年金時代

財政検証の経済前提【2014年4月号「特集Ⅱ」掲載】

●運用利回り・物価上昇率

長期金利は市場予想も参考 分散投資はおおむね0.4%

財政検証で用いる長期の運用利回りは、21年の財政検証では将来の実質長期金利に内外株式投資による分散投資効果をどの程度上積みできるかという考えで設定され、今回も同様の手法が用いられた。(図表2参照)

実質長期金利と利潤率の間には正の相関が認められているため、実質長期金利は過去平均の実質長期金利に過去と将来の利潤率の比率を乗じて設定された。ただ専門委員会は、両者の相関関係は低経済成長下で著しく低くなると判断。そこでTFP上昇率が1%より低いケースG、Hの実質長期金利は、実際の金融市場における平均的な予想を参考に設定された。

年金給付費は、長期的に見ると物価上昇率と実質賃金上昇率を合わせた名目賃金上昇率に連動して増加する。このため運用利回りはこれを上回る分が実質的な運用利回りとなる。そこで分散投資効果は、ケースA~Hごとに名目賃金上昇率を基準に示す方法で算出された。具体的には、各資産の期待収益率から名目賃金上昇率を差し引いた実質的な期待収益率や過去の実績からリスクとリターンの関係を分析し、国内債券並みのリスク水準で得られる、国内債券の期待収益率への上積み分を求めた。その結果、どのケースもおおむね0.4%前後だった。

物価上昇率は、日銀が今年1月に「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定めたことや内閣府試算を考慮して経済再生ケースにつながるケースは2%から1.2%、参考ケースにつながるケースは1.2%から0.6%の幅とした。

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