年金時代

財政検証の経済前提【2014年4月号「特集Ⅱ」掲載】

 平成26年財政検証にあたって「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」(委員長=吉野直行・慶應義塾大学経済学部教授)が年金部会に報告した経済前提と積立金運用のあり方の内容を取り上げた記事。経済前提については試算の考え方などが詳細にまとめられている。

8ケースの経済前提を設定し、将来の年金財政に投影

社会保障審議会年金部会(部会長=神野直彦・東京大学名誉教授)は3月12日、「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」(委員長=吉野直行・慶應義塾大学経済学部教授)の財政検証に用いる経済前提と積立金運用のあり方の報告を受け了承した。これを受け厚生労働省は、いよいよ財政検証作業に着手する。

経済前提

足下は内閣府試算に準拠 パラメータに幅をもたせて試算

年金制度では、平成16年改正で自動的に給付と負担の均衡を図るしくみが導入され、5年ごとに最新のデータを踏まえて経済前提を設定し、長期的な健全性を検証することとされている。年金制度における経済前提とは、①物価上昇率②賃金上昇率③運用利回り――のことで、これを専門的・技術的な見地から検討してきたのが専門委員会だ。

専門委員会はまず、21年の財政検証で長期の経済前提を設定する際に用いられた方法を検証。これは「コブ・ダグラス型生産関数」に基づいて設定する方法で、経済の潜在的な成長力や労働力需給の見通しを踏まえて、経済成長率や利潤率などを推計できる。専門委員会は諸外国における経済前提の設定方法と比べても工夫されていると判断。今回も基本的には同様の設定方法を用いるとともに、改善手法も可能な限り探ることとした。

なお、26年から35年までの足下の経済前提は、内閣府が今年1月20日の経済財政諮問会議に提出した「中長期の経済財政に関する試算」に準拠して設定することにした。この内閣府試算では、日本再興戦略などの施策の効果が着実に現れ、25年度から34年度の平均成長率が実質2%程度、名目3%程度となる「経済再生ケース」と、内外経済がより緩やかに成長し、同年度の平均成長率は実質1%程度、名目2%程度となる「参考ケース」が示されている。

年金時代