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年金時代編集部

平成26年財政検証結果に見る年金財政の見通し・前編【2014年7月号「特集」掲載】

平成26年の財政検証結果について解説した記事。26年財政検証の特徴の一つである8ケースの経済前提の内容や、オプション試算の結果について説明している。年金財政にとって経済が成長し、女性や高齢者なども意欲をもって働ける社会の実現が重要であることなどがわかる財政検証となった。

年金の給付水準確保に向け経済成長や労働参加がカギ

厚生労働省は6月3日の社会保障審議会年金部会(部会長=神野直彦・東京大学名誉教授)で、平成26年財政検証結果を公表した。今回の特徴は、8ケースの経済前提を設定したことで、経済や就労のさまざまな状況を投影した検証結果が示されたことだ。また、年金制度の持続可能性や防貧機能の強化に向けて必要性が指摘されている制度改正を仮定したオプション試算の結果も重要なポイントになる。今後の年金部会では、制度改正を視野に入れた議論が進められていくことになろう。そこで、財政検証でどのような結果が示されたのか、また、その結果から見えてくる改正のゆくえを探っていく。

16年改正で導入された年金財政の均衡方式

年金制度は、平成16年の改正で保険料の上限を法律で定め、時間をかけて給付水準を調整していくしくみが導入された。また、基礎年金の国庫負担をそれまでの3分の1から2分の1へ引き上げるとともに、収支のバランスを図る期間(財政均衡期間)を、すでに生まれている世代が年金受給を終えるまでのおおむね100年間と設定し、最終年度の積立金水準を給付費の1年分程度(支払準備金程度)とすることで、積立金を活用していくことも決まった。これは、将来世代の保険料負担が重くなりすぎることを避けるとともに、高齢期の生活を支えられる年金の給付水準を確保していくための措置だ。

この給付水準調整の方法が「マクロ経済スライド」だ。年金額は毎年度、67歳までの新規裁定者は賃金の伸びで、68歳以上の既裁定者は物価の伸びで増額改定していくが、その改定率に、少子化による被保険者数の減少分に平均余命の伸び率分を加味した「調整率」を反映して、改定率を抑制するしくみだ。給付水準調整は、マクロ経済スライドを実行しなくても財政のバランスが図られる見通しが立つまで行われることになっている。

年金時代編集部
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