路線バスの運転席の後ろに広告を出したりしています。バスの広告は現在も続けています。また、ビルの真向かいにある立体駐車場と契約し、利用者にはサービス券を渡しています。そうしたかいもあって、平成28年度は来訪者が微増傾向にあります」
岩手県社会保険労務士会の白木和久会長は、オフィスの状況をこう説明する。
相談には、常勤のオフィス長と6名の社労士が交代であたる。ただ、社労士のうち1名は現在、産休中だ。多い人は週3~4日ブースに座る。ローテーションは、年金担当の役員社労士が調整している。予約も受け付けているが、1日当たりの予約数は1~2割程度だという。
県内5ヵ所の年金事務所では、32名の社労士が委託契約をしている。そのうち宮古年金事務所は、相談ブースではなく出張相談だけに出向く。オフィスとの兼任は5名だ。
「オフィスの相談員は、すべて年金マスター研修の修了者で、65歳までの年齢制限があります。一方、年金事務所の相談員は会が行う研修を受けたうえで、各事務所長の了承を得て窓口に座ります」(白木会長)

市町村だけでなく企業などへも出張相談

オフィスでは、出張相談にも出向いている。平成28年度は八幡平市、岩手町、紫波町、葛巻町の4市町で、毎月第2・4水曜に実施。社労士1名が担当し、基本的には年金事務所職員がウィンドウマシンを持っていく。要請があれば、盛岡市内や北上市でも行っている。
「岩手県は東西122㎞、南北189㎞と長く、面積も四国4県に匹敵し本州でいちばん広い県です。北上山地があるため、冬場になると東西の移動は厳しくなります。年金事務所に行きたくても行けない方々もおり、オフィスを含めた出張相談は重要な役目だと考えています」(白木会長)
さらに、相談希望者5名以上という条件はつくが、オフィスでは企業や自治体などの団体から要請があった場合の出張相談も行っている。社労士がウィンドウマシンを持参するため、具体的な相談にも対応できる。多いときは年に5~6件ある。
社労士会事務局では、毎月第2・第4水曜の午後、総合労働相談所を開設。1名の社労士が対応している。年金相談も受け付け、個別の内容はオフィスを紹介している。
オフィスの相談員は毎月の研修があり、年金事務所でのスキルアップ研修も、事務所全体で見れば毎月どこかで開催されていることになる。
「それとは別に、相談員を対象に、支部単位で障害年金を中心とした勉強会を集中して行っています。特に障害年金は複雑で難しいですから、相談員のレベルの向上に努めています。こちらは一般の会員も参加できます」(白木会長)

平成29年度からは高校での出前授業を開始

岩手県社労士会では、平成29年度から高校や専門学校での出前授業に取り組むことにしている。
県立高校には、県教育委員会を通じてすべての高校に案内を送る。私立の高校や専門学校には、県の私学協会にお願いし、社労士会が直接、個々の学校に案内を送る。生徒や学生だけでなく、教職員や保護者向けの講座にも対応する。
「会の業務部会が出前講座を担当し、講師の養成も始めています。テキストは全国社会保険労務士会連合会のものをベースに使う予定で、教育委員会や私学協会にも送ってあります。社会に出て行く子どもたちに、労働や社会保険のしくみをわかりやすく伝えたいという思いで取り組んでいきます。2月中にどれくらいの学校が手を挙げてくれるのか、どの程度の時間を割いてくれるのか、不安と期待で待っているところです」
と白木会長は胸の内を明かす。
また、学校教育が軌道に乗った段階で、現在は個々の社労士が受託している企業の新入社員教育も、会として力を入れていきたいと話す。
「年金相談員の確保と養成は常に課題です。対面相談は相手の話を聞きながら、ウィンドウマシンを操作し、的確に答えることが要求されます。人と人とのコミュニケーションが重視されます。もちろん、養成期間中にこちらとしても指導はしますが、知識はあっても相談員として不向きの人もいます。会員数は微増していますが、すべての行政等委託事業を受け入れられないのが実情です。資格保有者の掘り起こしも含め、地道に取り組んでいくしかないと考えています。同時に、街角オフィスの周知もさらに行っていくつもりです」
白木会長はこう締めくくった。

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