年金時代

財政検証に着手する年金部会・前編【2014年2月号「特集」掲載】

2013年10月から年金部会では平成16年改正による財政フレームに基づく財政検証の意義や検討課題の議論の視点、社会経済の動向が年金財政に与える影響について確認してきた。その内容を整理する形で掲載した記事。

財政検証の意義と議論の視点を確認

年金制度にとって、今年は5年ぶりに財政検証が実施される年だ。厚生労働省の社会保障審議会年金部会(部会長=神野直彦・東京大学名誉教授)は、その結果を受けて社会保障制度改革国民会議の報告書や社会保障制度改革推進法に規定された課題の検討に入ることにしている。財政検証について国民会議は、課題の検討に役立つことを要請している。年金部会は昨年10月から精力的に会合を重ね、平成16年改正による財政フレームに基づく財政検証の意義や検討課題の議論の視点、社会経済の動向が年金財政に与える影響について確認してきた。その内容を整理する。

16年改正による年金財政フレームと課題の視点

16年改正前は財政再計算で給付に必要な負担を決定

年金部会がこれまでの審議で重点的に確認した点が、平成21年以来5年ぶりに実施する「財政検証」の役割だ。

平成16年改正前は、5年ごとの「財政再計算」の結果を踏まえて年金制度の見直しを行ってきた。財政再計算には将来の保険料水準を決める役割があった。年金制度の創設時に、保険料の設定方法を将来にわたって一定水準の保険料とする平準保険料ではなく、当時の被保険者の負担能力を踏まえ、将来に向けて段階的に引き上げていく段階保険料を採用したためだ。こうしたことから制度発足当初、暫定的に低い保険料水準であったため、5年に一度、人口や経済の見通しを踏まえ給付水準を維持しようとした場合、どの程度の負担が必要になるかを計算し当面の保険料が設定されてきた。また、高度経済成長期には、賃金や生活水準の向上に合わせて給付も改善された。

だが、経済が低成長期に入り少子高齢化も進展するなか、平成6年や11年の財政再計算では、36年度の厚生年金保険料率は月収ベースで約35%になると試算。これでは高くなりすぎると指摘を受け、給付の伸びを抑制する措置も導入されてきた。それが可処分所得スライドや既裁定者の物価スライドでの改定、受給開始年齢の引き上げなどだ。

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