2018/04/27掲載
第5回 相続財産の分割手続きはどのように行うの?
遺産分割は、遺言があればその内容を前提とし、遺言がなければ民法が定める法定相続分を基準として、相続人の話し合いによって決めていきます。これを「遺産分割協議」といいます。
誰がどの財産を取得するのかを決める遺産分割協議
相続が開始されると、死亡した人の財産は法定相続人全員の共有財産になります(遺言による指定がある場合を除く)。「遺産分割協議」では、この財産をどのように分割して、誰がどの財産を取得するのかを具体的に決めることになります。この協議は必ず相続人全員で行わなくてはなりません。相続人の協議がまとまり、合意に達した時点で「遺産分割協議書」を作成します。
遺産分割による相続財産の分配が完了してはじめて、預貯金の名義変更などの手続きが可能になります。
相続を開始してから終了するまでのおおまかな流れは、次のとおりです。
相続人と相続財産の確定
遺産分割協議の過程で重要となるのは、誰が相続人かを明確にすることと、相続財産を確定させることです。
相続人の確定では、被相続人を中心に、相続人となる人を書き出し、相続の体系図を作成するとよいでしょう。第1回・誰が相続人になるの?
相続財産の確定では、被相続人の所有していた財産(資産、負債)について可能な限り明らかにするため、財産目録を作成します。財産目録は、時価による評価と相続税評価額の違いや、非課税財産や課税特例などを考慮して作成する必要があります。
たとえば、建物の時価評価額は固定資産税評価額による相続税評価額の4割増しとなります。遺産分割の基礎となる評価額については、相続開始時または分割時の時価を前提に話し合うのが一般的ですが、便宜的に相続税評価額を用いることも相続人の合意により可能です。いずれにしても基準を明確にしておくことが「争続」の防止には欠かせません。
なお、法定相続分による分割割合はめやすであり、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議により法定相続分とは異なる割合で分割を行ってもさしつかえありません。
遺産分割協議では議事録の作成を
遺産分割協議のための会合を行った場合は、議事録を残しておくとよいでしょう。議事録には、次の項目を記載しておきましょう。
- 日時、場所
- 参加者の氏名
- その会合で合意された事項
- 各相続人の発言の要旨
議事録は関係者全員に回覧し、その時点ごとの合意事項、合意できない事項について明確にしておき、次の会合につなげていきましょう。
遺産分割協議が整ったら、すべての相続人が遺産分割協議での合意内容を「遺産分割協議書」により確認します。
遺産分割協議書には、すべての相続財産(資産、負債)についてそれぞれの相続人の取得分・承継分を記載し、協議が成立したことを明記して、相続人全員が署名、捺印します。
次回のテーマは「相続対策としての生前贈与とは?」です。
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規格:B5・88頁
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