年金時代

年金時代編集部

第31回 大分県社会保険労務士会

  社労士相談員の確保と養成は相談事業を受託する会の責務

オフィスの来訪者は95%が予約

大分県では、平成25年10月1日に「街角の年金相談センター中津オフィス」がオープンした。中津オフィスは市役所の別棟にある。JR中津駅から徒歩5分の距離で、駐車場もある。
県内には大分・別府・佐伯・日田の4ヵ所に年金事務所がある。県北部に位置する中津市にはもともと年金事務所がなかった。
「中津を含む県北地区は人口も企業数も多いところです。福岡県にも隣接しています。それだけ地域の方々にとって利便性があります。年金事務所と縁がなかった場所に誕生しただけに、地域の皆様方に信頼感をもって利用していただけるオフィスをめざしています。もちろん社労士会としてもチラシなどでPRはしていますが、口コミで広がっていくことが一番だと思っています。相談員も日々成長していますし、少しずつ浸透してきていると実感しています」
大分県社会保険労務士会の間部勝幸会長は、これまでのオフィス運営をこう振り返る。
相談には常勤のオフィス長と中津支部の社労士4名が交代であたる。受付やバックヤード、電話対応を担当する事務職員も1名いる。
社労士相談員のローテーションは、年度開始前に4~9月期、10~3月期に分けて本人から希望をとり、最終的に間部会長が決める。急用などで出勤できない事態が生じたときは、基本的に4名の中でやりくりしている。
オフィスは予約制をとっている。社労士会としても「待たずに相談ができる」予約制をアピールしてきた。
「開設当初の2年間は、オフィス近くの交差点に畳2畳分ほどの看板を立て、アピールしました。福岡県の小倉南事務所の機関紙の最後のページにもオフィスの広告を掲載しています。別府年金事務所や市役所などに置くチラシを含め、すべて予約制であることを目立つようにしています」(間部会長)
そうした努力もあって、相談者の95%は予約だという。

社会貢献事業は今後の課題

日田を除く県内3ヵ所の年金事務所でも、11名の社労士が委託契約をしている。オフィスとの兼任は2名だ。オフィスも年金事務所も、相談員はすべて年金マスター研修の修了者だ。
年金事務所主催の出張相談にも出向く。平成28年度は、別府事務所管轄の宇佐市と豊後高田市、佐伯事務所管轄の臼杵市で毎月1回実施している。年金事務所の職員がウィンドウマシンを持ち込み、社労士1名とペアで相談にあたる。
オフィスでは毎月内部研修を行う。年金事務所での社労士相談員は、年4回のスキルアップ研修がある。
「オフィス独自は8回行い、スキルアップ研修にはすべての相談員が参加するよう合同で実施しています。講師は相談員が交代で務めます。人に教えるためには、自分自身の知識も完全にする必要があり、社労士にとっても勉強になりますので」(間部会長)
3年ほど前からは、学校での出前授業にも取り組んでいる。全国社会保険労務士会連合会のテキストを独自に改訂し、28年度版を作成した。労働保険や社会保険など、項目別に事前に講師の登録をしている。
「対応できる体制は整えているのですが、実際はあまり依頼がない状況です。学校教育には日本年金機構や県労働局も取り組んでいますし、行政サイドと協力し合うことも考えていく必要があると思っています。会員数自体が少ないこともあり、社会貢献などに積極的に取り組みたくても、1つの事業として定着しづらいのが悩みの種です」
と間部会長は吐露する。

28年度から会独自で相談員の養成に取り組む

間部会長が年金相談事業の課題として挙げるのは、相談員の確保と養成だ。現在の相談員も年々高齢化が進んでいく。これまで年金マスター研修を実施してきたが、学校教員や会社員など畑違いの分野から社労士になる人もいる。
「養成のための研修も、イチから徹底的に行う必要があります。年金相談を受託している以上、会の責任で相談員を育てなければならいと考えています」(間部会長)
平成28年度は、連合会のカリキュラムに沿って、毎週土曜に6時間ずつ講義を行ってきた。座学が10回、ウィンドウマシンの操作が3回だ。9名が受講している。なかには40代の人もいるという。
「やはりOJTだけでは限界があり、現場での経験をどう積むかが課題です。また、対面相談では知識だけでなく、接客能力も求められます。言葉遣い1つで相手が受け取る印象がまったく変わります。
老齢年金の請求はターンアラウンドで、基本的な事項はすべて記載されています。社労士が業務として手続にかかわるのは、障害年金と離婚に伴う年金分割が主体です。逆に、相談員としての社労士が求められているのです」
と話す間部会長。平成29年度以降も、前期と後期に分けて相談員養成の研修を行う予定だ。


年金時代編集部
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